2014-04-25 京都会館建築確認処分取消審査請求書「反論書」-3
2014-04-25 京都会館建築確認処分取消審査請求書「反論書」-3
「反論書」-2のつづき

第3 新景観政策下においては本件敷地において地区計画の策定によって、高度地区の制限を緩和することは地区計画策定権限の逸脱・濫用であり、違法かつ無効であるため、本件建築確認は取り消されるべきことについて


1 特例許可要件の欠如

これまで述べて来た通り、本件地区計画の主目的は京都会館第1ホールの建替えを目的として高さ制限を15メートルから31メートルに緩和するためのものであるところ、新景観政策の生命線である高さ制限を緩和するための手続きとしての特例許可制度の要件を到底満たしていない。

先述した通り、七条警察署の建替えという「一定の公共性」を認め得る事例においても特例許可要件を満たさないとされたことからしても、京都会館第1ホールのような公演施設の建替えにおいて、景観審査会が京都大学附属病院のような高い公共性を認めることは到底想定できない。だからこそ、本件においては京都会館第1ホールの建設という特定の建物の建設を目的としているにもかかわらず、面的な居住環境の整備を図ることを目的とした地区計画という手法がとられたのである。


2 新景観政策下においては総合設計制度を利用したとしても高さ制限の緩和には特例許可が必要であることとの整合性の欠如

新景観政策下においては、特例許可制度の創設により、総合設計制度活用物件に対する緩和規定が高度地区の但書から削除された。また、総合設計制度取扱要領(2007年9月1日改訂)からも高度地区の高さ制限の緩和規定が削除されている。したがって、仮に総合設計制度の許可を得た物件であっても、高度地区の高さ制限値を超過するためには、特例許可制度に基づき許可を得ることが求められる。つまり、大規模建築物の特例許可に関する制度は但書1項1号に一元化されたものと解釈できる(甲36)。

これは、総合設計制度を利用して高さ制限を超過した京都ホテル問題(高さ45m→60m)の経験をふまえ、新景観政策下においては、特定の建築物の建築に際しては、特例許可無くして高さ制限の例外を認めないという施策を明確化することにより、高さ制限の脱法的利用を防ごうとしたものである。

これに対し、地区計画制度は、特定の建築物の建設のためではなく、一定の広がりのある街区において、地域住民の圧倒的多数の合意の下に、良好で質の高いまちづくりを誘導するための計画であるから、特例許可制度の適用にかからしめる必要がないとされたものである。現に、京都市においては、本件の京都会館での地区計画の制定に至るまで、地区計画制度は、都市計画法・建築基準法に基づく用途地域制では不十分な高さや用途規制を地域住民の圧倒的多数の合意に基づいて強化し、良好な住環境を保全するための民主的な制度として使われてきたし、かつ、本件及びそれに次ぐ島津製作所の工場建て替えを除いては、現在でもそのように使われている(中京区笹屋町、同明倫学区、同姉小路界隈、下京区修徳学区、同四条通ほか多数)。

即ち、新景観政策下においては、特定の建築物の建設のために、新景観政策の生命線である高さ規制を緩和することはその政策の趣旨に著しく反するものである。

現に、本件地区計画を決定した第47回京都市都市計画審議会においても、出席した学識経験者等がこれに強く反対していたにもかかわらず、多数決で強行されたことは、本件地区計画が如何に非論理的な背景の中で制定されたかを示すものである。


3 本件地区計画のうち高さ制限を緩和する部分の違法・無効性

一条山再開発許可取消審査請求事件において、京都市開発審査会は、この問題を判断するにあたり、適切な基準を示した裁決を出している(甲37)。

即ち、同事案は開発許可取消を求めるものであるが、その要旨は、是正のための開発許可は、①できるだけ山の形を残す、②できるだけ緑を残す、③業者に不当な利益を与えない(クリーンハンドの原則)ことが必要であり、京都市の山の全面開発を認める再開発許可は、権限逸脱・濫用で違法とする明快なものであった。
これを本件事案にあてはめると、新景観政策の下においては、建物の高さ制限はその生命線であり、新景観政策策定とともに、特定の建築物に対する高さ制限の緩和策である総合設計制度を利用しての高さ制限の緩和手法は廃止され、特定の建築物の建築のために高さ制限を緩和する方法としては、厳格な要件のもとでの特例許可制度に限られることになった。

他方、地区計画制度は、京都市においては、用途地区制限の不十分な点について、これを強化して地域の住環境を保全することに使われてきたため、新景観政策策定時においても、特例許可制度の適用が除外されたものである。

ところが京都市は自己の所有する土地において、特定の建築物の建築のために、地区計画という手段を利用して高さ制限及び特例許可制度の脱法をはかったのが、本件京都会館問題に他ならない

   これは、如何に解釈しようとしても、新景観政策下においては、高さ制限及び特例許可制度を脱法するためにする地区計画策定権限の逸脱・濫用であり、違法・無効となるものと解せざるを得ない。


4 地区計画の違法性が建築確認取消事由となること

(1)地区計画の策定自体は、処分性が認められておらず、それ自体の取消を求めることはできないとされている。

   従って、権限の逸脱・濫用として違法・無効な高さ制限の緩和部分につき、これを争うためには、建築確認処分がなされた段階で、この取消を求めるしか方法がない。

(2)また、仮に、建築主事の審査権限は形式的・外形的なものにとどまるから地区計画が既に制定されている以上、地区計画に定める高さ制限(31m)に合致している以上建築確認を下ろさざるを得ないとの弁明については、横浜地裁平成17年2月23日判決(甲29)が指摘する通り、建築主事の権限の問題と、その違法性を審査する裁判所や違法・不当性を審査する建築審査会の審査権限の問題は別異に考えるべきものであり、失当である。即ち、建築審査会は、建築主事の権限が形式的・外形的なものにとどまるとしても、当該確認が実質的にみて違法・不当なものである場合には、その取消を裁決すべきことは、その違法・不当な処分を是正する役割を担っている制度趣旨からみて、明らかである。

以上

この項おわり

■京都会館建築確認処分取消審査請求書「反論書」-3

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2014-05-09 京都会館審査請求裁決書-京都市建築審査会

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by 2011-kyoto | 2014-04-25 00:03 | 2014/04
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