2013-12-05 京都会館建築確認処分取消審査請求書-2
2013-12-05 京都会館建築確認処分取消審査請求書-2

京都会館建築確認処分取消審査請求書-1のつづき

第2 請求人の想い

1、はじめに  
 京都会館は、長年にわたり市民の文化ホールとして親しまれて来たものであり、東山の景観とよく調和した建築物として歴史的文化的価値が極めて高いことは京都市自身が認めているところである。そうした極めて価値の高い京都会館第一ホールの解体強行の上に成り立つ「新京都会館」の建築にあたり、「京都会館の保存・改修」を望んできた地域住民、京都市民、日本全国から寄せられた1万2千筆を超す署名に込められた声が反映される形で、その建築計画に生かされるべきであり、多様な声に応えないまま建築確認がなされたことに対して、審査請求を行うものである。

 京都会館を含む岡崎公園一帯は近隣住民にとっては、豊かな自然と触れ合える場であり、公園から眺める伸びやかな東山の景観とともに日々の生活を送ることによって心の安らぎ、生活の充実感を覚える場である。また、近隣の保育園、幼児園の園児たちにとっては、安心・安全な散歩道や自然と触れ合える遊びの場としても活用されている。さらに、学齢期の子どもにとっては、緑豊かな放課後を過ごし東山の眺望のもとでのびのびと成長できる場である。市民にとっても、疏水小道の散策、文化・スポーツ施設を訪ねる中で出会う豊かな自然と東山の眺望は、心癒され明日への活力につながる。国内外から観光に訪れる人々のとっても、豊かな自然と伸びやかな景観は大きな魅力であり、テレビのインタビューに対して「ここは見晴らしがよくてとてもいい」と述べているのは象徴的であり、高く評価されるところである。

 京都会館は岡崎公園と一体化した建築空間を形成することで、公園一帯の眺望・景観や自然と調和した価値の向上に寄与してきた。

 こうした岡崎公園一帯のかけがえのない価値を守り、次の世代に残していくのが私達の願いであり、今を生きる私たちに課せられた使命でもあると考える。

2、京都市は住民、市民への説明責任を果たしてきたか
 京都市は今年7月31日「新京都会館(ロームシアター京都)建築工事説明会」を行ったが、あくまで「工事説明」が目的であり、「新京都会館」が一体どのようなものになっていくかについては、冒頭の概要説明のみにとどまり「新京都会館」についての説明会は行わないと表明した。これをもって住民、市民への十分な説明がなされたとは到底いえるものではない。

3、京都市は住民、市民に樹木伐採の中止の声や、交通安全への懸念に対しての責任を放棄していないか
 上記「工事説明会」において、住民から京都会館東側に位置する貴重な在来種の大きな柳の木を伐採しないよう繰り返し求められたのに対し、市側は伐採予定を変更しないとの返答の上、他の既存樹木の保全についても明言しなかった。また、「新京都会館」の工事と同時に進行が想定される周辺地域でのいくつかの大規模マンションや飲食施設の新築工事等の状況把握すら行われていないことが明らかとなり、工事期間中の周辺道路の安全への懸念が高まっている。

4、建築確認手続きの問題点
 京都市は新京都会館の建築確認がおりていない9月23日に着工式を行ったと報道された。その後設置された工事現場の標識によれば、建築主が京都市長、建築確認審査を行ったのは京都市建築主事となっている。住民、市民、専門家による異論が多数ある公共建築物の建築確認手続にあたり、建築主とその審査する側が同じ京都市であることは、極めて重大な問題をはらんおり、そのチェック体制が問われる。

5、高さ31mとされる直方体の大ホールで果たして景観は守れるのか
 建築予定の大ホールは高さ31mの直方体とされている。周辺の高さ規制は15mであり、近年疏水西側に建設されたマンションなどもその規制のもとで建てられた。これは東山の景観・眺望を守り保護するための規制である。15mの高さ規制のもとに建てられたマンションの東側に建てられる大ホールの高さ31mがなぜ京都市の建物だから特別に許されるのか。そのことにより、疏水西側から望む東山の景観は阻害されないのか。

 また、直方体の形状は東山のなだらかな山並みと調和するのか。こうした配慮を欠く大ホールの設計そのものが京都市が推進すべき「景観保護」と大きく矛盾し、行政の公平性への不信が強まっている。

6、今後の「岡崎公園活性化計画」の悪しき前例となる懸念
 京都会館再整備事業を含めて、「岡崎活性化ビジョン」に基づく様々な計画が京都市により進められようとしているが、2011(平成23)年6月に地元岡崎で行われた京都市による説明会においても、住民からの「静かな岡崎を壊さないでほしい」という圧倒的多数の声が聞かれた。その不安や懸念はその頃よりさらに広がっている。美術館をはじめ岡崎公園にある京都市の所有施設が今後どのように再整備されるのか、その際今回の京都会館再整備に見られるような「環境・景観・まちづくり」への配慮を欠くやり方、住民、市民に知らされないままで進められるのではないかという不安が多数聞かれるのは当然である。この間、京都市はこうした住民、市民の不安に応える手立てをとって来なかったことを反省し、今回の京都会館の建築計画及び今後の「岡崎活性化計画」に住民、市民参加のしくみを創設した上で、その声を生かし、修正、変更すべきである。

7、賑わい施設の計画・運営を一部事業者に委ねることで周辺の店の営業はどうなるのか
 「新京都会館」の建築概要の説明にあたって、新たな「賑わい施設」の設置が含まれている。「その施設の運営を一部事業者に委託する」と伝えられているが、そうした「賑わい施設」が始動することにより、周辺の店舗にどのような影響を及ぼすのか全く考慮されていない。また、周辺店舗には何がどのようになるのか詳細が知らされないまま現在に至っている。建築概要にはレンタサイクルなどの活用が計画されているとの記載があるが、周辺道路は今でも混雑しており、住民にとって交通安全の面から大きな危険を感じている。こうした新京都会館の運営にかかわる問題も十分な情報公開が行われず、もっとも影響を受ける周辺店舗や住民の声を生かす場も保障されていない。新京都会館の運営にあたっても情報公開と周辺店舗、住民参加の場が望まれる。

6、住民、市民、専門家の声を広く生かした「新京都会館」の建築を
 私達はこの間の経過の中で、「京都会館」が東山のなだらかな山並みや周辺の自然・景観との調和を図った前川國男の名建築であり、その価値は保存・継承されるべきものとしてイコモス20世紀遺産委員会日本イコモスドコモモジャパンなど権威ある団体からも京都市への厳しい警告や指摘があったことを知った。こうした国際的にも国内的にも保全を求められた建物価値の可能な限りの復元や、大切にすべき自然保護、景観保全との整合性のある方向で、京都会館再整備事業の見直しが行われるべきである。

 以上述べてきたように、「新京都会館」建築には重大な問題点が多数あるのは明らかであり、「憲法に定められた法の下での平等」の原則、さらにその下で定められた法令をもとに適切な審査の上で、京都市長による計画通知に対しては、建築確認がなされるべきではないと考える。

京都会館建築確認処分取消審査請求書-2

2013-07-31 『京都会館再整備工事』工事説明会の開催について-「京都市」
2013-07-31 『京都会館再整備工事』工事説明会 配布資料-「京都市」
2012-06-05 京都会館再整備工事に係る基本設計について-「京都市情報館」
2011-06-24 「京都会館再整備基本計画」の策定について-「京都市情報館」
2013-09-23  ロームシアター京都再生へ起工式 16年オープン-「京都新聞」
2011-06-29 市の岡崎地区活性化ビジョン 住民「静けさ維持を」-「京都新聞」
2011-05-02 「岡崎地域活性化ビジョン」ができました!-「京都市情報館」
2012-08-26 京都市長宛:「イコモス意見書」京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」
2013-06-15 京都市長宛ての意見書(日本ICOMS第14小委員会)-「JAPAN ICOMOS INFORMATION no.3/2013」
2012-08-08 京都会館再整備基本設計に対する意見書-「DOCOMOMO Japan」 

2014-05-09 京都会館審査請求裁決書-京都市建築審査会

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by 2011-kyoto | 2013-12-05 00:02 | 2013/12
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