2012-08-26 京都市長宛:「イコモス意見書」京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」
【追加・変更ログ】
1.2012/08/26 第4回緊急シンポジウム 「京都会館のより良き明日を考える」配布参考資料に加えて2012/08/27にプレス発表資料も追加いたしました。プレス発表にて「京都会館再整備基本設計に対する意見書」と名称が決定、タイトルも「京都市門川市長宛:ICOMOS ISC20Cによる遺産危機警告発令の通達(京都会館)」より変更。(2012/08/28付記)
2.08/26シンポジウム資料配布版を削除、9月7日日本語訳改定版と差し替え、DOCOMOMO Japan 鈴木氏案内文を上に移動、イコモス紹介欄の「遺産危機警告」が通達されました。」→「意見書が作成されました」に変更。(2012/09/08付記)
3.09/12、ようやく京都市のHPに記載されました。(リンク)差分の、イコモス意見書(日本語訳京都市作成分)を追加。(2012/09/13付記)

京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」

ユネスコの世界遺産条約の諮問機関であるイコモスより京都市門川市長宛に京都会館の建て替え計画について意見書が作成されました。
イコモス(国際記念物遺跡会議、International Council on Monuments and Sites;ICOMOS)は、1964年の記念物と遺産の保存に関する国際憲章(ヴェニス憲章)を受けて1965年に設立された国際的な非政府組織(NGO)で、加盟各国の文化遺産保存分野の第一線の専門家や専門団体によって構成されています。ユネスコをはじめとする国際機関と密接な関係を保ちながら、文化遺産保護・保存の理論、方法論、科学技術の研究・応用、およびユネスコの世界遺産条約に関しては、諮問機関として、登録の審査、モニタリングの活動等を行っています。(日本イコモス国内委員会HPより抜粋)

各位

拝啓、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃よりDOCOMOMO Japanの活動に格別のご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度、本会からの要請を受けて、ユネスコの諮問機関であり、世界遺産の登録の審査やモニタリング(監視)活動を続けている国際記念物遺跡会議イコモス(ICOMOS,本部パリ)の「20世紀遺産に関する国際学術委員会」において、厳格で独立した審議による評価が行われた結果、シェリダン・バーグ委員長名で、門川大作京都市長に、別紙のような「京都会館再整備基本設計に対する意見書」が提出されました。すでに京都市長へは郵送で届いています。
「京都会館」の歴史的・建築的価値を尊重するこの意見書の趣旨をご理解いただき、ぜひご支援下さいますようお願い申し上げます。
敬具

2012年8月27日
DOCOMOMO Japan代表
鈴木博之
(東京大学名誉教授・青山学院大学教授・明治村館長)

*2012/08/27追加資料1

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*2012/09/08差し替え2


(2012年9月7日 改定訳版日本語訳)

京都市長 門川大作様

謹啓

前川國男が設計した京都会館に対して予定されている改修に関する、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の20世紀遺産に関する国際学術委員会(ISC20C)の懸念をお伝えしたく、これを書いています。1960年に京都の岡崎公園内に多目的の文化施設として建設された京都会館は、日本の近代建築の最も重要な作品のひとつと認識されています。前川は1928~1930年のパリで国際的に名高いル・コルビジエの下で働き、日本に戻って近代建築に卓越した新しい思想をもたらし、50年間実践し続けました。

前川は20世紀の最も重要な日本人建築家のひとりとして知られており、京都会館は彼の最も重要な作品です。このプロジェクトで彼は、近代建築運動の思想が具現化された新しい文化施設を、京都という町が今も昔もそうであるように、伝統的な歴史上のコンテキストに適合させながら作ることに成功しました。素晴らしい建築作品であり、敬意を払われ、遺されるべき文化遺産です。

ICOMOS ISC20Cは、京都会館に対する今回の改修計画を精査し、次のように懸念しています。この計画は、この非常に重要な遺産に対し、後戻り出来ない害を及ぼします。提案されている新しい舞台のサイズとデザインは、前川の設計思想と細部によって形成されている美と調和を破壊します。

(我々ICOMOS ISC20Cの)国際活動の要請により、私は今年2月に個人的に京都会館の視察を行い、その後、ICOMOS ISC20Cの国際的な専門的・公的ネットワークを使って、再開発計画とそれによって起こりえる文化遺産へのインパクトを精査しました。この状況に対し、現地調査と相対的な遺産価値の評価において外部専門家を起用することによって、厳格で独立した評価を行いました。我々の懸念は承認され、ICOMOS ISC20Cによって発令される遺産危機警告(Heritage Alert)を作成することになりました。

この遺産危機警告は、京都会館保全の脅威に関する国際的な注意を喚起し、望ましい保全方法のさらなる検討を促します。遺産危機警告はISC20Cのウェブサイトに登録され、ICOMOSのネットワークを通じて配布されます。さらなる情報が提出されたときは更新されます。

我々は最大級の敬意を持って、京都市に、現存する京都会館を変える現在の計画を再考し、劇場のプログラム的なニーズを満たしながらオリジナルの建築物の遺産価値を残せるような、よりよいデザインを見出すべく努力することを要求します。

敬白

シェリダン・バーク ICOMOS ISC20C 委員長

(参考日本語訳:西本裕美)

*2012/09/08差し替え1

2012年8月13日

京都市長 門川大作様

拝啓

この手紙は,前川國男氏が設計した京都会館について提言されている改修と増設に対して,ICOMOSのISC20C(20世紀遺産に関する国際学術委員会)の懸念を表明するものです。

1960年に京都の岡崎公園に複合文化施設として建設された京都会館は,日本で最も重要な近代建築作品の一つと認識されております。前川氏は,世界的に有名なパリのル・コルビュジェの下で1928年から1930年まで研鑽を積み,近代建築の重要かつ新たなアイデアを日本へ持ち帰り,それを50年間実践しました。前川氏は20世紀の最も著名な日本の建築家として広く知られており,京都会館は彼の最も重要な作品の一つです。この事業において彼は,京都が昔から保ち続けている伝統と歴史のある周辺環境に適合させつつ,近代建築のアイデアも盛り込んだ新たな文化施設を作りあげることに成功しました。京都会館はすばらしい建築作品であり,そして大切に保存されるべき文化遺産でもあります。

ICOMOSのISC20Cでは,京都会館に新たに修復,改修,増設を行う計画に関する提言の内容を調査してきました。その結果,今回の計画は,この極めて重要な建築遺産に取り返しのつかない害を及ぼすのではないかと懸念しております。計画されている新たな劇場の大きさや形状は,元の前川氏設計のコンセプトと細部の工夫によって形づくられていた美しさや調和を損なうでしょう。

国際的な行動を求める声に従い,私は2月に個人的に京都会館を見学しました。それ以降,ICOMOSのISC20Cの国際的な専門家と公的ネットワークを活用し,提言されている再開発計画とそれにより建築遺産が受ける影響を調査してきました。外部の専門家を活用することにより,市が行った調査や他の遺産と比較した遺産の価値について,厳正で中立的な立場から評価を行いました。その結果,我々の懸念は確定し,ICOMOSのISC20CからHeritage Alert (遺産警告)を発動することになるだろうとの結論に達しました。

Heritage Alert (遺産警告)は,京都会館の欠くところのない建築美への脅威に対する国際的な注目を集めるとともに,建築遺産を保護するより優れた方策の検討を促すために行うものです。Heritage Alert (遺産警告)は,ISC20Cのウェブサイトに掲載され,ICOMOSのネットワークを通じて配信される予定です。その後も追加情報があれば,更新されることになります。

京都市が京都会館の現状変更を行う今の計画を再考され,劇場で新たなプログラムを行うためのニーズに適応しつつも,元の建物の建築遺産としての価値を保持することができる,より良い設計案を模索されるよう,謹んでお願いいたします。

敬具

ICOMOSのISC20C(20世紀遺産に関する国際学術委員会)委員長 シェリダン・バーク

*2012/09/13追加資料 (日本語訳-京都市作成)

ISC20CメンバーのRiittaさんから京都市長宛のメッセージ
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ヘルシンキ, 2012年8月12日

京都市長へ

京都会館の保存に関して

長年の京都への訪問者として、そして歴史的建造物保存のスペシャリストとして、今回の再開発と敷地内部の建築物を破壊するという京都市の計画への私の強い懸念を表明したいと思います。京都会館は、日本のモダニズム建築の第一人者であり東京文化会館の設計者である前川國男の重要な作品です。

京都の近代遺産における京都会館の重要性は非常に大きなものです。この建築物は、この建物を特徴的な存在にしているその内部空間(訳注:中庭とそれを構成している建築物群を指す)において優れた良い状態を保っています。それゆえに、建築物の外側(訳注:二条通りに面したファザード面を指す)のみを保って内部空間の建物を新しくするという今回の計画は、この建築物の価値に反しており、この建築物の重要性を完全に破壊することになります。京都に残された近代の遺産はそう多くなく、ゆえにこの建築物を守ることは一層重要なことであります。

それゆえ、私は、歴史的都市遺産を守るために多大な努力をしてきたことで知られる京都市の文化的良心に対して、心より訴えます。どうぞ今回の計画をストップして、京都会館を完全な状態で守ってください。


リィッタ・サラステ、建築家(博士)
ヘルシンキ市 都市計画局
ヘルシンキ、フィンランド
ICOMOS(国際記念物遺跡会議)20世紀遺産に関する国際学術委員会メンバー

(参考日本語訳 西本裕美)


*2012/08/27追加資料2

■京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」

日本イコモス第14小委員会-リビング・ヘリテージとしての20世紀建築の保存・継承に関する課題検討
京都会館再整備計画に関する検討


2012-09-12 「イコモス意見書」及び日本イコモス国内委員会の見解に対する本市の対応-「京都市情報館」
2012-09-10 京都市長宛:京都会館再整備計画への見解と委員会設置のお知らせ-「日本イコモス国内委員会」
2012-09-07 イコモス委員長宛:イコモス意見書について、門川大作京都市長からの回答-「京都市」

イコモス(ICOMOS)
日本イコモス国内委員会
20世紀遺産のための国際学術委員会(ISC20C)
2011-06-16 マドリッド・ドキュメント2011(日本語訳):20世紀建築遺産の保存のための取組み手法-ISC20C
DOCOMOMO Japan
2012-08-08 京都会館再整備基本設計に対する意見書-「DOCOMOMO Japan」

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by 2011-kyoto | 2012-08-27 00:02 | 2012/08
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