2013-11-28 「八重」勤務の校舎、改築か伝統保存か 京都府教委vs専門家-「ZAKZAK」
「八重」勤務の校舎、改築か伝統保存か 京都府教委vs専門家

NHK大河ドラマ「八重の桜」のヒロイン、新島八重が勤務したことで知られる京都府立鴨沂(おうき)高校(京都市上京区)で、校舎建て替え騒動が起きている。府教委が耐震性などの問題から全面改築を進めているのに対し、専門家や卒業生らから全面保存を求める声があがっている。ヘレン・ケラーが講演したこともある伝統ある校舎はどこへ行くのか。

 府立鴨沂高校は、1872(明治5)年に開校。日本初の公立女学校としても知られ、創立約140年を誇る伝統校。1900(明治33)年に京都御苑の東隣に位置する現在地に移転した。女紅場の時代に、新島八重が勤務し、裁縫などを教えていたという。

 旧校舎などは昭和初期の建築で、当時では珍しかった和洋折衷のデザインを採用。シンプルな「モダニズム」という西洋の建築様式を基調とする一方で、日本の寺社を参考に本館中央の屋根に千鳥破風を施したり、壁面に露出した柱の上部にはかざり金具をあしらった。本館中央にある講堂では、37(昭和12)年にヘレン・ケラーが来校し、講演したこともある。

 府教委は、耐震性が基準を満たさないとして、全面改築を行う方針を固め、今年度の当初予算に基本実施設計や解体工事費などとして、約4億円を計上、府議会で可決された。

 これに対して、日本建築学会近畿支部、日本建築協会、京都のまちづくり団体が、全面保存を求める要望書を卒業生962筆の署名を添えて府教委に提出した。日本建築学会近畿支部主査、笠原一人・京都工芸繊維大助教は「歴史的に非常に貴重な建築で、このような校舎が現存しているのは驚くべきこと。解体せず、保存すべきだ」と訴える。

 校舎は時代が比較的新しいなどの理由で文化財指定は受けていないが、国内の近代建築の集大成とされる「日本近代建築総覧」(80年)で紹介されるなど、歴史的価値は広く認められている。

 同校によると、旧校舎の老朽化や耐震性不足などの問題に加えて、グラウンドがないという深刻な問題もあった。生徒たちは体育の授業を受けるために移動することになり、授業時間は2時間もムダに過ごしていたという。

 現在、生徒たちは仮移転先の旧京都産業大付属中・高の校舎(京都市上京区)で授業を受けている。グラウンドもあり、藤井直校長は「生徒の教育に支障をきたさないように、遅滞なく全面改築が行われるように求める」と話している。

 府教委は「安全と歴史文化の両立」という方向性を打ち出して一部保存する方針も持ち上がっているが、全面保存を求める側との議論は平行線をたどったままだ。

 府教委は2016年の新校舎完成を目指しているが、近代建築史に詳しい中川理・京都工芸繊維大教授は「日本では、近代建築の保存にはお金がかかるなどとネガティブに捉えられる傾向にあるが、使い続けることで新しい価値が生まれるという発想に転換すべきだ」と話している。

■「八重」勤務の校舎、改築か伝統保存か 京都府教委vs専門家-「ZAKZAK」
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by 2011-kyoto | 2013-11-28 00:00 | 2013/11
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