2012-01-20 「耐震・景観?名建築の行方」 -「MBS VOICE」
「耐震・景観?名建築の行方」
22日、市長選挙が告示される京都市では、いま歴史ある名建築の建て替えを巡って一部の住民や建築家たちが行政と対立しています。

 市は耐震補強などを理由にあげているのですが、住民側は建物の価値と景観を守るよう求め、強く反発しています。

「京都会館」は長年に亘って、クラシックの公演や五花街の舞妓さんの京舞公演など様々なイベントに使われてきました。

 完成したのは、昭和35年。

 日本を代表する建築家・前川國男さんの設計でした。

 東山の景観との調和を配慮した佇まいは、「戦後モダニズム建築の傑作」と評され、日本の近代建築100選にも選ばれました。

 建築の専門家、松隈洋教授は「京都会館」の価値をこう評価します。

 <京都工芸繊維大学 松隈洋教授(建築史家)>
 「1950年後半、ちょうどあの『ALWAYS 三丁目の夕日』のような時代なんですけど、そういう中にコンクリートの少なくとも大きな建物を造るときに、そんなに大げさにしてはいけない、高い物を建てちゃいけない、なるべくこの景観に合ったそういう建物はどうやったら造れるんだろうかということで、なるべく低く低く抑えながら景観になじませる、そういうふうに考えたんだと思います」

 では、なぜ建て替えが必要なのか。

 京都市の担当者に案内してもらいました。

 これが、取り壊されるメインホールです。

 座席の数は2,015席ありますが、客席のシートは古くて幅も狭いほか、舞台周りに設置された機材もかなり老朽化が進んでいます。

 <京都市文化芸術企画課 尾崎学担当課長>
 「舞台が狭い。特にバレーなんかでお聞きしますと、他のホールでできることが『京都会館』ではできない、演出上も人が(舞台に)乗り切らないということで、例えば20人乗るべき所、人数を落として演出を変えて演目を構成しないといけない」
さらに、担当者の説明によると通常2,000席程度の劇場では、舞台の天井の高さは演出上、27メートルが標準ですが、このホールは半分程度。

 このため、今の倍近くは高くする必要があるといいます。

 <京都市文化芸術企画課 尾崎学担当課長>
 「演出上、ものを上げ下げする形で、『吊物演出』になりますが、一般的に行う『吊物演出』、それがここではできない。高さが絶対的に不足しているというのがまず大きな課題」

 では、天井を高くすると、「京都会館」の外観はどのように変わるのでしょうか。

 市の計画をもとに再現してみると、屋根の部分は10階建のマンションの高さに達します。

 これに対して建築の専門家や反対住民は、建物の価値が損なわれるだけでなく、
景観も破壊されてしまうと危惧しています。

 <京都工芸繊維大学 松隈洋教授(建築史家)>
 「この岡崎の景観に都市的なビル見たいなものを建ててしまうことになるので、この疏水沿いの穏やかな風景は完全に破壊されてしまうのは目に見えてますね」

 今回、住民側が「京都会館」の大規模改修に反対する理由は、それだけではありませんでした。 

<京都市 門川大作市長>
 「機能がみたされなければ無ければ、建物の意味がない。古い文化財ではない。ホールはホールとしてしっかりと機能する事が利用者の願い」
 「景観は壊れませんよ、楽しみにしていてください」

 一方、共産推薦の中村和雄弁護士は・・・

 <中村和雄弁護士>
 「文化財として非常に価値の高い建物。こんなものを簡単に壊されては困る。出来る限り残した形で、内部の環境を整備していく。白紙撤回して、もう一度議論してから『京都会館』の再整備計画を考えいきたい」

 長きにわたり親しまれてきた地域の景観を守るのか。

 それとも、新しい京都の顔を築いていくのか。

 市民は難しい選択を迫られています。
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■「耐震・景観?名建築の行方」 -「MBS VOICE」
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by 2011-kyoto | 2012-01-20 00:00 | 2012/01
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