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2012-03-06 京都会館建物価値継承委員会 第4回会議 傍聴メモ(6) 増設予定の共通ロビー 各委員の意見2
※京都市の第4回京都会館の建物価値継承に係る検討委員会 摘録が03/27に公開されましたので、下記にあわせて掲載させていただいています。(2012/03/27記)

京都会館建物価値継承委員会 第4回会議 傍聴メモ(6) 増設予定の共通ロビー 各委員の意見2

(5)のつづき

共通ロビーと景観検討写真についてはこちらもご覧ください
(敬称略)

伊藤委員

使う側としていくつかお願いしたいところがあるのですが。現在、人が集まるというところで、共通ロビー的場所がないというところが、ないんですね。仮に共通ロビーがなくて、待つところがなくて何かあった場合には、寒い日にどこで待つんですか?雨降った日にどこで待つのでしょうかと、、、ここにいらっしゃる先生方は、皆さん、並ばれた経験がないんじゃないか、と思うんですよ。今、ロビー開場が60分前、劇場内の客席開場が30分前ということになりますと、最低30分待つということがどのくらいのことかということを、僕は考えたほうがいいかなと。たとえば、これを商業施設というふうにみると、あそこは寒いからいかない、あそこは雨風が吹くからいかない、あそこは夏の暑い日には待つところがないからいかないというのが、今、正直なところではないかなと、たとえばこれで新しく中ができましたといったところで、お客が並ばないのであれば、これは何を一体改修したのかということになるだろうと。それで僕としては共通ロビーがガラスで、手すりが外になった場合でもこの多分タイル4枚分くらいしか幅がないと思うんですね。そこに2000人というお客さんを考えると、ほとんど並ぶ場所がないんじゃないかと。現状でもちょっと狭いかなと思うんですが、僕は改修されるにあたって、建物の価値というのも当然あると思うんですが、人が集まらないような場所に改修してもどうかなと思います。やはり人がまずどういうところだったら集まれるか、ロビー開場前の30分間、外で待てるのかを、この図面のどこから読み取れるのかを僕はきちんと考えれば、やはり最低でも共通ロビーがあって雨風少なくとも当たらないところで待てますというところを作らない限りは、新しい劇場をつくりましたということにはならないかなと思います。

澤辺委員:

建物価値の継承からといいますと、かなり私の思っている、大庇とか、ピロティとか、吹き抜けとか、大分理解できるようになりまして、ありがたいところです。
今回一番厳しいかなと思いましたのは、2階の欄干を手で触れられるということが初めてわかりまして、京都会館に何回も通っていますが、2階にあがったことがありません、欄干すら知りません。この間見に行きました。第1ホールのはいるところの階段の縁にあったので、「あーこれやったんやな」と思いました。
こんなすばらしいものがあるのに知らない。誰の責任やと思ったんですね。
今回共通ロビーができるということは、本当に文化財ということであればですねこれを手に触れられるということが、うれしいですね。また、若干形の上では前から落ちたガラスが建つということもありますが中で欄干を眺めて触れさせていただけるというのはいい機会ができたかなと思いますので、ぜひとも共通ロビーというのは、私は作っていただきたいなぁと思っております。ただ建物の価値はてんでわかっておりませんので、正味高さのことを考えたら、欄干というのか手すりというのか、また直さないかんという話しが先ほどありましたので、それならば囲んで既存のやつを丁寧に直していただいて、そして我々の手すりというところで暖かみのある建物を感じられるようになればうれしいかなぁと、以上です。

岡崎委員:

多少意見の分かれるところでありますけれども、今の問題について。。。


衛藤委員:

あの、共通ロビーはぜひとも残していただきたいと思っているんですけれども、今、ガラスを少し後ろにということで、共通ロビーが全く使い物にならなくなるのかどうか、逆にきっちりいっぺんみてみたいなと思うんですけど。

今、1階に関しては、先ほど私が申し上げたのは躯体の下までガラスが下がりますから、1mほどさがりますから、北の端のところは考え方があるかもしれませんが、少し大きくほど3,4mほど下がってくるわけですよね。
2階に関しては京都市さんからも言われたから2mちょっとしかないんだと、柱の外側に2mちょっとしかないところがあって、その外に屋外のバルコニーがでてると、欄干をさわろうと思えば、屋外のバルコニーに出れば触りにいけるわけですが、そうやったときに、確かに広いとは私も思えないですが、全く使えないのかなぁということが疑問として残ります。
それよりも先ほどの荷重の問題のほうが、僕は、設計者としてはショックで悩んでいるところですけれども、荷重の問題はさておきますと、全く使えないかどうかは検証して、使えないことはないのではないかという希望的観測をもちたいです。

橋本委員 

資料5の3枚目ですか、これを見ると柱から手すりの欄干の内側まで3m400ありますよね。たとえばそこから300引いただけでもサッシの外側が3m100とれるんですよね。サッシの幅の見込みが200としても約3m弱はとれるんですよね。それでなおかつ1階の配置図を見ますと、それの影響があるところが、第2ホールの側の部分ですよね、実際には2階の、第1ホールの部分は、今回H通りのサッシはなくなっておりますので、かなりのスパンで中庭を室内化できるわけですよね。サッシをひっこんだとしても。2階においてもF通り、G通りの間の部分の幅に関して2m900くらいになるけれども、その他共通ロビーはワンスパンあるわけで、実際にはかなり広いですよね。それでなおかつ第1ホールのもぎりまでの共通ロビーと称している階段の内側が2、300後ろに引っ込んだとしても、それの提供するロビーがなくなるとか、そういう概念では全くないと思うんですよね。

共通ロビーをなくすということではなくて、僕は共通ロビーはすばらしい考えだと思いますので、これはぜひやるべきだと思っていますので、サッシの位置関係をもう少しディテールを含めてひっこめるということができないかどうかは検討する価値があると思います。

道家委員:

今、近代的な劇場は待つスペースがないといけないというような言い方をされると思うんですが、これは地域地域の習慣とか、この建物を皆がどのくらい愛するかということで決まる話しなので、たとえば南座の前は常に顔見世のときに、あそこに庇を全部つくれなどという話しは誰もでてこない、あそこはそういうところだと。いうことでやられているわけですから。たとえばこの中で200人が中に入れなかったとしても、これが問題になることはならない。特に待ちの行列の線が、これでいけば1m線がせまくなることによって収容力が、待つ列がかなり制限されるということにはならなくて、むしろ、これで2重にもなれるスペースがあるわけですから、そういうところはもっと技術的な面でサポートをして待てるということで議論をしていただきたいと思います。概念だけでこういう問題は扱えないんではないかなと思います。それで今のプランで狭くなって困るというのは、自動販売機置き場と共通ロビーのトイレがこの角のところになりますので、ここが一番狭くなるので、あとは十分、2階の共通ロビーもとれますし、後は調整でできることであって、
室内に入れてしまうか、出してしまうかという、欄干をみせるべきかという判断でやはり基本的にはやるべきではないかと思います。

岡崎委員:

いかがでしょうか。
先ほど荷重の話しがでていましたけれども、2階を下げたら当然1階も下げてくれという話になりますよね。サッシの位置も。


福島(事務局)

1階部分ですけれども、もともと外壁面が形状になっていますので、実際はその下に共通ロビーといわれている空間、3m50くらいの寸法に今なりますが、これを内側にもってきて上と通すようなことにすると非常に狭い空間になりますので、その分はなかなか平面的にはむずかしいと考えています。


岡崎委員:

1階のサッシで工夫すれば、2階のサッシの荷重は十分もつのではないかと思うんですよね。
そういう点と、2階の便所も本当にせまいのはF-Gの箇所など一部だけですよね。
ただなんで便所の形がF-Gの箇所、変更してただけない、対応していただけないのかなぁと、いう感じはしているんですけれどもね。
やはり中川先生がいわれたように機能とか平面計画は一切変わらない。それでデザインをやりなさいというのではちょっと難しいので、お互いに譲り合って、いいものをつくっていくというのが大事じゃないかと思うんですよね。ここで結論がでるかどうかはわかりませんが、委員会としては専門の皆さんのご意見はやっぱり前川先生の意匠を残してくれという意見じゃないかと思うんですね。
さっきの香山先生のお話によれば前川先生の大枠の中でなんとかお願いできないかというお話しなんだと思うんですけれどもね。一度ご検討をいただけますか。


伊藤久幸 財団法人新国立劇場運営財団技術部長
衛藤照夫 社団法人京都府建築士会会長
岡崎甚幸 武庫川女子大学生活環境学部建築学科教授、京都大学名誉教授 委員長に選任
澤邉吉信 岡崎自治連合会会長
道家駿太郎 社団法人日本建築家協会近畿支部京都会会長
橋本功 前川建築設計事務所所長

■京都会館建物価値継承委員会 第4回会議 傍聴メモ(6) 増設予定の共通ロビー 各委員の意見2

2012-03-06 京都会館建物価値継承委員会 第4回会議 傍聴メモ(5) 増設予定の共通ロビー 各委員の意見1

■京都会館の建物価値継承に係る検討委員会関連記事

2012-03-06 京都会館建物価値継承委員会 第4回会議 傍聴メモ(3) 増築予定の共通ロビーと景観検討写真




第4回京都会館の建物価値継承に係る検討委員会 摘録より
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伊藤委員

・ 使う側の意見として,人が集まる劇場として共通ロビー的な待つ場所がない劇場はない。仮に共通ロビーが出来ないとすると,待つところがないので,寒い日や雨が降った日にはどこで待てばいいのか。
・ 実際に開場待ちで並ばれる側に立って考えることが必要ではないか。
今,通例としてロビー開場が60分前,客席開場が30分前である。
外で30分待たせることがどういったことか考える必要がある。
・ 例えば,商業施設として見ると,京都会館は寒いから待つのが大変だ,雨風が吹くときや夏の暑いときに待つ場所がないから行かない,ということになるのが実状ではないか。
新しく建物ができたといっても客が並んで待つ場所がないのでは何を改修したのかということになる。
・ 共通ロビーにおいて手摺が外になった場合,床のタイル4枚分程度(2メートル程度)の幅しか確保できていないと思うが,そのときに2000人をどのように待たせるのか,現状のプランでも少し狭いのではないかと考える。改修されるに当たっては建物の価値もあるかもしれないが,人が集まらないような場所に改修してどうするのかと思う。
・ 人がどういったところなら集まれるのか,本当にロビー開場まで外で待てるのかということを考えると,最低でも共通ロビーがあって,中で雨風の当たらない環境をつくらないと新しい劇場になったとは言えないのではないかと思う。


澤邉委員

・ 建物価値の継承という点について,大庇や吹き抜けといった専門用語は理解できるようになったが,今回一番いいと思ったのは,2階の欄干を手で触れることができることが初めて分かった。
・ 京都会館には何度も通っているが,欄干のある2階に上がったことは初めてで,欄干があったことすら気にしたことがなかった。
先日見に行ってみたが,第一ホールに入る階段の位置に欄干があり,これだったのかと初めて意識した。
・ このような素晴らしいものがあるのを今まで知らなかったのだが,今回,共通ロビーができるということは,この建物が文化財ということであれば,これを実際に手で触れて,感じることができるのはうれしいことだと思う。
・ 若干,形の上で,外部から見たときにガラスの衝立が立ったようなものだとしても,内側のロビーからこの欄干に触れ,外を眺めることができる機会もできるのではないかと思う。
・ 2階までの共通ロビーがつくられることを希望するが,建物価値という点でいうと,この手摺の高さは法的,機能的に直さないといけないということでもあるので,外側で囲むことにより,既存の手摺を丁寧に直し,温かみのある建物になればうれしいと考えている。


衛藤委員

・ 共通ロビーの案は是非とも残してほしいと思っているが,ガラスを少し手摺の内側に設置した場合に共通ロビーがまったく使いものにならなくなるのかを知りたい。
1階に関しては,躯体の真下までガラスが1m程度内側にくるが,北端の風除室のところは考え方にもよるのかもしれないが,少し大きく3m程度になると思う。
・ 2階に関しては,事務局から有効2m程度しか確保できないとのことであったが,柱から2m程度のところにガラスがあり,その外側に屋外のバルコニーが残る。
欄干を触ろうとすると,屋外バルコニー部分に出ることを許容すれば触りに行くこともでき,その場合に2階部分が広いとは思わないが,まったく使えないものなのかということには疑問に思う。
・ 荷重の点については,設計者としては確かに気になるが,内側に設置することがまったく使えないものかどうかを検証した上で,荷重の増減を考えて方法はあるのではないかとの希望的観測を持っている。


橋本委員

・ 資料5の3枚目を見ると,柱から手摺の内側まで3メートル40センチある。例えば,そこから30センチ下がったとしてもサッシまで3メートル10センチは確保できる。
・ サッシの幅の見込みを20センチとしても,通路の幅を2メートル90センチは確保でき,なおかつ1階の配置図を見ると,その影響があるところは第二ホールの側壁部分である。
ここが先ほど伊藤委員がおっしゃった通路部分である。
・ 1階の第一ホールの部分については,今回,H通のサッシがなくなっているので,サッシをセットバックさせたとしても,かなりのスパンで中庭を室内化できる。
2階においても,F通のある部分からG通にかけての部分が2メートル90センチ程度になるが,あと1スパンあるので,実際にはかなり広いものである。
・ なおかつ,第一ホールのもぎりまでの共通ロビーで階段の内側も20センチ,30センチ後ろに引っ込んだとしても,それにより共通ロビーがなくなるようなものでないと思う。
共通ロビーをなくすというものではなく,その考え方は非常に素晴らしい考え方だと思うので,サッシの位置関係に関してディテールを含め,もう少し後ろにガラスの壁面を建てることができないのかということを検証する価値はあるのではないかと思う。


道家委員

・ 近代的な劇場には待つスペースがなければいけないといわれるが,これは地域の習慣やその建物を皆がどれだけ愛するかということで決まってくるものである。
例えば,南座の前では顔見せの際には多くの人だかりで盛り上がっているが,そこで南座に庇をつくってほしいという話はない。
南座はそういうものだと皆が納得している。
・ 京都会館において,200人が共通ロビーの中には入れなかったとしてもそれが問題になるようなものではない。
特に,待ちの行列の線が入っているが,これでいうと,1メートル狭くなったからといって収容力が制限されるということには多分ならない。
・ むしろ,2重に並ぶこともできるぐらいである。もっと技術的にしっかりと何人がここで待てるのかと検討をしていただきたい。この問題は概念だけで扱うようなものではないのではないか。
・ 今のプランで狭くなって困ると言っているのは,2階の自動販売機置場と共通ロビーのトイレの部分であり,ここが一番狭くなっているのであって,それ以外は8メートルの1スパン分が2階の共通ロビーで確保でき,そういったプランの調整で解決できるものであって,囲って室内に入れてしまうのではなく,外に出して欄干を見せるという判断をすべきではないかと思う。


岡﨑委員長

・ 先ほど荷重の問題があるとのことであったが,2階のサッシを下げた場合は当然1階部分もガラス壁面の位置を下げることになると思うが。


事務局(福島都市計画局公共建築部企画設計課建築担当課長)

・ 1階部分については,元々,外壁面からバルコニーが出た形になっており,実際にその下の共通ロビーの空間については3メートル50センチ程度の幅になっているので,それを内側に移設して2階部分の位置と合わせるとロビーが狭くなり,平面的に難しいと考えている。


岡﨑委員長

・ 1階部分のサッシを工夫すれば,2階部分の荷重は十分持つのではないのか。
狭くなるという,この2階の便所もこの位置にこの配置でないといけないのか,変更して対応できないのかと感じる。
・ 機能や平面計画は一切変わらないで,デザインをしていくのは難しいので,お互いに譲り合って良いものをつくっていくことが大事ではないかと思う。
ここで結論が出るかどうか分からないが,この委員会の専門家の意見は前川先生の意匠を残してほしいという意見だと思う。
先の香山先生のお話によると,前川先生の枠の中でできないかということだと思うが,御検討をいただきたい。

by 2011-kyoto | 2012-03-06 00:06 | 2012/03
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