2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-1
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-1

2014年10月17日
京都地方裁判所 御中

訴 状

原告 別紙原告目録記載の通り(○○○○ら321名)
被告 〒604-8571
京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488番地
被 告 京都市
処分庁 京都市建築主事中山雅永

建築確認処分取消請求事件

 原告ら代理人               
 弁護士 中   島       晃  
 同   飯   田       昭  
 同   藤   井       豊  
 外19名(別紙代理人目録記載のとおり)
 (送達場所)
 〒604-0857
      京都市中京区烏丸通二条上る蒔絵屋町280番地
      インターワンプレイス京都4階 京都第一法律事務所
  TEL 075-211-4411 ・ FAX 075-255-2507 
  弁護士  藤  井   豊
請求の趣旨

1 京都市建築主事中山雅永が、平成25年9月30日に行った建築確認(第H25計認建築京都市00043号)を取消す

2 訴訟費用は被告の負担とする

との判決を求める。
請求の原因

第1 取消しの対象となる建築確認

建築確認年月日 平成25年9月30日
建築確認番号   第H25計認建築京都市00043号
処分を行った者 京都市建築主事中山雅永
建築主 京都市長門川大作
第2 はじめに -憲法14条違反-

1 新景観政策に逆行する地区計画による高さ制限の緩和

(1)京都会館の敷地(以下、本件敷地という)は15mの高度地区に指定されており、ここでの建築物の高さの最高限度は15mに制限されている。

 京都市において、こうした建築物の高さ制限が市街地全域で強化されたのは2007(平成9)年3月のことであるが、それに至る経過を振りかえってみると、2004(平成6)年6月に成立した景観法の施行を受けて、京都市において、これまでの景観政策の見直しが進み、2006(平成8)年11月に出された「景観づくり審議会」の最終答申を受けて、京都市は「時を超え光り輝く京都の景観づくり」をめざす新景観政策を発表し、市民的な論議を経て、上述のとおり翌2007年3月に新景観条例の制定にこぎつけたものである。


(2)ところが、京都市は、本件敷地において、こうした新景観政策によって定められた景観保全のルールを自らの手で否定し、これと逆行する高さ制限の緩和を行うために、2012(平成24)年2月、地区計画によって建築物の高さの上限を31mに引き上げることを決定した。

 ところで、高さ制限を31mに引き上げるという上述した地区計画の決定は、京都会館の第1ホールの改築によりホールの高さが30mを超えることから、上述した第1ホールの改築計画にあわせて地区計画による高さ制限をそれまでの15mから31mに大幅に緩和したものである。

 しかし、このような個別の建築物の建築計画にあわせて、地区計画によって高さ制限を緩和するという手法は、地区計画制度の本来の趣旨を大きく歪めるものであって、地区計画制度の明らかな濫用といわなければらない。

 しかも、このような個別の建築物の改築にともなって、高さ規制を例外的に緩和する必要が生じた場合には、新景観政策にもとづいて制定された「高度地区の特例許可の手続に関する条例」にしたがって、許可を受けるための手続をとれば足りるのであって、地区計画による高さ制限の緩和という手法をとる必要がないことはいうまでもない。

 したがって、この点からいっても、本件敷地において、地区計画を用いて上述のように高さ制限を緩和するというやり方は、明らかに地区計画制度の濫用といわなければならない。


(3)さらに、京都会館は、京都市が設置・管理し、京都市が所有する公有財産であるが、同時にまた京都市は都市計画法にもとづき都市計画を決定する権限を有している。本件敷地における建築物の高さ制限の緩和は、建築物の所有者である京都市が、京都会館の改築にあたって上述した「高度地区による特例許可の手続に関する条例」の適用を回避するために、自ら都市計画決定権限を有するという地位を利用して、本件敷地の高さ規制を大幅に緩和したものであるから、地区計画制度の恣意的な濫用であり、明らかに平等原則違反するものといわなければならない。

 したがって、本件敷地の高さ制限を31mに引き上げた地区計画の決定そのものが、著しく正義に反するものであり、法の下の平等を定めた憲法14条に違反し、違法無効であるといわなければならない。以下、この点について述べる。


2 互換的利害関係を破壊する地区計画による高さ制限の緩和

(1)新景観政策にもとづいて、歴史都市京都の良好な景観を維持、保全していくためには、地域の景観を構成する空間の利用者全員が相互に、景観維持のために定められた高さ制限等の共通のルール(規制)を尊重し、遵守していくことが求められている。このように景観の維持・保全のためには、空間の利用者全員が相互に共通のルールを尊重、遵守しなければならないという関係にあることから、空間の利用者は相互に互換的な利害関係によって結ばれているということができる。

 この点に関して、東京都国立市の通称大学通りに面して建築された高層マンションが建築条令に違反するとして、違反部分について住民が除去命令を求めた事件で、2011年12月4日、東京地裁は次のような注目すべき判決を下している(判例時報1791号3頁以下)。

 「景観は、通りすがりの人にとっては、一方的に享受するだけの利益にすぎないが、ある特定の景観を構成する主要な要素の一つが建築物である場合、これを構成している空間内に居住する者や建築物を有するものなどのその空間の利用者が、その景観を享受するためには、自らが景観を維持しなければならないという関係に立っている。しかも、このような場合には、その景観を構成する空間の利用者の誰かが、景観を維持するためのルールを守らなければ、当該景観は直ちに破壊される可能性が高く、その景観を構成する空間の利用者全員が相互にその景観を維持・尊重しあう関係に立たない限り、景観の利益は継続的に享受することができないという性質を有している。」

 このように互換的な利害関係とは、良好な景観を維持保全し、これを享受するためには、高さ規制などの景観維持のための共通のルールを空間の利用者全員が平等に受け入れて、これを遵守していくことが必要であるという関係にあることを示すものにほかならない。

 いいかえれば、景観ルールの平等が確保されることの維持保全=景観ルールの平等性は、景観の維持保全とその平等な享受を実現するための不可欠の前提条件となっている。


(2)ところで、本件敷地において、京都市が地区計画によって、高さ規制を15mから31mに大幅に引き上げたことは、これまでこの地域一帯に定められた高さ制限の共通のルールの適用を、京都市が所有する本件敷地についてだけ除外して、新しく特別のルールを設けて、建築物の高さ制限を緩和しようというものである。

 しかし、こうした特別ルールをつくることは、景観維持のための共通のルールを定めて、空間の利用者全員が相互に共通のルールを尊重、遵守するという互換的利害関係とは明らかに相容れないものである。いいかえれば、地区計画による高さ制限の緩和は、京都市の所有する敷地についてだけ、共通ルールではない特別のルールを適用しようという点で、景観の維持・保全のためのルールの平等性を真っ向から否定するものにほかならない。


(3)近代国家は、国王と臣民、領主と農民、権力者と市民とが同一のルールや規制に服する、いわゆる法の支配もしくは法の下の平等が確保されることによって、はじめて成立するものである。

 もし、権力者が市民と共通のルール(規制)には従わずに、自分にだけ都合のいい特別ルールをつくって、本件のように例えば非常に立派なホールをつくろうとすれば、それは法の支配と法の下の平等を根本から破壊するものといわなければならない。もしそのようなことが許されるとすれば、それはもはや近代国家とは言えず、封建社会に逆戻りすることになる。

 京都市がいかに「立派な」ホールをつくろうとしているからといって、自分の所有する敷地についてのみ、一般の市民が従っている共通のルールとは異なる高さ制限に関する特別のルールをつくることは、仮にそれが地区計画で決定したからといっても、決して正当化されるわけではなく、自己の有する都市計画決定に関する権限の明らかな濫用以外の何物でもない。

 以上のとおりであるから、京都市が本件敷地について、地区計画によって高さ制限を緩和したことは、明らかに平等原則に反するものであって、憲法14条に違反し、違法無効であることといわなければならない。

2へつづく
d0226819_21572214.jpg

■【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-1

日本国憲法第14条
2014-05-22 旧京都会館の建築確認取り消し請求、市建築審が退ける-msnニュース
京都市建築審査会
新景観政策 リーフレット-「京都市情報館」
時を超え光り輝く京都の景観づくり - 京都市
2012-02-01 岡崎地域における都市計画の見直しについて-「京都市情報館」
2012-01-20 岡崎地域の高さ規制緩和を決定 京都市都計審、京都会館再整備へ-「京都新聞」
京都都市計画(京都国際文化観光都市建設計画)高度地区の計画書の規定による特例許可の手続に関する条例施行規則
国立市の高層マンション訴訟で「不当マンションの一部取り壊し」を命じる、画期的な判決が下りました。
「景 観保護的まちづくりと法の役割--国立市マンション紛争をめぐって」  都市住宅学 38号(2002.7)48-57頁-角松生史

2012-08-13 京都会館問題住民訴訟 提出訴状一式
2013-03-21 京都会館住民訴訟 判決文

2014-05-09 京都会館審査請求裁決書-京都市建築審査会

京都会館建築確認処分取消審査請求書-1
京都会館建築確認処分取消審査請求書-2
京都会館建築確認処分取消審査請求書-3
京都会館建築確認処分取消審査請求書-4
京都会館建築確認処分取消審査請求書-5
京都会館建築確認処分取消審査請求書-6
京都会館建築確認処分取消審査請求書-7

【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-1
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-2
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-3
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-4
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-5
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-6
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-7
[PR]
by 2011-kyoto | 2014-10-17 00:01 | 2014/10
<< 2014-10-17 【京都会... 2014-09-16 ロームシ... >>