カテゴリ:2012/04( 15 )
2012-04-25 「建物は改修しながら生きていく」-香山壽夫
「建物は改修しながら生きていく」-香山壽夫

 2010年点ごろに「京都会館を壊してオペラ専用劇場をつくるそうだ」という話を聞いた時、とんでもない話しだと思った。新聞報道でも、それに近い内容が掲載されていた。オペラ専用劇場であれば、恐らくホールだけなく、中庭も何もかも壊すことになる。それで多くの建築がが反対したのだろう。
 しかし、基本設計の仕様書を読んでみたら、現在の建物を生かすという趣旨だった。建物というのは改修しながら生きていくもので、それが建築と他の純粋芸術の違うところだ。既存の建物をいじることがいけないなんて、今まで一度も考えたことがない。 
 前川國男が固有のスタイルを持っているのは誰の目にも明らかだし、僕も敬意を払っている。一方で今回の再整備は、細部の改修ではなく大規模なもの。これは基本設計の出発点から決まっている。大規模な改修では、前川さんの建築的なボキャブラリーを無理やり延長してもうまくいかない。似て非なるものをつくったら、前川さんに怒られてしまう。時代も要件も違うなら、現代の技術で応える。結果として既存の建物の価値も底上げするような設計が望ましい。
・・・確かに手すりは京都会館の水平性を強調するもので、ガラスで覆うということに対する危惧は承知している。ただ、なくなるわけではないし、今以上に美しく見えるようになると確信している。 (談)
前川建築をガラスで覆う 特集京都会館
「安易な模倣はしない」、香山壽夫氏により基本設計進む
「日経アーキテクュア4/25号」所収


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■「建物は改修しながら生きていく」-.香山壽夫

日経アーキテクチュア

2012-06-22 検討委員会提言を受けた基本設計内容/景観シミュレーション-「京都市情報館」
2012-06-22京都会館再整備工事 入札公告について-「京都市情報館」
■京都会館の建物価値継承に係る検討委員会関連記事
2011-09-12 京都会館基本設計業務受託者(香山壽夫建築研究所)技術提案書(閲覧用)-「京都市」
2011-09-20 『京都会館再整備工事設計業務委託...』設計業務受託候補者の選定...結果について
2011-06-24 「京都会館再整備基本計画」の策定について-「京都市情報館」
香山壽夫建築研究所
香山壽夫のページ
香山壽夫-Wikipedia
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by 2011-kyoto | 2013-01-21 22:52 | 2012/04
2012-04-25 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.10 こんな会館京都には似合いまへん
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■岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.10 こんな会館京都には似合いまへん

岡崎公園と疏水を考える会 公式ブログ 京都会館再整備No!


2012-03-24 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.9-2 京都会館保存を願う人々
2012-02-23 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.9 京都会館解体しないで!
2012-01-25 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.8-署名提出、ご協力ありがとうございました
2011-12-11 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.7-京都会館の保存を願う文化人ら続々
2011-11-28 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.6-11月15日開催シンポジウムのご報告
2011-08-15 岡崎公園と疏水を考える会ニュースNo.5-「岡崎公園と疏水を考える会」
2011-08-10 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.4-「岡崎公園と疎水を考える会」
2011-06-23 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.3-説明会参加のご案内
2011-06-10 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.2
2011-03-28 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.1
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by 2011-kyoto | 2012-06-09 08:00 | 2012/04
2012-04-30 ヨーロッパからの手紙 その3 「みなさんへ」
ヨーロッパからの手紙 その3-「みなさんへ」

Subject:みなさんへ
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XX XX 様

最終回の成り行きに興味を持っていたのですが、期待に反して委員会はあっけなく終わってしまいました。そして沈黙。
そういうすっきりしないところへ、日経アーキテクチュアの記事
ニュートラルな体裁を保ってはいますが、この記事には京都市と基本設計受託者に、追い風を与えるベクトルが含まれています。

建築が利害と思惑が絡みあう中で翻弄されるものであることは、洋の東西を問いません。たとえば近代建築史のなかに特別な位置を与えられたウィーンのロースハウス、建設にあたって色々と物議を醸しました。
では、今回の京都会館を巡る展開はどうでしょうか。同じように物議を醸していますが、文化というフィルターにかけてみると、ポジティブなものはほとんど残りません。

正否の問題ではありません。建築の捉え方とその評価の基準です。
たとえばロースハウスに反対した人たちは、建築が解っていなかったのでしょうか。また建築家ロースは、広場のアンサンブルに配慮しなかったのでしょうか。

学生時代を京都で過ごし、そのあと長年ヨーロッパに暮らす私には、いい意味における京都の自負心・独自性といったものの大切さを痛感します。でもそれはもう、今回の市当局の対応には窺えません。関西の経済的地盤沈下と共にもぬけの殻となってしまったのでしょうか。

日本の文化の二極構造が内実を伴って機能していた時代の京都。その土壌を尊重しながら設計された近代建築たる京都会館。
それは、ヨーロッパ的精神の洗礼を受けた日本人建築家が、戦災を免れた京都という土地に、一個の人間としてアウトプットとした「時代のイコン」とでもいうべき存在なのです。

建築というのは、うまく使えたり斬新であったりすることも必要でしょうが、ある時代に生きた人間としての建築家のアウトプットが、その仕事に込められているということ、これが建築が広く社会に受け入れられるための前提条件ではないでしょうか。それが人の心の琴線に触れて共感を呼び起こし、愛着が生まれて保存が望まれる所以だと思います。
つまり、建築にそのような非定量的な建物の価値が認知されないかぎり、日本中で危機に晒されている近代建築の保存は叶わないでしょう。取り壊しを数値で正当化することは容易いのですから。

これは文化の問題です。京都市は人の生活の一部となった建築の価値を認めようとしない。いわゆる知識人を多く擁する京都でさえこうなのですから、「問題建築」の建つ地方の自治体における困難さは、推して知るべしです。

だからこそ、多くの言説が飛び交った今回の京都会館を巡る顛末は、客観的に分析される必要があります。地域振興の参考書は本屋の棚にあふれているけれど、建築保存のそれは無に等しいのではないでしょうか。
専門的立場からの歴史的位置付けは大切ですが、それを語りなおして、当該自治体担当者の手引きとなるようすることが急務です。

京都会館改修に関与する、当事者たちの立場は明らかになりました。
残念ながらそれ自体は、市当局のシナリオに基づいて展開することになりそうですが、それとは別に、建築とその保存を巡る基本的議論は、始まったばかりなのです。


ブログ「I Love Kyoto Kaikan」から、考えるためのヒントを抜粋してみます。

まずは市当局の採った施策から。

1.市当局が京都会館改修の検討を始め、各界の有識者を集めて再整備委員会を設置

2.「京都会館再整備基本計画」で市当局は独自で大枠を決定し、「…今後、基本設計を進めてまいりたいと考えております。…」(建築学会宛京都市長返答

3.それを踏まえ市当局は基本設計のプロポーザルを公募、その審査に当たるのは当局者のみ。

4.なぜか必要が生じた再公募に対するエントリーは2者のみ。

5.業務受託者の選定その挨拶より:「京都会館という…すぐれた日本近代建築の保存再生の設計者に指名され…。委員の先生をはじめ多くの方のお力をいただきながら、ぜひこの大役を全力をつくしてやり遂げたいと思っております…」

6.市当局は「京都会館の建物価値継承に係る検討委員会」を設置、当局はそれを「… 外観デザイン等について検討を行っていただくもの…」と定義。

市当局と建築としての京都会館

1.から3.は日本における役所の標準的実務の流れなのでしょう。ただそこにには、建築に職能として携わる建築家が不在です。言い方を変えれば建築家、ひいてはその職能自体が不必要なものと看做されています。
事業主体である市当局が、自分の都合にあわせて計画要綱を作成し、基本設計の担当者を客観性排除の下に選出してプロジェクトを進めるのは、いわゆる「ゴリ押し」に他なりません。

それはもちろん、ある意味ではOKです。

しかしそれならそれで、民意とか知識人とかを持ち出してカモフラージュしてはいけません。「後付け」で設置した委員会に諮ったという事実のみをもって公共建築をのもつ文化的側面に配慮したという、そういう誤魔化しは許されません。

プロポーザルの再公募が必要となったこと、そして応じたのは二者に過ぎなかったこと、これも建築を文化として考える上で、重要なポイントです。

他の設計者たちは、基本設計業務受託者とは違って、この課題へ挑戦することに職能者として興味を示さなかったのでしょうか。あるいは、当プロジェクトを巡る論争に尻込みして、参加を遠慮したのでしょうか。

つぎに、委員会での議論から

一委員:「…ここでは建物価値継承ということを考える委員会ですので、…条件が違うところでつくられたホールの標準的な高さをここで実現しなくてはならないということにはならない。」

舞台廻り専門家:「今世間相場はやはり、30m必要なんであって、…残念ながら27しか抜けないんです、いかがでしょうかというような理論に行かない限りは、やれるものがなくなってしまうと。」

委員長:「…もとの中庭がなくなってしまったような気がしまして、やはりある程度外観は継承していただきたいという気がしています。」

基本設計業務受託者:「…触れないでそれをこうしたほうがいいと判断したわけで、…一遍やってみろとおっしゃいますが、一遍どころか何十回もやっていますよ。」

事務局担当員:「…今後の劣化を最小限にとどめるために内部化することにしました。…バルコニー部分の欄干を内部に取り込むことが最善の方法であると考えたのであります。」

委員会提言:「ホワイエ、ロビー空間を拡充しようとする際には、現建物の持つ全体の空間構成や外観意匠の価値を十分に尊重して行うべきである。」

事務局長:「…この提言について消化をしてですね、より生かしていけるようにしてまいりたいと思っております。」

建築に携わる者と建築としての京都会館

当件には、市当局の建築を学んだであろう職員、建築職能者、建築研究者、実践的教育者といった役職の諸氏が登場します。そして、独自の見識と位置付けに応じた役割を演じておられます。
そして京都会館を巡る議論は、残念ながら自由闊達な意見の交換とは程遠いものになってしまいました。

当然といえば当然。建物の外観を、機能の翻訳たる平面と分けて論ずること自体が不可能だからです。外観の議論は、必然的に平面・機能に飛び火します。
だからプラグマティックに市の要綱を受けいれ、それを出発点として請けた仕事をすすめる基本設計受託者が不快感を示すのも、不思議ではありません。
また、市当局のやり方に批判的な委員たちが、そういう受託者に再考を促そうとするのも、自然です。

こうして両者は京都市当局によって、不条理な対立的構造に縛られてしまったのでした。
でも、対立していて済むような話なのでしょうか。本館設計者のあとを継いだ事務所長の言葉には、一番の当事者でありながら「あるべき」発言をしなければならない職能者の葛藤が、如実にうかがわれます。

各人各様の立場と動機。個別に見るかぎり、そこにはそれなりの整合性が認められます。しかし全体として眺めた場合、問題が存在することは否めないでしょう。
どうしたらいいのか。建築に係わる者の職能を、価値観をも含めて照射し直すことが必要です。

キーワード「職能」

たとえば、建築家の職能が日本ではまだ一般に認識されるに至っていない、という言い方があります。
医者は弱い人が生存を続けるのに必要な職能で、弁護士は弱い人が社会を生き抜くのに必要な職能、これは洋の東西を問いません。でも建築は?
たとえば、JIAの方々がそのホームページで並べて語るのとは裏腹に、建築家の職能を日本の社会はそれほど必要としていません。大工さんがいるし、ゼネコンもいるし。
しかし建築家は、数量では収まらない側面をも司るのです。しかもその判断は役所や組織などの意向に影響されることがない、それが自由業たる所以です。そういった認識が定着していないところでは、建築の保存はテーマになり得ません。

長くなりました。
そういった一般論ではなく、最後に職能の理解と直接関連する事項に触れておきたいと思います。

思うが侭に振舞うかのような市当局。でも最終的には京都市民に懸かっているのです。まさか、京都の町衆がそのキャラクターを自ら放棄してしまった、なんてことはないですよね。
研究者の方々にはDOCOMOMOに止まらず、保存の所以をわかりやすく説き、文化としての側面に対する市民の意識を高めるように勤めていただきたい。
建築家の方々には、自己の実現のみを目指すのではなく、職能を全建築的に生きる人間として日々の設計業務に携わり、その存在理由を示していただきたい。

そして、建築としての課題に興味を持ちながらも、別の理由からプロポーザルに参加しなかった設計者の方々。
皆さんが参加しなかったその弊害が明らかとなりました。そういう状況に責任を感じること、そしてなんらかの声を上げること、これも広い意味での職能の一部です。ちょうどアドルフ・ロースが「虚空に吼えた」ように。


状況の好転を願いつつ、
2012年4月末日 ウィーンにて。
三谷 克人


■ヨーロッパからの手紙 その3 「みなさんへ」

2012-03-20 ヨーロッパからの手紙 その2-「第4回価値継承委員会会議傍聴メモについて」

2012-02-27 ヨーロッパからの手紙-「I love Kyoto-Kaikan」読みました

■京都会館の建物価値継承に係る検討委員会関連記事
日経アーキテクチュア 2012年4月25日号 内容紹介
2007-11-08 京都会館再整備検討委員会-「京都市情報館」
2011-06-24 「京都会館再整備基本計画」の策定について-「京都市情報館」
2011-07-22 京都会館の保存要望書(回答)-「京都市長 門川大作」
2011-06-27 「京都会館再整備工事設計業務委託...」のプロポーザル参加者募集について-「京都市情報館」
2011-08-05 「京都会館再整備工事設計業務委託...プロポーザル参加者募集について 【再公募】  
2011-09-12 京都会館基本設計業務受託者(香山壽夫建築研究所)技術提案書(閲覧用)-「京都市」
2011-09-13 門川市長記者会見(2011年9月13日)-「京都市情報館」
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by 2011-kyoto | 2012-05-09 12:11 | 2012/04
2012-04-27 京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言と提言(案)を比較してみました
3月28日第五回京都会館の建物価値継承に係る検討委員会に提案された検討(案)と4月27日に正式発表された提言を比較してみましたので、参考までに掲載いたします。


クリックすると大きくなります↓
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■京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言と提言(案)を比較してみました

2011-04-27 京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言について-「京都市情報館」

2012-03-28 京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言(案)


■京都会館の建物価値継承に係る検討委員会関連記事
京都会館の建物価値継承に係る検討委員会-「京都市情報館」
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by 2011-kyoto | 2012-04-27 00:01 | 2012/04
2012-04-27 京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言について-「京都市情報館」
京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言について
[2012年4月27日]

 京都会館の建物価値継承に係る検討委員会の計5回の会議における議論を経て,「京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言」が取りまとめられたものです。
委員会提言はこちらです。

pdf京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言(ファイル名:teigen.pdf サイズ:120.03 キロバイト)

文化市民局文化芸術都市推進室文化芸術企画課
住所: 〒604-8006 京都市中京区河原町通御池下る下丸屋町394番地 Y・J・Kビル2階
電話: 075-366-0033 ファックス: 075-213-3181


平成24 年4 月23 日

京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言

日本を代表する建築家である前川國男の設計によって昭和35 年に造られた京都会館は、京都・岡崎地域に建ち、戦後のモダニズム建築の傑作である。この建築は日本建築学会賞等、数々の賞の受賞が示すように、専門的に高い評価を与えられているだけではなく広く市民に愛されて今日に至った。

一方で、築後50 数年を経たこの建築は、各所で老朽化が進んでいるだけでなく、会館としての機能が、今日求められるものと大きく隔たったものとなっていることは、誰の目に見ても明らかなものとなった。これまで市民に愛されてきた建物を、これからも長く愛されるようなものとして保つためには、必要にして適切な手入れを持続していかなければならない。

本委員会は、歴史的建築として評価を得ている京都会館の改修において、京都市が作成した再整備基本計画を前提としながら、その中で建物価値をどのように継承していくのか、建築や舞台技術の専門家、地元の代表者により検討する委員会として、京都市により組織されたものである。計5回の委員会で、目下作成中の基本設計案(平成24 年5 月完成予定)も参考としながら検証を重ねた。その議論は、外観デザインはもとより、中庭を中心とした空間構成、またそれらの構成要素である各部材・素材に至るまで、時には、京都市の新
景観制度のあり方にも及んだ。京都会館に造詣の深い各委員の熱い思いによる、公開の場で行われた大変有意義で真摯な議論であった。

議論から導かれた提言については以下に示すとおりであるが、提言が実現された暁には、機能向上を図りつつ建物価値を継承するという近代建築再整備の観点に立って、近代建築を保存・継承する新たな道筋をつけることができると確信する。

1.基本的な考え方

歴史的な建築の価値を保存しながら、一方で現状では不十分となった機能を加えるという改修となるために、保存と改変のバランスを考えることが必要となる。京都市が提起した「岡崎地域活性化ビジョン」などにしたがえば、確かに京都会館の機能改修は重要である。しかし一方で、同ビジョンにもあるように、岡崎地域は景観上重要な位置づけをもつ地域であり、本年3月には「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴まち法)」の重点区域に指定されるとともに、「文化的景観」の指定も計画されるなど、京都会館の歴史的な建物価値はますます重視されることになるのは明らかである。したがって、機能の向上や利便性から計画される改修であっても、それが歴史的な建物価値を損なうことのないよう取り組まなければならない。

2.空間構成の継承

ピロティによって中庭に導く「開かれた公共空間」の特質を守ること。
中庭から第1ホールのホワイエを透過して冷泉通りまで見通せる空間の流動性を保つこと。
ホワイエ、ロビー空間を拡充しようとする際には、現建物の持つ全体の空間構成や外観意匠の価値を十分に尊重して行うべきである。

3.外観意匠の継承

現・京都会館の外観意匠における特質は日本の建築的伝統との近さである。この印象は、大庇・手すり・バルコニーによって形成される立面が、日本建築における軒・縁・高欄による立面と似通うことから与えられる。こうした立面構成の価値を維持継承できるようにしなければならない。
現・京都会館の上記の特質をとりわけ明瞭に感じさせる中庭に面した外観については、特にこのことが求められる。
サッシ割りなど細部の形状について可能なかぎり原型を保つこと。
第二ホールのホワイエはガラス面を透過して外観と一体化している部分であるから、その空間構成の継承に対しては十分な配慮を払うこと。陶壁画についてもその芸術性に敬意を払いつつ、継承に努めること。
第一ホールのフライタワーの形姿については、大庇で表現された大屋根の下に諸々の空間を抱込み、大屋根の上のマスは空や山並みに融け込むという原設計の外観意匠の全体的統一性の上からも十分な配慮を払うこと。

4.景観構成要素としての意義の継承

フライタワーの高さ・形状については、岡崎地域、ひいては東山山麓の風致を損なわないよう最大限の配慮を払い、現在、進められている重要文化的景観の調査検討および歴史的風致維持向上計画の策定との整合に留意しつつ、十分な検証をおこなうこと。
景観シミュレーションを見ても、舞台内高さ 27mを確保した基本設計案のフライタワーが周辺の風致に与える影響に配慮することが必要であることは明らかである。いかにフライタワーの高さとボリュームを抑えていくかがデザインの要であり、慎重なデザイン処理を行うべきである。
新築される第一ホール部分の形状・色彩・素材についても、岡崎地域の風致を損なわないよう精緻な景観シミュレーションを行うなど最大限の配慮を払うこと。

5.材料の継承

既存の建築構成要素は、後補部分を除き保存・再利用する。京都会館の建物価値の本質とも言える外観にかかわる部位については、とりわけ慎重な保存・再利用が求められるが、内部の構成要素も、できる限り保存・再利用をすべきである。
再利用が困難な場合は、できる限り同一素材・同一形状での復原をおこなうこと。

6. 京都会館の建物価値を最大限継承するための対応

本検討委員会で議論し、確認した京都会館の建物価値を最大限生かした再整備となるよう、再整備基本計画では言及されていない空間利用についても積極的に検討するなど、再整備基本計画を幅広く解釈して柔軟に運用することが必要である。


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■京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言について-「京都市情報館」

2012-03-28 京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言(案)


■京都会館の建物価値継承に係る検討委員会関連記事
京都会館の建物価値継承に係る検討委員会-「京都市情報館」
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by 2011-kyoto | 2012-04-27 00:00 | 2012/04
2012-04-01 建築人 吉村篤一-「建築人4月号 No.574」
建築人 吉村篤一
京都会館保存運動

河野
 「京都会館」(前川國男設計一九六〇年)の第一ホール建替えについて、どのように思われていますか?

吉村
 京都会館再整備基本計画が、第一ホールを全部取り壊して新しく建て替えることになっていて、その要求内容が過剰なんです。オペラができるようにするとか、二千人は収容するようにとか・・・。それらすべてを計画内容に取り込むと、今までと全然違う空間になってしまう。それはよくないということで京都市へ要望書を提出したり、賛同署名を集めたりする運動を行っています。シンポジウムも二回やりました。

河野
 賛同メッセージや署名運動などの盛り上がりに対して、今後の展開はどうなんですか?

吉村
 先日、行われた京都市長選挙で、保存賛成派の候補者が落選してしまいました。保存は、厳しいのかもしれません。

森本
 坂倉準三が設計した建築で保存運動といえば、「伊賀市庁舎(旧上野市庁舎)」(一九六四年)があります。建築史家や坂倉関係の方々が集まって地元で保存シンポジウムを何回か行ったようですが、残念ながらすべて取り壊した上で新しい庁舎を建設することが発表されました。この建物は全体で城下町に融け込ませるように設計していますから、残念です。保存運動は、建築関係の人間はその価値を訴えますが、一般の市民に広がらないのが現状です。

吉村
 確かにそれはありますね。伊賀市庁舎は残念ですね。何とかならないのでしょうか。「京都会館」の場合も一般市民はほとんど無関心で、今回の計画で良くなるんだと思っている人が多いですが、実はその逆なんですけどね。

森本 
 古いものは一度取り壊されると、同じものをつくることができないことが多々あります。京都会館のタイルも、同じものが張れるかどうかという話もありますしね。似たようなものはできるかもしれませんが、完全に同じではないことが考えられます。

吉村 
 その話はオーセンティシティ(真実性)の問題ですね。先日に京都工芸繊維大学で行われた建築の保存についてのシンポジウム(注11)で、例えば建物に使われているガラスを修繕する際、その当時のガラスを再現しないとオーセンティシティはないが、どうしてもできないときにどうするかという議論がありました。

森本
 残すことは当然のこととして、その上での話ですね。

吉村
 そうそう。ル・コルビュジェの「サヴォア邸」(一九三一年)でもガラスの問題はあったそうですね。材料自身が当時のものはもう無いので、それをどこまで近づけるかが問題だと。また、オランダにリートフェルトが設計した穴開きブロックと木造の軽い形態の建物(注12)があるんですが、二回再築しているらしいね。そのときに、時代が違うからどんどん材料が無くなってしまっているので、どこまでオーセンティシティを保つかとか、そもそも周りの環境が違うのにどうするんだとかといった議論があり、やっと今三回目の保存ができて、「これはオーセンティシティがあるかどうかわからない」といったことがあるらしいです。移築時には周りの環境も考えて場所を決めなければならないくらい慎重に進める必要があるということですね。現在のわが国の状況と比べると雲泥の差がありますね。

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■建築人 吉村篤一-「建築人4月号 No.574」
社団法人大阪府建築士会

京都会館を大切にする会

2011-10-10 シンポ「京都会館のより良き明日を考える」声明文採択-「京都会館シンポジウム」
■12月18日京都会館シンポジウム関連記事
■10月10日京都会館シンポジウム関連記事
2012-03-31 京都会館保存署名のお願い
2011-10-10 -京都会館保存要望書-賛同メッセージ集-テキスト版(10/10到着分)-「京都会館を大切にする会」
2012-01-06 要望書を京都市に提出してきました
2011-10-25 要望書を京都市に提出してきました-「京都会館を大切にする会」
2012-01-06 「京都会館を大切にする会」声明文-「京都会館を大切にする会」
2012-03-05 京都会館建物価値継承委員会 委員へ要望書を提出いたしました-「京都会館を大切にする会」


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by 2011-kyoto | 2012-04-24 13:29 | 2012/04
2012-04-16 2012年京都会館と桜の写真集-「twitter」より
今年の桜の時期の京都会館の写真をツイッターより集めてみました。
京都会館の建物の水平ラインと桜並木がとても合っていますね。
掲載させていただきました皆様、どうもありがとうございます。写真はまだまだ募集中です。


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■2012年京都会館と桜の写真集-「twitterより」
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by 2011-kyoto | 2012-04-16 00:00 | 2012/04
2012-04-16 歴史的価値保存を 市検討委京都会館改築で提言-「京都新聞」
歴史的価値保持を市検討委 京都会館改築で提言
京都市左京区の京都会館第1ホールの建て替えについて検討する市の「京都会館の建物価値継承に係る検討委員会」最終提言をまとめた。会館の機能性向上を図りつつ建物が持つ歴史的な価値を保つ必要性を強調し、外観や中庭、景観など14項目にわたって配慮を求めた。

 委員会は建築士や研究者、地元住民、劇場運営関係者ら8人で構成

 舞台の高さを27メートルとし、快適性や舞台機能の向上を図る市の再整備基本計画を前提に、昨年10月から同館の建築的価値の保存手法などについて検討してきた。 提言では、京都会館はモダンでありながら、ひさしや手すりなどが日本の伝統建築との近さを感じさせることが特徴と指摘。

 その上で、窓の配置やガラスの壁面などは原型の保持に努め、壁面タイルなど外観に関わる素材は極力再利用するか同一素材で復元すべきとした。

 一方、舞台の高さを現状(6~9.5メートル)より高くすることで景観に与える影響を懸念し、「再整備基本計画を幅広く解釈して柔軟に運用することが必要」と地下空間の活用などで高さを抑える努力も求めた。

 市は5月末までに基本設計をまとめる方針で、「提言を踏まえ、設計に生かしていきたい」としている。
(高橋道長)
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■歴史的価値保存を 市検討委京都会館改築で提言-「京都新聞」

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by 2011-kyoto | 2012-04-16 00:00 | 2012/04
2012-04-15 講座「第四回内国勧業博覧会と京都」、京都会館にて-「日常旅行日記」
講座「第四回内国勧業博覧会と京都」、京都会館にて

全文はこちらでご覧ください http://binmin.tea-nifty.com/blog/2012/04/post-753a.html
先月のことになりますが、京都岡崎公園の疎水のほとりにある京都会館に歴史文化講座を聴きに行きました。
テーマは「第四回内国勧業博覧会と京都」です。

以前、岡崎公園の記事を書いた際に、京都会館の担当の方からご案内いただいたことがあり、出かけたものです。もちろん第四回内国勧業博覧会に興味があったからですが。

会場の京都会館は、1960年に前川國男の設計で建てられたホールです。
第一ホールを建て替える計画で全館閉館に入る前のタイミングでしたので、建物も紹介しておきます。

(中略)

以下、講演内容を簡単に説明します。

明治維新で東京遷都が行われ、意気消沈した京都では元気を取り戻すため、早くも明治4年に西本願寺で京都博覧会が開かれました。この後も度々博覧会が開催されることになります。

第1回の内国勧業博覧会は明治10年に東京上野公園で開催されました。
なぜ「内国」なのかというと当時、日本の地位は外国と不平等。「外国人を呼んで何かあったら困る」から。真面目な産業の展示会でしたが、周辺の店はもうかったそうです。

第2回の内国勧業博覧会に京都が手を挙げますが、誘致失敗。再び東京・上野で開催。
第3回の誘致にも失敗。今度も東京・上野で開催されました。

では第4回はというと、今度こそ京都かと思いきや、真っ先に堺商業会議所が手を挙げ、これに大阪も乗ったらしいです。東京も立候補して京都は出遅れてしまいました。面白いのは、堺の案には大阪のほか熊本・広島も乗り、京都開催案には大津が乗り、神戸は神戸開催を主張し、仙台は東京以外でやろうと言ったらしいのですね。結局、第4回は京都、第5回は大阪、第6回は東京という形で回り持ち開催にしましょうということになりました。

しかし、京都市会と京都商業会議所は誘致に熱心だったのですが、京都市民は冷めていたらしいです。(なんとなく大阪のオリンピック誘致を思い出します)

第4回内国勧業博覧会の準備として、荒廃した寺社の整備(平安神宮の建設も)や悪質な旅館・人力車の取締強化、道路・橋梁などの整備、そして平安遷都千百年記念で二府八県聯合事業という広域の協賛事業が行われました。近畿だけでなく、岡山・広島・琴平・岐阜・名古屋でも開催されています。このときに神戸で遊園地整備、岡山や岐阜で公園整備・改修が行われたとのことです。

明治28年、悲願の内国勧業博覧会が京都で開催されました。
会場はここ岡崎公園です。
京都なので出展は工芸が多く、時代の特徴として電気関係の展示が増えたようです。黒田清輝の裸体画「朝妝」が物議を醸しました。
ただタイミングの悪いことに、開幕当初は日清戦争による自粛ムード、講和後も帰還兵からのコレラの蔓延などで盛り上がらず、既に博覧会が飽きられていたこともあり、来場者数100万人余りで前回より微増ながら、不振に終わってしまったそうです。

(以下略)


 
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画像は「国立国会図書館 博覧会 近代技術の展示場」 より掲載
http://www.ndl.go.jp/exposition/s1/naikoku4.html

■ 講座「第四回内国勧業博覧会と京都」、京都会館にて-「日常旅行日記」

2012-03-24 京都会館 歴史文化講座 第4回 「第四回内国勧業博覧会と京都」のご案
2010-07-14 資料4 参考資料≪歴史から見た岡崎≫-「京都市情報館」
第4回内国勧業博覧会 京都の巻き返し-「国立国会図書館 博覧会 近代技術の展示場」
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by 2011-kyoto | 2012-04-15 00:00 | 2012/04
2012-04-12 京都会館再整備について-「京都市情報館」
京都会館再整備について
[2012年4月12日]

京都会館について

 京都会館は昭和35年(1960)4月,市民の文化センター,国際間の学芸,文化などの交流の場として,岡崎の地に開館しました。

 以来,今日まで50年近くの長きにわたり,音楽,演劇,集会などに利用されてきました。

 設計は日本モダニズム建築の代表的建築家である前川國男氏です。

 建設当初,日本建築学会賞BCS賞(建築業協会賞),建築年鑑賞を受賞しましたが,近年になっても高い評価は変わらず,「日本におけるDOCOMOMO100選(docomomo Japan 100)」に選ばれています。

京都会館再整備構想について 

 京都会館は平成22年度に開館から50年を迎え,建物,設備全般にわたり老朽化が進んでいます。

 今後も京都会館を安全に使い続けるとともに,大規模ホールに求められる今日的な機能を満たすことができるよう,再整備構想を策定することとしました。

 なお,これは平成16年7月に策定された「京都市基本計画第2次推進プラン」に「京都会館の再整備構想の策定」として上げられています。


■京都会館再整備について-「京都市情報館」


■京都会館再整備-「京都市情報館」

京都市基本計画第2次推進プラン-「京都市情報館」

1961-07-20 京都会館 (作品) (日本建築学会賞特集) 前川國男-建築雑誌

2005-10-10 京都会館建築ガイド-「京都会館シンポジウム実行委員会」
1965-12-01 京都会館:前川國男-「京都会館五年の歩み」
第02回受賞作品(1961年)京都会館-「社団法人日本建設業連合会」
建築年鑑賞のペナント-「建築雑誌 社団法人日本建築学会 76(900) (19610720) 」
DOCOMOMO100選
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by 2011-kyoto | 2012-04-12 00:00 | 2012/04