2012-06-22 検討委員会提言を受けた基本設計内容/景観シミュレーション-「京都市情報館」
検討委員会提言を受けた基本設計内容/景観シミュレーション

2012/06/22 「京都会館再整備工事 入札公告について」より下記を抜粋してご紹介しています。

pdf02-1 検討委員会提言を受けた基本設計内容/景観シミュレーション(1~4-2)(ファイル名:03_sekkeisetumeisho02-1.pdf サイズ:5.72 メガバイト)
pdf02-2 検討委員会提言を受けた基本設計内容/景観シミュレーション(5-1~5-10)(ファイル名:03_sekkeisetumeisho02-2.pdf サイズ:4.28 メガバイト)

口京都会館再整備(工事に関る)基本設計の総括 香山壽夫

京都会館再整備の目的は,要約すれば, 「これまで長く市民に愛され,親しまれ,また専門的にも高く評価されてきたこの建築の,優れた特質を尊重し,保ちつつ,さらに今後長く,生きて使われる建物として存続できるよう,必要な保守・改良の手を加えること」と言うことができよう。
 この目的を実現するために,京都市は平成23年3月「京都会館再整備基本計画」を策定したが,その方針の基本は,基本設計につながる問題として,次の3点にまとめられる。すなわち,
 1) 第1ホールは建て替える
 2)第2ホールおよび会議棟は保存・改修する
 3)会館全体を一体的に,そしてより活溌に,利用できるよう諸空間,諸機能を拡充・向上させる
という3つである。
 この基本設計は,いかにして,この基本方針を具体的に実行するか,そのための方法をまとめたものであるが,その検討にあたっては,先ず,平成23年10月より5回にわたって行われた「京都会館の建物価値継承に係る検討委員会」における議論とその提言を根底に踏まえ,そしてさらにその上で,さらに広く,多方面からの市民,専門家の意見,要望に耳を傾けつつ,建築家としての総力を注いで,まとめ上げたものである。この基本設計の要点を,「京都会館の建物価値継承に係る検討委員会」の提言の主要なる論点,すなわち, 1)空間構成, 2)外観意匠, 3)景観要素, 4)材料,の4つにおいて総括的に述べる。

1 )空間構成
 二条通に面するピ口ティから,中庭に入り,更に第1ホールのホワイ工を通して冷泉通を見通せる空間の流動性は,この建築の大きな特徴である。この空間の特徴は,基本設計において,十分に尊重し,保つものとする。さらに単に保つだけではなく,現在のように,通常は通り抜けることのできないホール専用のロビーを,誰もが通り抜けることのできる,共通ロビーとすることによって,現在以上にその空間の流動性は強調されることになろう。また中庭に沿って,第1ホールと第2ホールをつないでいる現在のバルコ二ーは,透明性のあるガラス皮膜で包むことによって内部化する。このことによって,現在のバルコ二ーの上と下の空間は,会館全体の一体利用のために不可欠な共通口ビーとなるが,これは,現在の「開かれた公共空間」としての中庭の特徴を,更に強化するものとなるだろう。

2 )外観意匠
 建物の上部をめぐる大庇,そしてプレキャス卜・コンクリー卜の手摺をのせた中層部をめぐるバルコ二ーも,現京都会館の好ましい特徴として,広く受け入れられているかたちであって,基本的にこれらは,すべて現状のかたちで,保存あるいは再生する。バルコ二ーを新しいガラス壁で包む場合には,ガラス壁は手摺の外側に立てることにする。
もし,内側に立てるならば,一体不可分のパルコ二ーと手摺のかたちを害うことになると判断するからである。
 大庇は,新しく建て替る第1ホール部分においても,現状と同じかたちを再現する。隅部にみられるような当初よりの構造的欠陥もあるが,これは下方からの見え方を害わないようなかたちで,改造する。この大庇を支えている下部のRCラーメン構造の柱梁の構成,その間に取り付けられているサッシ窓も,可能な限り,原型を保存あるいは再生する。柱梁の造形も大庇と一体であると判断するからである。
 第2ホールのホワイエは,この建物の二条橋からの印象を決定づける重要な空間であるから,その基本的な特徴は保つことにする。

3) 景観要素
 建築が,都市景観を決定する重要な要素であることは,改めて述べるまでもなく,設計の際にこれを考慮すべきことの大切さは,いかなる建物においても基本であるが,京都岡崎のこの地に立つ京都会館においては,とりわけ重要である。このことから,基本設計の全ての段階において,建物全てのかたちの,あらゆる方向からの見え方について検討を重ねた。
 第1ホールが,求められる機能を最小限満たすためには,すでに「再整備基本計画」が明らかにしているように,客席上部を覆う屋根の形状と,舞台上部を覆うフライタワーの形状とを,変更せざるを得ない。その変更が,周囲から見られた時に,不快感や圧迫感を与えるものであってはならない。しかし,変更がすなわち建物の特質を破壊し,周辺の景観を害うものと断ずることは正しくない。たとえ,その高さが,現状より若干高くなったとしても,その全体のシルエッ卜,その分節の比例,そしてその外装の軽快さによって,現在の建物の特質を保ちあるいはむしろ更に強調し,そして又,周辺からの見え方をより心地よいものにすることが可能だからである。この基本設計は,そのようなかたちが実現されるよう,数多くの検討を重ねた上で,決定された。

4) 材料
 この建物には,外壁の重厚な煉瓦タイル, ピ口ティや中庭,ロビーの床に楕円形に敷かれたピンコロ石,あるいは内装の重厚な木仕上等々,空間を特徴づける独自の素材が使われている。そのような材料は,できるだけ生かして,保存・再生していく。しかし,後に詳述する如く,素材によっては,維持保存に困難が生じているもの,あるいは,利用者にとって危険なものもある。これらについては,かたちの特質を上手に保ちつつ,改善していく道を探る。
 個々の項目については,続いて詳しく具体的に述べることにするが,それら細部全てにおいて,この基本設計が,実施設計そして工事施工において完全に遂行されることを,強く期待するものである。そしてその結果,ここに示された理念が,正しく実現するならば,「近代建築の保存は,何のために,そしていかになされるべきか」という,今日多くの市民,専門家の関心を集め,かつ,その論点と方法が必ずしも明確でない課題に,ひとつの確固とした筋道が導き出されるものとなろう。そのことは,とりもなおさず,日本の近代建築の出発の時代に,この建築が切り拓いた,先導的な役割が,建設後50年を経て今一度新たなものとされることに他ならない。

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■2012-06-22京都会館再整備工事 入札公告について-「京都市情報館」


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by 2011-kyoto | 2012-06-22 00:01 | 2012/06
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