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2012-09-26 文化的価値の高い京都会館の解体強行に抗議する-「京都文化団体連絡協議会」
2012年9月26日に京都市宛に京都文化団体連絡協議会(会長 藤沢薫)が下記の抗議文を提出いたしました。

文化的価値の高い京都会館の解体強行に抗議する

2012年 9月26日
京都文化団体連絡協議会

 モダニズム建築の代表的な建築家である前川國男氏の設計により市民に親しまれる文化施設として開設された京都会館は、日本建築学会長賞を受賞しDOCOMOMO Japanの「日本を代表するモダニズム建築100選」にも選ばれた日本の現存する代表的な近代建築物のひとつであり、文化施設としては東京文化会館と双璧をなすものである。

 私たちは、施設設備に関して、道具の搬入や舞台演出上の設備の不備、会場の申し込み期間や利用時間、トイレの数が少ないことやバリアフリー化の問題など、実演家と観客両者の立場での様々な問題点を指摘し改善を求めてきた。特に、第一ホールについては、2000人規模の収容能力をもつホールが京都会館をおいて他にない中、各種イベントでの演出方法の多様化、大型化に伴う設備の不備を指摘する声は多く、抜本的な改善は関係者の切実な願いになっている。

 この度の再整備は、耐震性能、バリアフリー、観客の利便性、ホール関係者の利便性、建物全体に関する課題や舞台の奥行き、高さなどホール機能等に関する課題解決を含んでおり関係者の意見を一定反映したものである。しかし、第一ホールの建て替えと言う結論は、住民不在で一企業の思惑が大きく働いた極めて唐突で異常なものであり、断じて認められない。

 貴重な建築物の解体と現在の27.5メートルから31メートルの高さのものへの建て替えに対して、多くの住民、関係者が反対の声をあげたが、京都市は一切耳をかたむけようとしていない。そういった中、ユネスコの諮問機関であり世界遺産の登録・審査や監視活動をしているイコモスの「20世紀遺産に関する国際学術委員会」が、京都会館を「遺されるべき文化遺産」と認め、市の計画に対して遺産危機警告を発令したことは極めて重大である。京都会館が国内だけでなく国際的にも価値あるものとして、権威ある機関がその保存を求めたことを京都市は真摯に受け止めるべきである。

 今回の建て替え計画は、京都市が行政の主体性を放棄して一企業に屈服した結果と断ぜざるを得ない。こういった京都市の態度は、健全な文化の発展とは無縁なものであり、これを看過すれば、必ずや京都の文化行政は大きく歪んで行くに違いない。

 京都会館は公共施設、すなわち市民の財産である。京都会館の再整備は、あくまでも京都会館の文化的価値を損なわないように保存を前提として行われるべきである。今回の建て替え計画の撤回を強く求め、解体の強行に強く抗議するものである。

以 上
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■文化的価値の高い京都会館の解体強行に抗議する-「京都文化団体連絡協議会」

2011-10-25 京都会館建替え見直しの声明文-「京都文化団体連絡協議会」
2012-08-26 京都市長宛:「イコモス意見書」京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」
by 2011-kyoto | 2012-09-26 00:00 | 2012/09
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