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2012-01-16 京都会館建物価値継承委員会 第3回会議 傍聴メモ(7)意見交換:ピロティ中庭の価値を継承その他
京都会館建物価値継承委員会 第3回会議 傍聴メモ(7)意見交換:ピロティ中庭の価値を継承 その他

(敬称略)

(6)のつづき

5) 大庇とその陰影を守り第一ホールの壁面ラインの継承について
6) ピロティ-中庭の価値を継承し魅力的な空間として整備することについて
7) 手すり、欄干の意匠の保存について


岡崎委員:

その次は「大庇とその陰影を守り第一ホールの壁面ラインの継承
これはどうでしょうか。第一ホール壁面ラインの継承とうのは、これは京都市の方、どういう意味ですか?


事務局

今回第1ホールの建替にあたりまして、北側と西側の壁面、それはもともとの既存の建物のラインのベースで継承しようという考えです。


岡崎委員:

二条通りに面した一番東側の会議棟が新しく増築になっていますね、これはどうしてもここを埋めなくてはいけないのでしょうか。できればすがすがしい、東の端は。。。増築されていませんか。


香山

すでに増築されているのを元に戻します。


岡崎委員:

どうもすみません。


道家委員:

大庇ですけど、ディテールをみていますと、プレキャストでつくって、プレキャストをコンクリートに打ち込んで固定するという工法で作られている、そういった工法等の継承はどうでしょうか。しかも大庇自身は薄いプレキャストで軽くつくられています、いろんな技術的なトライなどはどうでしょうか。


福島(事務局):

大庇のPCのところなんですけれども、詳細な調査がまだ行われているわけではないのですけど、おっしゃるとおり、前の写真でもご覧になれますように、薄い形で庇が形成されていますので、そのあたりが今の技術で完全に復元できるかどうかも含めて検討中です。


香山

現状の前川先生のデザインは水平にはいっている桁のうえにプレキャストがのっかってるわけですが、実はその留め方も非常に弱いわけですね。ですから、それを今後どのようにするかは大問題なんですけれども、今、あのような不思議な補修がなされているのは、根っこが止まっていないような状態の補修がなされていまして、ここはなんとかしないと、通る人の頭の上に落ちてこないようにしないといけません。外形を守る、これは大前提ですし、プレキャストの留め方自体もできるだけ、もとの形を継承したいと思っていますが、角のところをどうするか、基本の断面も含めて検討しないといけません。重大問題です。

pdf資料9 既存意匠の継承に関する検討項目参照


道家委員:

形だけでなく前川事務所として、技術的なこの時代いろんなトライをしておられるんですね。これについては別のピースを留めるということではなくて、プレキャストで作ったものを打ち込むという梁と一体させるという工法でしたので、これを現場打ちの大庇にするということにしますと、いわば偽者といったら変ですけれども、そういう技術が確かめられるんであれば、継承していただいて、プレキャストというのはあとで取替えがきくという、そういうこともお考え頂けたらと思います。


岡崎委員:

次は「ピロティ中庭の価値を継承し魅了的な空間として整備すること」中川先生先いかがですか?


中川委員:

基本的には現状のまま、このあとの部分で出てきますけど、それぞれの部材の継承ということもありますので、中庭をいじるといっても具体的に、物理的に何か新しいものをつくるということにはならないと思いますし、それでいいと思います。


衛藤委員:

中庭に関しては先ほど、別柱であってはいけないという共通ロビーのところで話しがでていたと思うんですが、別柱は話しにならないと思うのですが、確かにここに格子がはまっていて、今まで、前川建築はすばらしいんですけれども、何かがこう、京都の中で、京都らしいのかと、スケール感に逆に違和感を感じておりました。そういう意味で、新しい格子のデザインが大胆に入るのは個人的にはいいと思いました。ぜひこのあたりをいろいろ考えていただいたらと思います。


岡崎委員:

僕は何回見ても違和感がありますね。もとの中庭がなくなってしまったような気がしまして、やはりある程度外観は継承していただきたいという気がしています。私があまり議長としてこんなこと言うべきではないのでしょうけど。。。

それから、6番は「手すり、欄干の意匠の保存について」でございます。市の説明だとなんだか難しい話みたいで、ちょっと先行き不安な、なくなってしまうのですか?


福島(事務局):

前の画面をみていただくと、PCの厚みが非常に薄くて劣化が激しいというのが現状です。安全面を含めてそのまま利用できるかということを詳細に検討しないとだめだなと思っております。どうしても駄目だなという部分は交換するということを考えないといけないです。手すりの高さが外側で1m3cmくらいしかないので、1100(cm?)の寸法を確保しないといけないので、このままでは基準を満足しませんので、そのあたりの安全面の点でも考えないといけないです。


岡崎委員:

このごっつい手すりが薄すぎるというのはわからないんですけれども、何センチくらい?


福島(事務局):

詳細なディテールはここにはありませんので、すぐにはお答えできないんですが、もっとも薄いところで厚みが6cmくらいです。その中に鉄筋がはいっていますので、いまの技術で復元するには難しいかなと


岡崎委員:

しかし、ここの手すりは自動車がぶるかるわけではないし。。。コンクリートでがんばってほしいですね、
これだけ数があるから、スチールを使用したとしてもそんなに割高にはならないんじゃないでしょうか。


香山

取り替えるとしても、形は元通りのものを作ります。ただ上の写真もそうですれども基本的に6cmの厚みになっているですね、ご存知のとおり鉄筋を保護するために3cmですから、3cm、3cmということになると何も残っていないわけですから、成り立たない厚さになっているので、技術的に検討しなくてはいけない。内部化すれば雨水にさらされるということがないので、別の考え方があるかもしれません。ただ形状は守るようにするつもりです。


岡崎委員:

とにかく元の形状を継承する形にしていただけたらと思います。


香山

手すりも支えるやり方は積み上げてつなぐような、前川先生があの頃の技術的なアプローチで盛んにやったやり方なんですね。ご存知の通りたくさん崩壊して事故をおこしています。そこまで継承すべきかどうかは、これはしかるべき改良を加えなくてはいけないだろうと思います。


■京都会館建物価値継承委員会 第3回会議 傍聴メモ(7)意見交換:ピロティ中庭の価値を継承その他
衛藤照夫 社団法人京都府建築士会会長
岡崎甚幸 武庫川女子大学生活環境学部建築学科教授、京都大学名誉教授 委員長に選任
道家駿太郎 社団法人日本建築家協会近畿支部京都会会長
中川理 京都工芸繊維大学工芸科学研究科教授(日本建築学会推薦)
所長 香山壽夫 代表取締役 京都会館基本設計業務受託者
福島正俊 建築担当課長 都市計画局公共建築部事務局員


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by 2011-kyoto | 2012-01-16 00:09 | 2012/01
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