2012-09-17 長崎和平氏による「京都会館建て替え問題」要望書に対する京都市の回答-「文化市民局」
長崎和平氏 京都会館建て替え問題要望書と京都市の回答書

去る9月3日に「京都会館再整備工事に関する意見交換会開催のお願い」と「京都会館再整備工事に関する質問」を京都市長及び京都市文化市民局文化芸術企画課あてに提出しました。これに対して9月21日に京都市文化市民局より回答書を受領しましたのでご報告申し上げます。

(*■コメント=2012年9月27日記者会見(於:京都市庁記者クラブ)時の長崎氏コメントを合わせて記載しました)

■コメント
正式文書として京都市が以下の見解を示したことは非常に重要だと考えます。

1)再整備後のことを何も計画せずに事業を進めている
  →計画及び税金投入の合理性がない
  →市民及び議会に必要な情報を示していない

2)建物価値継承に係る検討委員会提言書の前後で設計内容に変更がない
  →検討委員会自体が無意味だった可能性がある
  →この事実に対して各委員の方が納得しているのか疑問である

京都市回答書の各項目に対する概要及び補足説明を記します。

「京都会館再整備工事に関する公開意見交換会開催のお願い」について


京都市回答
1 公開意見交換会の開催について
京都会館再整備につきましては既に第一ホールの解体工事に着手しており,現時点において,「何をすべきか」といったことを議論する段階ではなく,「いかに事業を進めていくか」という段階にあります。
再整備の説明については基本計画の策定以降,市会でも説明し,今年の2月,5月の市会などでも説明するなど議論を積み重ねており,改めて意見交換会の開催は考えておりません。


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■コメント
1.・・・市として今さら「何をすべきか」を議論する気はない。
→今さらではなく、今まで一度も根本的な部分についての議論をしたことがなかったために住民訴訟や多くの組織から反対の意見書が出されているのではないでしょうか。
問1
第一ホールの再整備前後での公演可能演目を教えてください。


京都市回答1
京都会館での公演を前提とするのであれば,再整備前後に関わらず,どの様な演目でも公演は可能ですが,巡回公演において舞台が狭隘であることを理由に,他都市で行われた公演ができなかったことはあります。


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■コメント
2-1.・・・再整備前後で第一ホールでの公演可能演目に変わりがない。
→舞台機能向上が事業方針の1つであり、その具体的内容を質問したのですが、公演可能演目に変わりがないのであれば第一ホールを解体する理由がなくなると思います。
問2
第一ホールの過去5年間の稼働率と再整備後の想定稼働率を教えてください。


京都市回答2
閉館前5年間の日数利用率については以下のとおりです。
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再整備後の想定稼働率は今のところありませんが,これまで御利用いただいていた皆様に加え,これまで舞台規模が狭隘であることなどを理由に京都会館での公演を見送られていた方々に対しても御利用いただけるよう再整備に取り組んでいきます。


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■コメント
2-2.・・・第一ホールは過去5年間で70%前後の稼働率があった。
     再整備後の稼働率を想定していない。

→まず、稼働率70%というのは全国平均以上であり、京都市が言う「今日的な機能を満たすことができない」とは言えないのではないでしょうか。当然稼働率を相当程度向上させるために再整備を行うと考え、その具体的数値を知るために質問しました。稼働率を想定しないということは、目標を持たずに事業を進めているということで、事業計画内容全般に疑問を持ちます。
問3
第一ホールの過去5年間の利用用途割合と再整備後の想定利用用途割合を教えてください。

(市民利用/興行利用)

京都市回答3
市民利用と興行利用の割合については統計を取っておりません。なお,参考として第一ホールにおける利用用途ごとの件数については以下のとおりです。また,再整備後についても,これまでと同様に様々な用途で御利用いただけるよう取り組んで参ります。
(単位:件)
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※1 クラシック音楽,オペラ,合唱,吹奏楽等
※2 ニューミュージック,ジャズ,歌謡曲等


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■コメント
3.・・・再整備前後で利用用途割合に変わりがない。
→舞台機能向上させるということは、より興業利用にシフトすると考え、質問しましたが、何も想定していないようです。どのようなホールを目指しているのか計画の前提、目標がよく分かりません。
問4
閉館時点でのホール利用料金と再整備後の想定ホール利用料金を教えてください。


京都市回答4
閉館時点の利用料金は以下のとおりです。なお,再整備後の利用料金については,現在検討中です
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■コメント
4.・・・再整備後の利用料金について検討していない。
問5
過去5年間の京都会館年間運営費用及び再整備後の想定年間運営費用を教えてください。


京都市回答5
過去5年間の年間運営費用については以下のとおり。なお,再整備後の年間運営費用については,現在検討中です。
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■コメント
5.・・・再整備後の運営費用について検討していない。
→完成後の運用について何の計画も持たずに工事だけ進めているだけと理解できます。   
2~5については市民にとってどんなメリット、デメリットがあるのかを聞いたものですが、工事完成後のことは何も考えていないようです。これでは計画内容及び税金投入の正当性が疑われます。いまだにこのような公共事業の進め方、税金の使い方が許されるのでしょうか。京都市の財政が苦しくなるのも当然という気がします。また市議会は一体何のためにあるのか疑問に感じます。
問6
地上躯体部分増築なし改修する場合と現整備工事のそれぞれの総工事費を教えてください。


京都市回答6
以下のとおりです。
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■コメント
6.・・・地上躯体部分増築無し改修の総工事費 76.2億円
現計画案の総工事予定価格 100.9億円

2011年6月の基本計画で89億と92億の改修費用算出したのに対して、本来比較対象とすべき地上躯体解体なしの改修費用を質問したものです。2007年Light Stage報告書の試算60億円より安いはずと思ったのですが、76億円と予想より高いです。どちらにしても25億円税金投入が少なくなる案を比較対象から外して市民や議会に提示しないことは問題と考えます。
 ※当初発表された予算110億円とLight Stageの試算60億円とを比較すると差額は、50億円です
問7
建物価値継承に係る検討委員会提言書によって計画を変更した部分を教えてください。


京都市回答7
提言書が示された前後において,基本設計の内容に変更はありません。
建物価値継承に係る検討委員会は基本設計と並行して進められたものであり,会議に際してはデザイン案を提示し,それに基づき議論が行われました。
最終となった第5回検討委員会では,基本設計案及び提言案がそれぞれ提示され議論が行われましたが,委員長からは「本委員会の提言を踏まえ,基本設計受託者の香山建築研究所と一層連携し,京都会館の建物価値をしっかり継承した基本設計となるよう,残された期間において,全精力を傾け努力されることを望み,また,期待している。」との発言がありました。


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■コメント
7.・・・建物価値継承に係る検討委員会提言書の前後で設計内容に変更はない。
→検討委員会が何を提言しようと最初から結論が決まっていたのではないでしょうか。
問8
解体差止めを求める住民訴訟が起こされたという事実を市としてどう受け止めますか。


京都市回答8
訴訟に先立つ住民監査請求において,本市の見解を申し述べておりますが,京都会館再整備は適正な手続等を経て進めていると認識しており,監査結果においても本市の主張が認められたものです。


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■コメント
8.・・・再整備は適正な手続きを経て進めており、住民監査請求でもその正当性が認められている。
→違法性の有無ではなく、住民に対して訴訟を起こす所まで追いつめてしまったことをどう感じるかという意味で質問したのですが、市には何の非もないとの認識は残念です。
問9
DOCOMOMO Japanの意見書(2012年7月27日)に対する見解を教えてください。


京都市回答9
京都会館再整備の基本設計は,「京都会館の建物価値継承に係る検討委員会」において,日本建築学会から推薦を頂いた建築史の専門家をはじめ,様々な立場の方に参画いただき,京都会館の建物価値の継承に向けた議論と併せて進めて参りました。
今回の再整備は,老朽化し,安全性も含めて機能の低下した京都会館を,公共ホールとして使い続けるための作業であり,これまでの歴史に新たな京都会館の歴史が積み重ねられ,新たな建物価値として評価される時代が来ることを確信しております。


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■コメント
9.・・・DOCOMOMO Japan の意見書に対しては建物価値継承に係る検討委員会を経ているから問題ない。
→それを経たはずの基本設計の結果に対して意見書が出ているから質問したのですが、きちんとした回答が得られませんでした。

問10
国際記念物遺跡会議ICOMOSの意見書に対する見解を教えてください。


京都市回答10
以下のURLを参照してください。
http://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000128246.html


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■コメント
10.・・・イコモスの意見書に対してはHPに公開の通り。
→イコモスの意見に対して全く耳を傾ける姿勢を持たない京都市の不誠実さに驚きます。


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■長崎和平氏京都会館建て替え問題要望書に対する京都市の回答-「文化市民局」

長崎工作室
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by 2011-kyoto | 2012-09-17 00:00 | 2012/09
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