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2012-07-13 第3:監査の結果-1事実関係-(1)京都会館の再整備に向けた取組について
京都会館第一ホールの建替えに係る住民監査請求 監査結果 pdf監査公表第671号 より抜粋

第3 監査の結果
1 事実関係
本件監査において認められた事実関係は,次のとおりである。
(1)京都会館の再整備に向けた取組について
ア 京都会館の概要
京都会館は,前川國男建築設計事務所による設計により,昭和35 年に建設された。これまでに,日本建築学会作品賞,BCS賞(建設業協会賞)を受賞するなどしており,平成15 年には「日本におけるDOCOMOMO100 選」に選定された。
京都会館は,第一ホール,第二ホール及び会議場から構成されており,敷地条件等,建築概要及び施設構成の内容は,本件基本計画(平成23 年6月時点)によれば,おおむね次のとおりである。
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イ 京都会館再整備事業実施に至る経過
京都会館の再整備に向けて,平成14 年度に実施された消防局防災基盤整備事業
に基づく耐震調査以降,これまで様々な取組がなされている。平成14 年度から平成24 年度(平成24 年5月時点)までの主な取組は,次のとおりである
平成14年度 ・耐震調査
平成15年度 ・過去の改修履歴の整理及び保全に関する検討
平成16年度 ・第2次推進プランの策定
          ・劣化調査の実施,利用者及びプロモーターへの施設利用上のニーズ把握のためのアンケートの実施         
平成17年度 ・再整備検討委員会の開催(平成18年度まで計6回開催)
平成18年度 ・意見書の受領
平成19年度 ・京都会館再整備基本構想策定に係る市民アンケートの実施
          ・機能改善可能性調査
平成20年度 ・プロモーターへの施設利用上のニーズ調査の実施
平成21年度 ・基本構想素案の作成
平成22年度 ・本件基本計画の策定に向けた検討
          ・岡崎ビジョン検討委員会の開催(計4回開催)
          ・岡崎地域の将来像と活性化策(中間まとめ)への市民意見の募集
          ・京都会館再整備に関する市民意見の募集
平成23年度 ・岡崎ビジョンの策定
          ・本件基本計画の策定
          ・基本設計の着手
          ・建物価値継承検討委員会の開催(計5回開催)
平成24年度 ・京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言の受領
          ・基本設計の完成
(ア) 第2次推進プラン(平成16 年7月)

第2次推進プランでは,京都会館の再整備構想の策定が政策項目の一つとして掲げられており,その概要は「京都で最大規模のホールを有する京都会館の開館50 周年(平成22 年)を契機として,大規模ホールに求められる今日的な機能を満たせるよう再整備の検討を行う」とされている。
(イ) 再整備検討委員会による意見書(平成18 年12 月)
a 平成17 年度に設置された公募市民,芸術家,プロモーター,建築家,行政関係者等で構成された再整備検討委員会により,京都会館の再整備に向けた方向性の検討が行われ,意見書が提出された。
b 意見書では,京都会館の再整備に向けた方向性として次の3案が提示され,A案又はB案を中心として検討を進めていくべきであると判断されたが,その過程においてC案も踏まえた検討を進めることが期待されると結論付けられている。
A案 建物を保存し,内部を改修する。
B案 一部増築し,機能向上を図る。
C案 全面的な建替えを行う。
(ウ) 京都会館再整備構想検討に係る機能改善可能性調査報告書(平成19 年12 月)

a 平成19 年度には,京都会館再整備構想検討のため,株式会社LightStageによる機能改善可能性調査が行われた。
b 機能改善可能性調査に係る報告書では,改修工事計画案として外観を変更する案と外観を変更しない案が示され,第一ホールを多目的ホールとしての標準的なレベルにするためには,大規模改修となる外観を変更する案を採用することが適切であると結論付けられている。
(エ) 京都会館再整備基本構想素案報告書(平成22 年3月)

a 平成21 年度には,公共ホールとしての京都会館のあるべき姿や具体的な整備手法等について,様々な観点から調査,検討されたとする京都会館再整備基本構想素案報告書が取りまとめられた。
b 上記aの報告書では,次の3案が示されているが,いずれかの案が優れている又は採用すべきであるといった判断はなされていない。
A案 最低限の改修を行い建物の保全を図る。
B案 利便性・魅力の向上を図る(フライタワーなし)。
C案 利便性・魅力の向上を図る(フライタワーあり)。




ウ 京都会館の抱えている問題点・課題
上記イの各種検討から,京都会館の施設や機能面等で明らかになった主要な課題は,おおむね次のとおりとされている。
(ア) 建物全体に関する課題
a 構造く体であるコンクリートの状態は比較的良好であるが,建物全体として現行の耐震基準を満たしていない。
b 建築基準法の改正に伴い,現行の防火や避難・構造等の規定を満たしていない。
c 各ホールの座席,外壁仕上げ等の外装等に係る部分,また,舞台,音響等の設備部分など,建物全般について老朽化,劣化が著しい。
d 建物内にバリアフリーで到達できない箇所があるほか,床等に段差のある箇所が見られる。
e トイレが古く,数が不足している。
f 楽屋数が少ないことに加え,内装や設備の老朽化が著しい。また,通路幅が狭いほか,各楽屋の遮音性が悪いため,隣室からの音が漏れる。
g 第一ホールの搬入口の位置が北側の歩道に面しており,搬入車両の駐車スペースが狭い。
(イ) 第一ホールの機能等に関する課題
a プロセニアム(注1),フライタワー及びすのこがない。
b 舞台の奥行き及び舞台内高さが不足している。
c バトン(注2)等のつり物数が少なく,積載荷重に制約がある。
注1 客席と舞台との境にある開口のこと。
2 舞台機構の一種で,舞台照明器具や音響スピーカー,幕類,美術オブジェ等をつるして昇降させる棒のこと。
(ウ) ホール運営に関する課題
a 限られた時間内で搬出入を行うのが厳しいケースがある。
b ホワイエ(注)での飲食提供などの機能がない。
注 ロビー空間をいう。ホールの入口から観客席に至るまでの通路を兼ねた空間で,待ち合わせや休憩,歓談の場として使われる。
エ 岡崎ビジョン(平成23 年3月)
(ア) 平成22 年度に設置された公募市民,有識者,地元や各界関係者等で構成された岡崎ビジョン検討委員会により,岡崎地域を更に魅力的な地域とするためのビジョンの検討が行われ,岡崎ビジョンが策定された。

(イ) その目的は,岡崎のポテンシャル(注)の更なる活用と岡崎地域で展開されつつある関連施策の融合により岡崎地域の活性化の羅針盤となる「ビジョン」を策定し,「優れた都市景観・環境の将来への保全継承」,「世界に冠たる文化・
交流ゾーンとしての機能強化」及び「更なるにぎわいの創出」を図っていくものであるとされている。
注 潜在的な力,可能性を表す語。岡崎地域が持つ「魅力」や「可能性」の意味で用いられている。

(ウ) 岡崎ビジョンでは,岡崎地域の五つの将来像が示されるとともに,その将来像を実現するための七つの方策が掲げられている。その方策の一つである文化芸術,MICE拠点としての機能強化を図る方策として,京都会館に関するものは,おおむね次のとおりである。
a 「京都会館」は,岡崎地域活性化の核として,世界一流のオペラの開催が可能となる舞台機能の強化をはじめ,会議棟や中庭,二条通沿いをカフェ・レストランなどにぎわい空間とするための再整備を進める。
b 「京都会館再整備」におけるMICE機能の強化

■第3:監査の結果-1事実関係-(1)京都会館の再整備に向けた取組について

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by 2011-kyoto | 2012-07-13 00:20 | 2012/07
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