2014-05-21 弁護団声明書:京都会館審査請求裁決について
弁護団声明書:京都会館審査請求裁決について

声 明

1、京都市左京区岡崎公園にある京都会館第1ホールの建替え・高層化に対し、周辺住民567人が建築確認の取消しを求めて、京都市建築審査会に審査請求を行っていたところ、京都市建築審査会は本年5月9日付で裁決を下した。


2、建築審査会の裁決は、京都会館の敷地から100m以内の範囲に居住する住民については審査請求人適格を認めたものの、それ以外の住民には請求人適格は認められないとして却下した。

そのうえで、裁決は、住民らが主張した憲法14条に定める平等原則違反、建築基準法違反、地区計画の濫用等の違法事由について、建築審査会の判断権限を従来の枠組みにとらわれて狭く解釈し、住民らの主張を全てしりぞけて、審査請求人らの請求を棄却した。

しかし、京都市建築審査会のこうした判断は、住民の期待を裏切り、行政に追随したものであって、まことに遺憾なものである。


3、しかし同時に、建築審査会が、裁決の中で次のとおり異例の付言を付けて、京都市が新景観政策の根幹である高さ規制を骨抜きにしようとしたことに厳しく警鐘を鳴らしていることは、注目に値する。

①「 新景観政策において、本件地区計画が許されるということは、他の地域においても、一定の条件を満たせば、建築物の高さを高度地区の制限と異なるものとした地区計画が許されることを意味する。建築物の高さ規制は、土地所有者にとって厳しい私権の制限であるが、景観維持のためには、その制限は厳しくしなければならない。その規制を緩めると結局のところ、景観維持はおぼつかなくなる。その維持には、意識的な努力が必要であり、地方公共団体には重要な役割が期待されるのである。

この点で、新景観政策は多くの支持を得てきたものである。京都市は、その政策を維持し、推進する以上は、自らが建築する建築物には、より厳しく律する必要がある。そうであれば、可能な限りにおいて、自らが建築する建築物においては、例外的な取り扱いをすべきでないのはもちろん、新景観政策の理念を優先することが求められる。」

②「 新景観政策においては、本件建物がどの程度の公共性や必要性を有するか、そして、景観との調和のために、その形態・意匠等においてどのような配慮がされたか等は十分に検討されるべきことがらではある。」

③「 京都市は、新景観政策を維持する以上は、その理念が本件地区計画を契機に崩れることのないように、今後も十分に説明責任を果たす必要がある。」


4、京都市は、今回の裁決に上に述べたような異例の「付言」が付けられていることを真摯に受けとめ、京都会館第1ホールの建替え・高層化にあたって、どの程度公共性や必要性があるのか、また景観との調和のために、形態・意匠等においてどのような配慮がなされたか等について、十分な検討を尽くすことはもとよりのこと、自ら建築する京都会館第1ホールについて、どこまで厳しく律してきたのか、またはたして新景観政策の理念を優先してきたといえるかどうかについて、市民に対して十分な説明責任を果たすことが求められている。

よって、私たちは、今回の地区計画を契機に新景観政策の理念が崩れることのないよう、あらためて京都市に対し、さきに述べた点について十分な説明責任を果たすよう強く求めるとともに、東山と岡崎地域をはじめ京都の景観とまちなみを守るために、引き続き奮闘する決意である。


2014年5月21日
審査請求人団・弁護団
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■弁護団声明書:京都会館審査請求裁決について

2014-05-09 京都会館審査請求裁決書-京都市建築審査会

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by 2011-kyoto | 2014-05-21 00:00 | 2014/05
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