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2012-12-31 本日の京都会館(工事中写真)
2012-12-31 本日の京都会館(工事中写真)

みなさまへ
いつもブログにご訪問いただき誠にありがとうございました。
この一年は京都会館にとって、大きな変化があった忘れられない一年となりました。
来年もマイペースで更新を続けたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
みなさまも、どうぞよい年をお迎えください。

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(撮影J.K)

■2012-12-31 本日の京都会館(工事中写真)

2012-12-23 本日の京都会館(工事中写真)
2012-12-18(2) 本日の京都会館(工事中写真)-Twitterより
2012-12-18 本日の京都会館(工事中写真)
2012-12-05 本日の京都会館(工事中写真)
2012-11-28 本日の京都会館(工事中写真)
2012-11-22 本日の京都会館(工事中写真)
2012-11-13 本日の京都会館(工事中写真)
2012-10-19 本日の京都会館(工事中写真)
2011-11-03 休日の京都会館中庭にて
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by 2011-kyoto | 2012-12-31 00:00 | 2012/12
2012-12-27 世界遺産を生かすには自治体に人材が必要=筑波大大学院教授・稲葉信子-「毎日新聞」
これが言いたい:世界遺産を生かすには自治体に人材が必要=筑波大大学院教授・稲葉信子
毎日新聞 2012年12月27日 東京朝刊
 ◇地域づくりの核とする発想を

 今年が40周年の節目だった世界遺産とは結局のところ何なのだろうか。人気があり誰もが知っていながら、これほど人々の理解が違っているものもないだろう。

 日本のいろいろなところで、世界遺産を目指して運動が起きている。海外でも同じである。地域のアイデンティティーか、観光振興か、いずれにしても世界遺産条約の成功を、この世界遺産というブランドが支えている。

 世界遺産条約の本来の目的は、危機にひんしている遺産の救済のための国際協力にあったはずだと多くの人が指摘する。条約にはもうひとつ危機遺産リストというのがあるが、こちらの方はほとんど知られていない。

 世界遺産条約を私たちの社会にどう位置付けていくか。例えば、日本には文化財保護法や自然公園法があって、国内の文化遺産そして自然遺産の保護、保全、活用のための政策を総合的に担っている。国際社会で同じ役割を果たしているのが世界遺産条約である。

 その政策的な役割をもっと追求すべきだ。世界遺産条約第5条には、遺産保護について締約国に求める事項が列挙されている。特に注目したいのは「文化遺産及び自然遺産に対し社会生活における役割を与え」「並びにこれらの遺産の保護を総合的な計画の中に組み入れるための一般的な政策をとる」という文言である。

 世界遺産リストは認知という作業を通じて、世界遺産条約がより大きな視点からその政策目的を遂行していくための施策の一つに過ぎないことを認識する必要がある。

 それは本来、さまざまな施策を組み合わせた総体的なシステムが完成していて初めて意味を持つ。だが、世界遺産条約の場合には「リスト」のみに集中しがちな人々の思いをうまくさばききれていない。

 世界遺産が、価値と保全状態の両方において最も厳しい審査を経たベストモデルであることが、世界遺産条約の政策手段としての存在を支えている。この基本は崩してはならないが、それだけでは十分ではない。

 文化遺産の裾野を、単体の遺跡や建築から町並み、農業遺産、産業遺産などへ広げ、地域づくりに位置付けて、生かすのが現在の傾向だ。遺産保護は、過疎化し、衰退を続ける地方の経済振興のためにも欠かせない。

 どの国もそのための仕組み作りを模索している。例えば、日本では、このほど東京タワーが登録文化財になった。国宝や重要文化財など指定制度とは異なる領域をこの制度が補完しているおかげで、日本の文化財保護制度が総体として成り立っている。

世界遺産条約でも暫定リストを活用し、周知を目的にした柔らかなシステムを設けていいかもしれない。世界遺産リストだけですべてを解決させようとすることには無理がある。

     *

 もう一つ提案したいのは、世界遺産のこれだけの認知度を背景にした文化資源と自然資源の保全のための努力を地域づくりに生かしていくための、より効果的な施策である。

 文化遺産も自然遺産も、消費されるために存在している観光資源などではない。地域の人々の生活に最も近いところにあり、地域づくりの核となる「ものがたり」を提供している。

 特に地域行政の役割は重要である。世界遺産の経験を持続可能な社会を実現するための最高のお手本として、地域のマスタープランに位置付けていってもらいたい。そのために何よりもまず必要なのは、地元でそうした施策を自ら立案し、実行していく能力あるリーダーの養成、特に行政官の意識の向上である。

■世界遺産を生かすには自治体に人材が必要=筑波大大学院教授・稲葉信子-「毎日新聞」

稲葉 信子  筑波大大学院

2012-10-12 叡智を見つめて-世界遺産40周年 日本イコモス国内委員長 西村幸夫さん-「京都新聞」
2012-10-03 叡智を見つめて-世界遺産40周年 前ユネスコ事務局長 松浦晃一郎さん-「京都新聞」
1964-05-31 ヴェネツィア憲章-イコモス採択
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by 2011-kyoto | 2012-12-29 12:49 | 2012/12
2012-12-23 本日の京都会館(工事中写真)
2012-12-23 本日の京都会館(工事中写真)
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(撮影:河本順子)

■2012-12-23 本日の京都会館(工事中写真)

2012-12-18(2) 本日の京都会館(工事中写真)-Twitterより
2012-12-18 本日の京都会館(工事中写真)
2012-12-05 本日の京都会館(工事中写真)
2012-11-28 本日の京都会館(工事中写真)
2012-11-22 本日の京都会館(工事中写真)
2012-11-13 本日の京都会館(工事中写真)
2012-10-19 本日の京都会館(工事中写真)
2011-11-03 休日の京都会館中庭にて
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by 2011-kyoto | 2012-12-26 13:14 | 2012/12
2012-12-26 平成24年度“京都を彩る建物や庭園”ホームページ制作等業務の受託候補者選定・・について
平成24年度“京都を彩る建物や庭園”ホームページ制作等業務の受託候補者選定に係る公募型プロポーザルの実施について

平成24年度“京都を彩る建物や庭園”ホームページ制作等業務の受託候補者選定に係る公募型プロポーザルの実施について
 平成24年度“京都を彩る建物や庭園”ホームページ制作等業務の委託に関し,受託候補者を公募型プロポーザル方式により選定するため,下記のとおり募集します。

目的
 本市では,市民が京都の財産として残したいと思う,京都の歴史や文化を象徴する建物や庭園を公募によりリスト化・公表し,市民ぐるみで残そうという気運を高めるとともに,様々な活用を進めることなどにより,維持・継承を図る取組を行っています。

 パソコンなどインターネットツールの普及により,Webによる情報発信効果が高まり続ける中,“京都を彩る建物や庭園”をマップなどの機能を用いて周知させ,市民の歴史や文化を象徴する建物や庭園を残そうとする気運を高めるため,ホームページを開設します。

内容
 本事業に係る委託業務の内容及び関連資料については,次の資料を御覧ください。
募集要項等
http://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000133226.html

応募受付期間
  平成25年1月7日月曜日から平成25年1月21日月曜日【必着】
  ※最終日は午後5時まで受付
  ※応募書類の提出は,郵送又は直接持参
  ※直接持参の場合,受付は,業務時間中(午前8時45分から午後5時30分まで(ただし,正午から午後1時までを除く。))に限ります。

問合せ先及び書類提出先
 京都市 文化市民局 文化芸術企画課
 〒604-8006 京都市中京区河原町通御池下る下丸屋町394 Y・J・Kビル2階(文化財保護課内)
 TEL:075-366-1498 FAX:075-213-3366
 メールアドレス:bunka-geijutsu@city.kyoto.jp

■平成24年度“京都を彩る建物や庭園”ホームページ制作等業務の受託候補者選定に係る公募型プロポーザルの実施について-「京都市情報館」

2011-11-16 “京都を彩る建物や庭園”審査会の審査委員を募集します-「京都市情報館」
2011-11-16 「京都の財産として残したい建物や庭園」を募集します-「京都市情報館」
2011-09-21 「京都市民が残したいと思う“京都を彩る建物や庭園”(仮称)」に対する市民意見の募集
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by 2011-kyoto | 2012-12-26 00:00 | 2012/12
2011-07-01 京都会館-「アトリエかわしろ生活館」
京都会館
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平安神宮から南へとひろがる一帯は 岡崎公園 と呼ばれる文化ゾーンなのですが、その中心あたりを東西に貫く二条通に、ほんの100mあまりですがなかなか感じのよい ケヤキの並木道 がありまして、この新緑も紅葉も美しい、ちょうど竹ボウキを逆さに立てかけたように、のびのびと枝葉を広げた樹木たちと、それよりも幾分低い高さで軒をすっと伸ばした 京都会館の物静かなたたずまいとの関係に、20世紀の文明が生み出したごつごつした コンクリートの近代建築が、いかにその土地で歴史を刻みつつ、都市としての風景のあり方を模索したであろう、一人の建築家の真摯な姿を思い浮かべるのです。

京都会館は、コンサートや演劇のための二つのホールと国際会議場を複合した文化施設として、1960年、建築家 前川國男 の設計により完成しました。
それまで京都には、その街にふさわしい規模や内容の文化施設がなかったので、市民の期待は相当高かったものと想像するのですが、それに加え、かなりの規模にならざるを得ない公共の建物を、平安神宮から道路ひとつ隔てただけのこの場所にしっかりと根を下ろすためには、添え物ではない、生命力のある 樹木(それも大木) の存在を抜きには考えられなかったのではないか、と思うのです。
実際、近代建築家のほとんどが建物中心でしか設計をできなかったなか、1970年代頃から 生き生きした樹木あっての優れた建物 を続けざまに成し遂げた、後年の前川國男の穏やかな創作スタイルの出発点が、この京都会館であったのかな、などと想像してみるのです。

二条通のケヤキ並木は、京都会館の工事にあわせて整備されたようです。
この素敵な並木道は、もともとあった歩道を更に3倍くらいの巾に敷地側に拡張して、広々とした歩道の中央に整然と植えられましたから、もちろんケヤキの木は、最初からそんなに大きかったわけではありません。 一本の木がある程度成長し格好がつくまでには、大体15年くらいはかかると想定しておかなければならないので、設計者はその15年後の姿を頭のなかで描いてから、建物や敷地、道路や周囲との 好ましいバランス でその木にために、そしてその木から将来恩恵を受けるであろう人や、鳥や、昆虫たちのために、一番よいように考えておかなければならないのです。

きっと前川も、すっかり成長したケヤキの姿を頭のなかで思い浮かべて、ケヤキの背丈よりも低くなるように、軒の高さを決めたのだろうと思うのです。 そうすると、並木道とのバランスで建物が格好付いてくるのが 15年後20年後以降 になるわけですから、そのくらいの長い時間の流れに確実に耐えられるよう 「日本の建物の流儀」 にならって深い軒をぴんと伸ばし、周囲にぐるりとめぐらせた。 深い軒に守られた外壁や建具は、厳しい風雨からしっかりとまもってくれる。 一方、張り出した軒やバルコニーの手すりは風雨に直接さらされるので、ここだけは プレキャストコンクリート と呼ばれる工場で生産できるパーツとして、現地に運び込まれ組み立てられています。
この方法でつくられるコンクリートは、きちんと温度や時間の管理がなされた最良の環境下で、精度の高い鋼製の型枠(現場では木製の型枠が使われます)を繰り返し流用して量産できるために、現場で直接つくられるコンクリートよりも耐久性に優れていることは無論、天候によって作業が遅れることもなく、工期や予算に余裕のなかったであろう当時の工事では、大いに活躍したものと想像できますし、半世紀あまりが経過した今日でも、大規模な補修がされることなく当時の面影をそのまま残してくれている。 むしろ当初のテカテカした プレキャストコンクリート の質感が、長年の雨風に洗われて、心なし角が丸くなって何だか具合良くなってきたくらいです。 深い庇に覆われた外壁や建具もしっかり当時のままなので、管理者の立場を考えると非常に優秀な公共建築であるといえるでしょう。
それにもかかわらず、建物自体はケヤキ並木になかば隠されてしまい、そんなに目立たなくなっている。 これは50年の間に コンクリートの近代建築 が京都の風土に馴染んできたからではないか、と思うのです。 少しずつ少しずつ時間をかけて、ちょうど木の成長と同じようなゆっくりとしたリズムで…。(中略)
(中略)・・・そんな外階段をとことこ上がって腰下ろすコンクリートの段々を、すっかり覆ってしまうくらいの大きな一本の木(たぶんエノキ、あるいはムクノキでしょうか)の、青々と繁った葉っぱが思いがけず身近に感じられて、どっしりと図太い幹は紛れもなく 「おかあさんの木」 で、僕は近所のスーパーマーケットで買った菓子パンと魔法瓶のコーヒーだけの質素な昼食を、あの おかあさんの木 の下の、外階段の上のほうに座って食べることを何より好む、とても居心地よい場所になっているのです。

この木は、歩道のケヤキ並木のように建物にあわせて植えられたものではなくて、それ以前からこの場所に育っていた、50年前の時点でも立派な大木であったのだと思います。 その木を設計者の前川は伐らずに残した。 広場の中心から外れていて隣接する公園に近い場所であったこともあるかもしれませんが、ちょっと工事の邪魔になりかねない場所にあった一本の木を確かに彼は残した。
結局、前川が意図した 中庭 は残念ながら失敗に終わったのかもしれませんが(中庭の地下は機械室になっているので、どちらにしても中庭に木は育たないのです)、おおきな木の下のあの場所の居心地のよさを、少なくとも僕だけは知っているつもりなのですから…。 いえ、もう一人いました。 先日、ようようひとり歩きができるようになった幼い女の子が、お母さんの手を離れて一心に、よちよち覚束ない足取りで、それでも一歩一歩あの外階段を昇っていた、そんな場所がここにはあるのです。

全文とすべてのイラスト+写真はこちらからご覧ください

■京都会館-「アトリエかわしろ生活館」
アトリエかわしろ一級建築士事務所


1965-12-01 京都会館:前川國男-「京都会館五年の歩み」

2005-10-10 京都会館建築ガイド-「京都会館シンポジウム実行委員会
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by 2011-kyoto | 2012-12-25 13:31 | 2011/07
2011-02-10 京都会館を国内最大級のオペラ劇場に-「日経アーキテクチャ2011年2月号」
京都会館を国内最大級のオペラ劇場に
京都市がモダニズム建築の改修案を市民に問う

日経アーキテクチャ 2011年2月10日号
1960年にオープンした京都会館を、世界の著名なオペラやバレエが上演できる国内最大級の施設に改修する-----京都市は1月25日、その方針に対する市民からの意見を募り始めた。電子メールや郵送などで、2月24日まで求める。
市は、建物の耐震性を現行基準に適合させたり、エレベーターを増設したりする考えだ。そして、第1ホールは、世界的なオペラや大型セットを使う音楽コンサートにも対応できる施設として改修する方針を掲げた。そのために、舞台の上線空簡を上方に拡大する計画を立てている。
 現在、同会館は15mの高さ制限がある高度地区内に建つ。そこで、周辺の都市計画を見直してから改修計画を詰める。ほかにも、建物の舞台面積を広げるために、疏水に面する部分を増築する案を示している。改修は現状の外観を尊重して進める方針だ。(浅野祐一)
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■京都会館を国内最大級のオペラ劇場に-「日経アーキテクチュア2011年2月号」
「日経アーキテクチュア」
2010-12-24 京都に最大級のオペラ劇場-「日本経済新聞」
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by 2011-kyoto | 2012-12-24 09:38 | 2011/02
2012-12-22 旧大阪中央郵便局:重文指定を却下 請求訴訟で地裁-「毎日新聞」
旧大阪中央郵便局:重文指定を却下 請求訴訟で地裁
毎日新聞 2012年12月22日 大阪朝刊


 日本の初期モダニズム建築の代表作とされる「大阪中央郵便局旧局舎」(大阪市北区)の保存を求める建築家や研究者らが、旧局舎を文化財保護法に基づき重要文化財に指定するよう国に求めた訴訟で、大阪地裁は21日、訴えを却下した。山田明裁判長は「文化財保護法などには研究者の研究上の利益などを保護する趣旨はなく、研究者らに指定を求める資格がない」とした。

 訴えたのは建築家の高岡伸一さん(42)ら5人。「旧局舎は建築史上、都市景観上の価値が高く、取り壊されると学術的利益が侵害される」として今年6月に提訴した。しかし、判決は原告適格を否定、旧局舎の価値に言及せず、却下した。

 高岡さんは判決後、記者会見し、「厳しい判決で残念。専門家が文化財指定を求める道筋がない現在の法律に問題がある」と述べた。

 旧局舎は保存された一部を除いて解体された。跡地にはイベント広場「西梅田スクエア」が今月15日にオープンした。【渋江千春】

■旧大阪中央郵便局:重文指定を却下 請求訴訟で地裁-「毎日新聞」

「大阪中央郵便局を守る会」について
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by 2011-kyoto | 2012-12-22 00:00 | 2012/12
2012-12-03 リビング・ヘリテージとしての東京駅-田所辰之助-「10+1 web site」
リビング・ヘリテージとしての東京駅──建築保存における「インテグリティ」の指標をめぐって
田所辰之助 日本大学准教授
東京駅に集う無数の人々。丸の内駅舎のファサードや南北ドームに向けられた視線と頭上にかざされたカメラや携帯。夜になってもこの様子は変わらない。ライトアップで照らし出された新東京駅の姿に人々は嘆息しているかのようだ。日本の国家的、歴史的建造物にこれほどまでに人々が参集し、その完成を愛でている姿は見たことがない。こうした光景がかつてあったとしたら、いつ以来のことになるのだろうか。
基本設計から数えて9年、免震レトロフィットなどの高度な現代技術が投入され、また数々の分野の職人たちがその持てる技を競った。東京駅に眼差しを送る人々はたぶん、このことを知識としてでなく実見のなかから嗅ぎ取っているのではないだろうか。
古びた感じはむしろしない。光を反射させ輝く銅板葺きのドーム、外装のレンガは新しく初々しい。印象はあくまでも軽やかだ。建築のことをさほど知らない人々であっても、設計や工事に携わった人々の誠実なる仕事ぶりやその精度について、なんらかの想いを受け取りながら無意識のうちにもそれを見極めているのではないだろうか。
復原の精度

こうした「精度」の感覚はどのような設計、工事のプロセスを通じてもたらされたものなのか。たとえば外装をいろどるレンガタイルは、もともと均一なものではなく色むらがあった。それは、1914年の創建時、大量のレンガを複数の窯で焼かざるを得ず、原料の土や焼成温度がそれぞれの窯で異なってしまうからだった。現代ではもちろん、すべてのレンガを均質なものに仕上げることが可能だ。だが今回の工事では、少量ずつ条件を変えて焼成させ、あえて色むらをつくり出すための試行錯誤がなされた。また銅板葺きの屋根では、寺社建築の屋根工事に長く携わってきた熟練技術者を招聘し、板金加工の実物モデルを作成して職人たちが現場で複製する、という方法が取られたという。三次元曲面の立体的な加工に、施工図を介した従来の工法では限界があったらしい★1。
また、レンガの赤色と対照をなして白いサッシュが外観に優美さを醸し出す窓のデザインも、今回の工事で原設計に近いものに復原された。オリジナルは木製建具だったが、空襲で焼失し戦後はスチール製サッシュとなり割付も元とは異なるものだった。それを今回、アルミサッシュに換え当初の割付に復原した[写真1]。
いずれの部位においても、共通しているのは、原設計に対する敬意と誠実さのようなものだろう。また、それを実現するにはオリジナルの材料や遺された設計史料等のドキュメントに対する徹底した調査が不可欠だ。このような設計のあり方を示す指標に「インテグリティ(Integrity)」という言葉がある。正直さ、清廉、規範などの意味をもち、また一方で、完全、統合、ひとつにまとまっていること、などの含意がある。原設計に対し正直に復原され、そのプロセスが規範に則っていて、その結果オリジナルの価値がひとつの建造物のなかに一体的なものとして継承されている状態、を示しているのだろう。ユネスコの諮問機関であるイコモス(国際記念物遺跡会議)でも謳われ、建築の保存を考える際の価値指標として用いられるようになった。
リビング・ヘリテージとしての文化遺産

インテグリティという指標が必要とされた背景には、建築の保存を考えるとき、あくまでも建物を使い続けながらその歴史的価値を継承していきたい、という問いかけがあったはずだ。本来であれば、ひとつの時代のメルクマールとなるような重要な建築の場合、その建築史的価値を考えれば凍結して保存する、というのが理想だろう。だが、時間の流れとともに当初の機能は失われ、時代に即した新機能への変更が望まれることも多い。環境制御、耐震性、安全性など現代的な建物性能を満たすことも要求される。建設当初の材料がすでに入手できなくなっていて、その代替が必要になることもある。リビング・ヘリテージ(生きた遺産)として文化遺産を活用していくためには、当初の姿のままであることを前提とするオーセンティシティ(真正さ、本物の価値)だけを唱えていても対応できない事例が見られるようになってきたのである。ユネスコの世界遺産条約(1972年)では、意匠、材料、技法、場所の4つの項目について、そのオーセンティシティを遵守することが定められた。だが、現実はより多様で複雑さを増してきていて、柔軟な対応が求められている。
筆者も司会・主旨説明の立場で参加した、今夏の日本建築学会大会(名古屋大学)でのパネルディスカッション「モダニズム建築の評価−保存のコミュニケーションをめぐって」でも、このインテグリティについてさまざまに議論が交わされた。このとき話題になったのが、イコモス20世紀遺産国際専門委員会によるマドリッド・ドキュメント(2011年6月)である★2。これは、建物に対しなんらかの手を加え保存を図る場合の基本理念を明文化したもので、今後のリビング・ヘリテージのあり方を考えていく際の指針となる内容をもつ。このなかでは「適切な方法論に基づく保存計画」が謳われ、「変更度合いの許容範囲の設定と確立」も求められている。だが、実際にその範囲は、と考えると難しい。原設計に対し、どこまで手を加えていいのか。その範囲を一般化することなど、はたしてできるのか。
「インテグリティ」を保障するもの

このパネルディスカッションでは、東京駅の設計・監理に中心的な役割を担った田原幸夫氏(ジェイアール東日本設計事務所)もパネリストとして参加され、この問題について見解を示した★3。「ミニマム・インターベンション(minimum intervention/最小限の手の加え方)」の考え方や、デザインは変えずに建物性能をグレードアップさせること、新たに付加した部分は原設計と判別可能なデザインとすること、保存部分以外を使って建物性能を確保する、などの考え方が紹介された。東京駅も基本的には、こうした手法にしたがって設計されていることがわかる。復原壁と新設壁とは目地の扱いが異なり、その違いが判別できる。南北ドーム内部の柱より下の部分は、当初の設計を採り入れながらも新たなデザインが加えられている。そのため、柱頭や柱をつなぐ飾り梁には「2012年」の文字が刻印された[写真2]。
また、マドリッド・ドキュメントでは、保存活動のための責任者の明確化や専門家グループの役割が重要視されている。東京駅では、早い段階で学識経験者を含む保存・復原に関する専門委員会が立ち上げられ、このインテグリティの問題についても徹底的に論議されたという★4。こうした組織的なバックアップも、建築保存の設計・工事を支え、それを成功に導く重要なファクターである。戦災による焼失という経緯をもち、また国を代表する歴史的建造物だが、その保存・復原の設計手法とプロセスは、今後インテグリティの観点から他のケースにおいても先例として参照されていくことになるだろう。

(この続きはこちらからご覧ください)
★1──「名所誕生東京駅、集客増の立役者たち」(『日経アーキテクチュア』No.988、2012年11月25日号、46-49頁)。
★2──山名善之「ICOMOS二十世紀委員会からの報告──マドリッド・ドキュメントについて」(『モダニズム建築の評価──保存のコミュニケーションをめぐって』日本建築学会[編]、2012年9月、21-32頁[翻訳協力=大西伸一郎])。
★3──田原幸夫「歴史的価値と現代的性能を繋ぐもの──保存・再生デザインの現在」(同上、3-12頁)。
★4──岡田恒夫、鈴木博之、有山伸司、田原幸夫「使いながら保存する駅のあり方」(『新建築』Vol.87、No.17、2012年11月、60-63頁)。
たどころ・しんのすけ
1962年生。建築史・デザイン論。日本大学准教授。博士(工学)。共著=『近代工芸運動とデザイン史』『材料・生産の近代』『マトリクスで読む20世紀の空間デザイン』『ヘルマン・ムテジウスとドイツ工作連盟:ドイツ近代デザインの諸相』ほか。

■リビング・ヘリテージとしての東京駅─建築保存における「インテグリティ」の指標をめぐって田所辰之助-「10+1 web site」
201212 特集東京駅・新考
10+1 web site

田所辰之助
2011-06-16 マドリッド・ドキュメント2011(日本語訳):20世紀建築遺産の保存のための取組み手法-ISC20C
2012-09-12 日本建築学会大会[東海]開催のご案内-「日本建築学会」
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イコモス(ICOMOS)
日本イコモス国内委員会
DOCOMOMO Japan
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by 2011-kyoto | 2012-12-21 20:02 | 2012/12
2012-12-19 本日です!京都会館住民訴訟:第2回公判日のご案内
京都会館住民訴訟:第2回公判日のご案内

日時:12月19日(水)午後1時30分~午後3時
場所:京都地方裁判所203号室
〒604-0975 京都府京都市中京区菊屋町(地下鉄丸太町駅下車)
075-211-4111

今回は原告側証人として、
京都工芸繊維大学教授松隈洋氏が証言台に立ちます(約90分)

傍聴大歓迎。
定員50名です。傍聴券は出ませんので先着順となります。
原告/京都市民でなくても傍聴可、参加自由

※尚、第3回の1月31日の最終弁論をもって本裁判は結審する予定です。
なかなか裁判を傍聴したり参加する機会というのはあるようでないものです。
みなさま、ぜひこの機会に傍聴参加をしてみませんか?

■京都会館住民訴訟:第2回公判日のご案内

2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介1-松隈洋
2012-11-29 京都会館:建物解体工事差止請求事件被告側(京都市)第二回公判準備書面一式
2012-10-17 京都会館住民訴訟:第1回公判訴状と答弁書対応表を作成しました
2012-08-13 京都会館問題住民訴訟 提出訴状一式
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by 2011-kyoto | 2012-12-19 00:00 | 2012/12
2012-12-19 京都会館〜この景色を目に焼き付けて-「いつか・住もう・京都・2」
京都会館〜この景色を目に焼き付けて

岡崎のランドマーク、京都会館。
大学に入学したときからずっと岡崎の景色の一部でした。

前川國男の設計により、1960年に開館。
優れた建築として、日本の近代建築100選にも選ばれました。

思えば二条通りはずいぶん広い通り、、、というイメージが以前からあったのですが、よくみると通り自体は普通の道幅です。
なのになぜ広い印象があったのかといえば、あの絶妙の高さの京都会館の存在によるのだと思います。
(もちろん会館前の広い歩道もね)

それが突然の京都市による建て替え決定、今年春からはもう使用停止、、、とあれよあれよというまにあの建物の景観と調和した美しさは風前の灯火。
多くの建築家の反対、ユネスコの諮問機関ICOMOSの勧告はことごとく無視された形で。

それに関して、思うことは山ほど、、山ほどあれど、ここではあえて、それは封印します。

この問題に興味のある方は以下のURLをご参照下さい。
  
☆京都会館を大切にする会
☆京都会館再整備をじっくり考える会
☆I love Kyoto Kaikan

実はそれほど反対があるので、京都市はすぐに壊すことができないのでは?とかすかな期待をもっていたのです。
ところが、ところが、、、、

先日お向かいのみやこメッセからふと見ると、、、

うそっ!!
壊れてる!!

やっぱり、どうしても第1ホールは壊されちゃうのか。o(;△;)o

ならば、今のこの京都会館のある景色をしっかり目に焼き付けておこう。

(続きはこちらよりご覧ください)

■京都会館〜この景色を目に焼き付けて-「いつか・住もう・京都・2」
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by 2011-kyoto | 2012-12-19 00:00 | 2012/12