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2011-11-19 京都会館の建物価値継承に係る検討委員会 第2回会議 傍聴メモ(1)伊藤氏発言
■京都会館の建物価値継承に係る検討委員会 第2回会議 傍聴メモ その1
(敬称略)

尾崎事務局 挨拶
本日の配布資料紹介など 
配布資料はこちらを参照

岡崎委員長
それでは議論に先立ちまして、前回欠席しておられました伊藤委員に自己紹介と前回各委員の皆様からいただきました発言をもとにして、基本設計をはじめるにあたって、継承すべき建物価値をどのように考えるか、基本設計をはじめるにあたって、再度検討すべき点について、舞台技術者のご専門の立場からご意見をいただきたく思います。

伊藤委員
はじめまして、伊藤と申します。新国立劇場で技術部というところで部長をやっております。
内容としては、装置、衣装、小道具だとか、そういうものの発注を受けて、それが舞台のほうにのるかどうか、予算内におさまるかどうか、技術的にできるかどうか、そういうことをやっております。よろしくお願いいたします。
前回の会議録を読まさせていただきました。前回出席できなくてすみませんでした。
僕は京都会館にいくつか思いがありまして、フリーの時代に全国の劇場を仕事をして回りました、その中に京都会館第一ホールと第二ホールがはいってまして、そのときの思い出が強く残っています。そういう会館です。

まずわれわれ裏方からすると劇場の評価というか、どこを見るか、要素は三つなんですね。ひとつはまず間口、ひとつは奥行き、そして高さ。
だいたい間口と奥行きに関してはわれわれなんとかやりくりする、「今日はすみませんここから前にでてきてください」とかいうことも役者に伝えるんですけれども、さすがに高さに関しては、飛びきらないケースがあるので、そういう場合、ブロックですと巻いて飛ぶようにする、要するに、絵をきってしまう。パネルですと今回はここでは釣れませんとカットしてしまう。ということはままあるケースでした。したがってこの三つの要素をできたら京都会館の第一ホール第二ホールでクリアになれば、われわれ裏方から見た三つの要素がすべて揃うんではないかなと。

それと高さに関しては最近の現代演出ではダイナミックな演出があるんですね。
たとえば昔のものは幕がおりてくる、パネルが降りてくるなど薄いものが降りてくるので対処ができるんですけど、
最近の現代演出では塊が降りてきます。
たとえば、「ミス・サイゴン」であるとヘリコプターが上から降りてくる。となると相当上空に照明の設備をとばしておかないと、その下にヘリコプターが吊れないということになりますので、ダイナミックな演出をするためには、ある程度、高さは僕のほうとしては、ほしいかなと。

あとは、貸館対応の場合、高さがないと、数十分でおさまるものが、数時間かかってしまうと。そうするとランニングコストのほうに大分響いてくるかなと思いますので、高さがあるとそういうところでも稼げるかなと思っております。

あとは目的をもってその劇場が設計されていれば、多目的というのはマイナス方向に捉えられがちなんですけれども、そこのホールの強いジャンルというのを明確につくって、近隣のホールとの住み分けをきちっと出していけば、僕は第一ホール、第二ホール、そこが強いジャンル、うちはこういう目的に最適な多目的な目的をもっていますということで処理できると思います。

一館で全部できるかというと、正直逆に一館でなんにもできなくなると思います、ここは幸いにも第一ホール、第二ホール、小ホールとスタジオがあります。コンサートホールもありますので、明快な住み分けはこの地域では可能じゃないかと思っております。

最後に、今度は稽古場、リハーサル室ですね、これが持てるという案がありますので、僕は非常にありがたいことだと、要は創造する現場からすると用意する作業場がほしい、なるべく広く、空間がゆったりして、つくりたいと。僕は常にここが創造活動ができる芸術の拠点として、あるためにはリハーサル室を含めたスペースが必要かなと思っていますので、高さだけでなくリハーサル室も含めた全体的な計画が十分行われるように少しでも参加できればいいなと思っています。

伊藤久幸 財団法人新国立劇場運営財団技術部長
岡崎甚幸 武庫川女子大学生活環境学部建築学科教授、京都大学名誉教授 委員長に選任
尾崎学 担当課長 文化芸術都市推進室事務局員

■京都会館の建物価値継承に係る検討委員会関連記事
関連リンク
2011-06-24 「京都会館再整備基本計画」の策定について-「京都市情報館」

伊藤久幸氏関連
2007-10-18第5期文化審議会文化政策部会第3回議事録
舞台技術者の養成、現職研修及び業務の現状と課題等
2008-02-08 舞台技術者養成のためのハードル ~目指せ! 夢のある職場~-伊藤久幸



第2回京都会館の建物価値継承に係る検討委員会 摘録より

1 開 会
(1) 資料の確認
事務局

(2) 委員長挨拶
・ 岡﨑でございます。よろしくお願いいたします。
議論に先立ち,前回欠席されていた伊藤委員が,本日は出席されているので,伊藤委員から自己紹介と,前回各委員の皆様から頂いた発言,すなわち,「基本設計を進めるに当たって,継承すべき建物価値をどのように考えるか」,また,「基本設計に当たって,配慮あるいは検討すべき点」などについて,舞台技術者の御専門のお立場から御意見をいただきたい。

伊藤委員
・ 新国立劇場の技術部で部長をしている。
・ 仕事内容としては,舞台装置,衣装,メイクや小道具などのプランを受けて,舞台に乗るかどうか,予算の中に収まるかどうか,技術的にできるかどうか検討し発注やランニングをやっている。よろしくお願いしたい。
・ 前回の会議録を読ませていただいた。
私は京都会館に幾つか思いがあり,まだ新国立劇場に入る前,フリーの時代に全国の劇場で仕事をしてきた。
・ 演劇やミュージカルで全国を回り,その中には京都会館の第一ホールと第二ホールも入っており,その時の思い出が強く残っている。
まず,我々裏方の立場からすると,劇場の評価ではないが,舞台のどこをまず見るかという点で,要素は3つある。
・ 一つは間口,一つは奥行き,そしてもう一つは高さ。この三点である。舞台監督を当時やっていて,その時に間口に飾れるかどうか,要は見切れるかどうか,奥行きで飾れるかどうか,アクティングエリアが取れるかどうか,それで,最後の高さのところで装置が果たして転換できるかどうか,ということを考える。
・ 平面に置き換えた間口と奥行きに関しては,我々が何とかやりくりし,「今日はすいません,ここから前に出てください」ということを役者に伝えることができるが,さすがに高さの方では,装置が飛びきらないというケースがある。
・ そういう場合,ドロップであれば(上部を)巻いて飛ぶようにする,要は絵を切ってしまう,パネルの方では,大胆に今回はここでは吊れないということでカットしてしまう,そのようなことは少なからずあった。
・ この3つの要素が,できれば京都会館の第一ホールと第二ホール,特に第一ホールでクリアになれば,我々裏方から見た3つの要素がすべて揃うのではないかと思っている。
・ それと,高さに関しては,最近の現代演出というのはダイナミックな演出が多い。例えば,昔は「幕が下りてきた」,「パネルが下りてきた」程度の薄いものが下りてきたということで対処できるが,最近の現代演出というのは塊が降りてくるケースも多い。
・ そんなに新しい作品ではないが,「ミス・サイゴン」ではヘリコプターが上から降りてくるという演出があり,相当上空に照明設備を飛ばしておかないと,その下にヘリコプターが吊れないということもある。ダイナミックな演出をするためには,ある程度の高さが必要になっている。
・ 貸館で,例えば,音響の天井反射板が入ることになった場合,幕をばらさないと天井反射板が飾れないということになると,貸館の準備時間が数十分で済むものが数時間掛かってしまうこともあり,貸館対応の場合はランニングコストに響いてくるということになる。高さというものは割とこうした点でも必要になるかと思う。
・ 多目的ホールの「多目的」という言葉はどうしてもマイナスの方向にとらえられがちであるが,目的をもって劇場が設計されていれば,このホールの強いジャンルを明確につくり,近隣の施設とのすみ分けをきちんと出していけば,第一ホール,第二ホールで強いジャンルで明確にすみ分けをつくって,こういう目的に最適なものを持っているということで対応できるのではないかと思う。
・ 一館だけで全部ができるというと,逆の言い方をしたとき,一館では何もできないという言い方にもなる。京都会館には幸いにも第一ホール,第二ホールと小ホールというかスタジオがある。
それと京都市にはコンサートホールもあるので,明確なすみ分けは,この地域では可能ではないかと思っている。
・ 最後にもう一つ,今度は稽古場,リハーサル室であるが,これを持てるという計画案があるので,私は非常にありがたいことだと思う。要は,我々創造する現場の者からすると,良いものをつくる場所が欲しい。なるべく広く,なるべくゆったりとした空間をつくりたい。私は常に劇場が創造活動のできる芸術の拠点としてあるためには,リハーサル室を含めたスペース,そこがやはり必要ではないかと思っているので,高さだけではなく,リハーサル室を含めた全体的な計画が十分行われるように,少しでも協力できればよいと思っている。

岡﨑委員長
・ 伊藤委員から,ダイナミックな演出のための高さの必要性,それから,第一ホール,第二ホールがそれぞれ目的を持つことが必要ではないか,また,稽古場があって,それが芸術活動を活発にする,そういう3点の御意見をいただいた。

by 2011-kyoto | 2011-11-19 00:03 | 2011/11
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