2013-12-15 「村野建築」撤去か存続か 北九州市、多額な改修費を懸念-「西日本新聞」
「村野建築」撤去か存続か 北九州市、多額な改修費を懸念
2013年12月15日(最終更新 2013年12月15日 01時48分)

日本を代表する建築家村野藤吾(1891~1984)が設計した、北九州市立の八幡図書館と八幡市民会館(いずれも同市八幡東区)が撤去の危機に直面している。老朽化が進み、維持するには多額の改修費がかかるからだ。しかし、同じく村野が設計した、近くの福岡ひびき信用金庫本店と合わせて3館の「村野建築」が集中する地域は九州では珍しく、地元団体は11月に「八幡の観光資源として残して」と要望書を市に提出した。有名建築家の作品をどうするか-。市は本年度中に結論を出す。

 村野は佐賀県唐津市出身。1910年に小倉工業学校(現小倉工業高)機械科を卒業するなど、北九州にもゆかりがある。合理性優先の現代建築と一線を画し、周囲の環境と合った伸びやかな作風が特徴で、東京の日本生命日比谷ビルや広島市の世界平和記念聖堂などを設計。丹下健三らと並び、戦後の日本を代表する建築家とされる。

 村野が手掛けた八幡図書館(築58年)と八幡市民会館(築55年)、福岡ひびき信用金庫本店(築42年)の三つは、いずれもJR八幡駅近くの八幡東区尾倉2丁目で、約200メートルの間に立っている。図書館は外壁に色むらのあるれんがを用いて建物に変化を持たせ、市民会館は膨らんだ天井が柔らかな印象を与えるなどの特徴がある。信金本店も堂々とした造りになっており「東京や大阪からも建築を学ぶ学生が見学のためによく訪れる」(信金関係者)という。

 市は図書館や市民会館を存続すれば、耐震補強やエレベーター新設などの工事に計23億円かかると試算。緊縮財政の中、支出には慎重だ。すぐ隣の小学校跡地には2017年度に市立八幡病院が移転する予定で、その敷地を拡張するために2施設を撤去する案も浮上している。

 これに対し、地元の企業70社などでつくるまちづくり団体「八幡夢みらい協議会」は11月、村野建築2施設の保全を求める要望書を市に提出した。

 同協議会の理事でホテル社長の小嶋一碩(かずひろ)さん(70)は、この2施設と、2015年の世界文化遺産登録を目指す地元の八幡製鉄所の関連施設を合わせて「セットで文化的に価値がある施設としてPRすればまちづくりの資源になる。市の財政事情はよく分かるが、村野建築の外観だけでも残してほしい」と訴える。

 北橋健治市長は12月市議会で2施設に関して「関係者の意見を聞きながら、年度内をめどに方針を決める」と答弁した。

=2013/12/15付 西日本新聞朝刊=

■「村野建築」撤去か存続か 北九州市、多額な改修費を懸念-「西日本新聞」
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by 2011-kyoto | 2013-12-17 08:02 | 2013/12
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