2013-12-24 弘前市民会館物語 地域と共に50年 改修工事=8-「陸奥新報」
弘前市民会館物語 地域と共に50年
改修工事=8

2013/12/24 火曜日

「基本的には全部新しくなっている」という弘前市民会館。「建物は使われれば使われるほど元気になる。市民会館もどんどん、使ってもらう、足を運んでもらうのが理想」。改修工事に今回初めて地元建築家として携わった同市のアトリエタアクの前田卓さん(60)はこのように期待を寄せた。市民会館は今月16日に工期を終えた。機材や家具の納入など、リニューアルオープンに向けた作業が進む。

 今年1月の成人式を終え、約1年間の休館に入った市民会館。7月に取材で入ると、一面灰色の世界だった。新たに50年の命を吹き込むには骨格部分の補強が必要で、内装部は全て取り除かれた。10月には市長らが視察、市民向けの改修工事現場見学会が開かれたが、会館らしさはまだなかった。11月末までにホワイエのシャンデリアや大ホールに座席が入り、改修前の面影が戻った。

 「市民会館の改修工事も基本的には家を直すのと一緒」と前田さん。直すべきことに対してどう対応するか考える。「将来の50年を見てどうすれば良いのかを整理していくのが設計」と説明してくれた。今は意匠がよみがえった新たな空間が広がる。「冷暖房が不便」との不満を聞いたことがあったが、空調設備は一新。電気設備も舞台の一部以外は全てLED(発光ダイオード)だといい、大ホールに入ると明るさが増したように感じる。

 「前川さんの偉大さを改めて目の当たりにした。全てが有機的に絡み合っている。建物のことが身に染みて分かった」と改修工事を振り返る前田さん。大鰐町出身であり「市民会館は津軽の誇るべきもの」という。完成当時は小学5年生で「同じ前川さんの建築である市役所などもかっこいいと思っていたが、こんなすごい建物があるのかと思った」と衝撃を受けた。

 父も建築家。高校生の頃から建築家を目指そうとの思いが強くなり「何かあるたびにここ(市民会館)に来た。市民会館は“座右の建築”のようなもの。(市内の前川建築の中でも)私にとってはピカイチ」と思い入れのある場所でもある。

 改修工事は見えない部分に手を加えている。壊してみると当初の想定と違うといったこともあった。工事関係者は「一見すると変わらないが、見えないところで変えるというのが大きな目標」と取り組んでいた。記者が「ここは改修前と同じ?」「どこが変わったのか?」と尋ねると、前田さんは「そう聞かれることが改修の成功でもある」と話した。目標は達成された。

 地元の手で守っていけるようにと市は今回、地元建築家と協力した改修を条件にした。今後は前川建築設計事務所と連携しながら、前田さんがメンテナンスなどを担う。だが「どのように守っていきたいか」と聞くと「守っていくというより、どう使っていくか」との答え。「今までになかった楽しい部分もある。どういう考えで造られたのか知って、感じてほしい。私たちの宝物であると気が付いてほしい」。来月5日のリニューアルオープンまで2週間を切った。市民は生まれ変わった会館で何を感じ、どう使っていくのか。

■弘前市民会館物語 地域と共に50年 改修工事=8
弘前市民会館物語 地域と共に50年
弘前市民会館HP
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