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2012-09-10 昭和の遺産・京都会館の解体スタート ユネスコ諮問機関が見直し要請も-「産経新聞」
昭和の遺産・京都会館の解体スタート ユネスコ諮問機関が見直し要請も-「産経新聞」
2012.9.10 10:51

昭和を代表する建築家、前川國男氏(1905~86年)の設計で、老朽化などから建て替えが決まった京都会館第1ホール(京都市左京区)の解体工事が10日、始まった。京都府内最大級のコンサートホールとして市民に親しまれてきた同ホールに愛着を感じている市民も多く、反対の声が挙がる中での着工となった。

 京都会館は昭和35年開館。コンサートやイベントを多数開催するなど、50年以上にわたって市民に親しまれてきた。しかし、建物の狭さや天井の低さなどが指摘され、耐震強度にも問題があったことから、同会館を所有する京都市は、全面改修を決定。

 第1ホールを建て替え、第2ホールを改修する。総工費は約110億円で平成27年度中の開館を目指す。

 市では、新景観条例で定められた建物の高さ制限を緩和するため、都市計画を策定するなどして準備を進め、同会館は今年度から休館している。

 10日は、本格的な解体に向けてホールを囲う鉄板の塀の足場を組む作業を始め、10月から建物の解体に着手する予定。

 一方、同会館が前川氏の代表作とされていることや、新ホールが街の景観を損なうなどとして、計画に反対する動きも相次ぎ、この日も抗議活動が行われた。

 今年5月には市民団体が改修計画の差し止めを求めて住民監査請求を行ったほか、8月には地元住民らが工事の差し止めを求めて京都地裁に提訴

 ユネスコの諮問機関、国際記念物遺跡会議イコモス(本部・パリ)「20世紀遺産に関する国際学術委員会」も計画見直しを求める意見書を同月、市に提出した。9月7日には、京都弁護士会が着工中止を求める会長声明を出した。

 これに対し、市の担当者は「反対の声があるのは承知しているが、計画に問題はないと考えており、粛々と工事を進める」としている。

(紙面掲載は9月11日)
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■昭和の遺産・京都会館の解体スタート ユネスコ諮問機関が見直し要請も-「産経新聞」

2012-09-10 京都会館の建て替え工事始まる 住民らは反対運動-「朝日新聞」
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2012-05-07 京都会館整備 総工費110億円 京都市、想定上回る-「京都新聞」
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by 2011-kyoto | 2012-09-10 00:00 | 2012/09
2012-09-07 「京都会館第一ホールの解体工事の着手中止を求める会長声明」2012年9月7日-「京都弁護士会」
「京都会館第一ホールの解体工事の着手中止を求める会長声明」(2012年9月7日)

当会は、2012年5月18日付「京都会館第一ホールの改修及び岡崎地域の景観保全に関する意見書」において、京都市長に対し、京都会館第一ホールの改修に関し、「基本設計を含め、京都会館第一ホールの改修については、拙速を慎み、徹底した市民参加と建築・景観・都市計画・法律等各分野の専門家の関与のもとで慎重に合意形成が図られるべきであって、少なくとも、当該合意形成が図られないままで解体工事に着手すべきでない。」との意見を表明した。

その理由として、概要、京都会館第一ホールは、東山一帯に囲まれた平面的な岡崎公園と、その水平的な性格を象徴するが如き疏水の流れ、それに既存の建物、公会堂、勧業館、美術館等の中層建物の高さなどを考慮して、建物全体を中層の建物の高さに収め水平に延びた屋根面から大ホールの屋根、小ホールの舞台フライの部分のみを突出せしめる水平線的な構成がとられており、これによって、永きに亘って岡崎地区の優れた景観を形成してきたことは疑う余地がなく、京都市が拙速に現在の建替案どおりの改修計画を断行することは、岡崎地区を文化財保護法に基づく重要文化的景観に選定することとも整合しないことを指摘した。

 しかし京都市は、当会の意見表明以降、徹底した市民参加と建築・景観・都市計画・法律等各分野の専門家の関与のもとで慎重に合意形成を図ることなく、当初建替案をほとんど変更しないまま、本年6月4日、「京都会館再整備工事基本設計」(以下「基本設計」という。)をとりまとめ、京都会館第一ホールを建て替えるとして、本年9月10日には、同ホールの解体工事に着手しようとしている。

 このような態度は、貴重な市民財産を不用意に毀損する行為であって、強い反省が求められる。
 さて、時折しも本年8月26日、京都会館の建物価値について、国連教育科学文化機関(UNESCO)の諮問機関「国際記念物遺跡会議」(ICOMOS)の20世紀遺産に関する国際学術委員会(ISC20C)が、現在の建物の文化的価値を認め、建て替えに懸念を表明する意見書を京都市に送付されたことが明らかになった。

 同意見書では、京都会館が、日本の近代建築の最も重要な作品のひとつであるとともに、その設計者前川國男が、1928~1930年のパリで国際的に名高いル・コルビュジェの下で働き、20世紀の最も重要な日本人建築家のひとりとして知られていること、京都会館は前川の最も重要な作品であり、敬意を払われ、遣されるべき文化遺産であると述べられている。そして、京都会館を解体する計画が、この非常に重要な遺産に対し、後戻り出来ない害を及ぼすとともに、提案されている新しい舞台のサイズとデザインは、前川の設計思想と建築物の細部によって生み出される美と調和とを破壊するものと断じている。

 その上で、同意見書は、ICOMOS ISC20Cが、遺産危機警告(Heritage Alert)を発することとし、京都市に、現存する京都会館を変える現在の計画を再考することを求めると結んでいる。

 京都会館は、「世界文化遺産」には登録されていないにもかかわらず、ICOMOS ISC20Cが、京都会館を世界文化遺産に匹敵する価値のあるものとして「遺産」危機警告を発しようとしていることに、我々は注目せざるを得ず、世界文化遺産に匹敵する建築物を解体することは、人類の文化に対する侵害行為と言わなければならないことから、その点でも、京都会館の拙速な解体は厳に慎まなければならない。

 まして、同委員会が日本の近代建築物に関して遺産危機警告を発するのは初めてのこと(世界でも3例目のこと)であること、本年11月にはUNESCOの主催する世界遺産条約採択40周年記念事業が京都市で開催されることから、この京都市長宛の警告は当会としても重大なものとして受け止めなければならないと考える。

 よって当会は、京都市に対し、京都会館第一ホールの解体工事の着手を中止すること、基本設計を含め、京都会館第一ホールの改修については拙速を慎み、徹底した市民参加と建築・景観・都市計画・法律等各分野の専門家の関与のもとで慎重に合意形成を図るべきことを強く求めるものである。


2012年(平成24年)9月7日

京 都 弁 護 士 会

会長 吉 川 哲 朗

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■「京都会館第一ホールの解体工事の着手中止を求める会長声明」(2012年9月7日)
京都弁護士会

2012-05-17 京都会館第一ホールの改修及び岡崎地域の景観保全に関する意見書-「京都弁護士会」
2012-03-27 京都会館第1ホールの建替えに関する意見書-「京都会館の建替え問題を考える弁護士一同」
2011-10-21 岡崎の用途地域変更反対意見書-「京都市弁護士会」

2012-08-26 京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」
2012-08-13 京都会館問題住民訴訟 提出訴状一式
2012-06-05 京都会館再整備工事に係る基本設計について-「京都市情報館」

イコモス(ICOMOS)
日本イコモス国内委員会
20世紀遺産のための国際学術委員会(ISC20C)
世界遺産条約40周年のための京都委員会-Kyoto Committee for the 40th anniversary of the World Heritage Convention
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by 2011-kyoto | 2012-09-07 00:00 | 2012/09
2012-09-07 イコモス委員長宛:イコモス意見書について、門川大作京都市長からの回答-「京都市」
イコモス委員長宛:イコモス意見書について、門川大作京都市長からの回答
ICOMOS 20世紀遺産に関する国際学術委員会
委員長 シェリダン・パーク 様

貴会の日頃の活動に敬意を表します。
貴会からいただいた御意見を受け、現在、京都市が進めている京都会館再整備についての考えを述べさせていただきます。

今回の京都会館再整備は、1960年に建設されて以降、これまで50年以上にわたって市民をはじめ多くの皆様に愛され、使われ続けてきた京都会館を、今後の50年間を超えて100年以上にわたり公共ホールとして安全に使い続けるために行うものです。もちろん、歴史と伝統、景観を大切にする京都市では、再整備に当たっても、いかに景観と調和し、既存建物の価値の継承を図るかが特に重要と考え、行動しております。

 今回の再整備は、京都会館を公共ホールとして機能再生を図るために、京都会館の建物価値を十分に認めたうえで、京都会館がその機能を発揮し、使われ続ける会館であるようにと、京都市として現時点で考え得る最適な計画であると考えています。といいますのも、建物が大事であると同時に、重要なのは、その建物が人々にどのように使われているかではないかと考えており、公共施設はその場に人々が集まり、建物と人々の姿が一体となった時に、そして安全が確保されて初めてその役割を果たしたと言えるのではないでしょうか。このまま再整備を行わなければ、京都会館を公共ホールとして使い続けることができず、結果的に京都会館を守ることができなくなります。

 京都会館の再整備に当たっては、「再整備によって、建物を改変するべきではない」という御意見がある一方で、「公共ホールとして、抜本的な機能充実を図るためには、京都会館をすべて建て替えるべきである」という御意見も数多くあります。それに対して京都市は、2002年以来、耐震調査をはじめ、利用者や市民代表者等による委員会における検討、市民アンケート調査の実施など、様々な取組を積み重ねてきました。また、基本計画の策定に当たってもパブリックコメントを行い、市民の皆さまの御意見を広くお聞きしたうえで、再整備に関する予算について京都市会の承認も得ております。

 基本設計においては、公共ホールとして必要な耐震補強やバリアフリー化に加え、舞台機能や音響面での機能充実を図りながら、評価の高い京都会館の建物の価値を継承することを実現します。そのため、抜本的な機能改善が求められる第一ホールは建物価値を継承したものに建て替えますが、第二ホールと会議棟や特に高い評価を受けているピロティから中庭に至る空間構成や外観デザインはしっかりと保存しつつ、全体として大きな地震にも耐えられるような建物とするため、全般的な補強を行うことにより、近代建築に関する「新しい保存の在り方」を実現するものです。

 そのため、基本設計は現在の京都会館を設計された前川國男氏と同じく日本建築学会作品賞を受賞されている現在の日本を代表する優れた建築家のお一人である香山壽夫氏に担当いただくとともに、特に、京都会館の建物価値に配慮するため、前川|國男氏が設立した前川建築設計事務所や日本建築学会の協力を得て、建築や舞台技術の専門家などにより構成された検討委員会を新たに設置して、京都会館の建物価値を継承した設計となるよう慎重に検討したうえで、基本設計の取りまとめを行いました。

 今回の再整備は、老朽化し、安全性も含めて機能の低下した京都会館を、公共ホールとして使い続けるための作業であり、これまでの歴史に新たな京都会館の歴史が積み重ねられ、新たな建物価値として評価される時代が来ることを確信しております。

 どうか、賢明なる貴殿の御理解をいただけることを願っております。

2012年9月7日
京都市長 門川大作

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■イコモス委員長宛:門川大作京都市長からの回答-「京都市」

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2011-04-27 京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言について-「京都市情報館」
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2012-09-04 京都会館再整備 ユネスコ機関が反対意見 市「予定通り着手」-「京都新聞」
京都会館再整備 ユネスコ機関が反対意見 市「予定通り着手」

京都市が進める左京区の京都会館の建て替え計画で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)の専門分科会が計画に反対する意見書を出したことについて、市は4日の市議会くらし環境委員会で「意見書が言うように建物価値を継承する再整備計画を進めている。予定通り着手する」との見解をあらためて示した。

 意見書は「20世紀遺産に関する国際学術委員会」が提出し、会館の保全に向け「遺産危機警告」を発令するとした。これに対し、市は「会館の管理者である市との議論もなく、一方的に出されたのは残念だ。計画や議論の経過を把握しているかは疑問」として、学術委員会あてに近く再整備の考え方を文書で提出する方針。

 この日の委員会で市議から「権威ある団体の警告は重く受け止めるべき」と、10日に始める会館の解体工事の中止を求める意見も出たが、市は「再整備は多くの市民が待ち望んでいる。意見書は何ら拘束力はなく、要望として受け取っている」と説明した。

 日本イコモス国内委員会(東京都)は「意見書に関与していないが、委員会としても計画への態度を明確にしたい」としている。
(紙面掲載は9月5日朝刊)
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■京都会館再整備 ユネスコ機関が反対意見 市「予定通り着手」-「京都新聞」

2012-08-26 京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」

2012-08-27 京都会館建て替え再考を イコモス、京都市に意見書-「京都新聞」

イコモス(ICOMOS)
日本イコモス国内委員会
20世紀遺産のための国際学術委員会(ISC20C)
2011-06-16 マドリッド・ドキュメント2011(日本語訳):20世紀建築遺産の保存のための取組み手法-ISC20C

2012-08-08 京都会館再整備基本設計に対する意見書-「DOCOMOMO Japan」

2012-08-28 京都会館建て替え懸念 ユネスコ諮問機関市に再考要望-「毎日新聞」
2012-08-28 京都会館改修に意見書 ユネスコ諮問機関、見直し求める-「産経新聞」
2012-08-28 京都会館建て替えに「遺産危機警告」 ユネスコ諮問機関イコモス-「Web民報」
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by 2011-kyoto | 2012-09-04 00:00 | 2012/09
2012-09-03 ついに解体目前になってしまった@京都会館-「Kazuya Morita Architecture Studio」
ついに解体目前になってしまった@京都会館

2012年 9月 3日

先日8月26日(土)、南禅寺近くの京都国際交流会館で、シンポジウム「京都会館のより良き明日を考える―解体工事を目前に問題点を総括する」が開かれました。僕も帰国後の荷物で事務所がごった返す中、聴講に出かけてきました。

この計画は最初に新聞に記事が掲載された時から、ずっと大きな問題を感じていた計画で、京都新聞に記事を執筆する機会も頂き、昨年九月からのスペイン滞在中もその後の推移をずっと注目してきました。その後、色々な反対運動が繰り広げられたにもかかわらず、今年九月の解体を目前に迎えることになってしまいました。

こうした京都市の景観/建築/音楽など広い分野にまたがる重要な問題、そして様々な関係者の利害が絡む複雑な問題は、京都市の未来を決める問題でもあるので、じっくりといろんな立場の人の意見を調整しながら、あせらず着実に進めて行くべきでしょう。でも、悲しいことに、私たちが選んだ京都市の市長、議会の人たちは、反対意見に耳を貸すことなく、計画をどんどん進めてしまいました。

また、市や議会がまともに取り組まないのであれば、新聞やテレビなど一般の人が広く目にするメディアが、公正な立場から情報を整理して問題を伝えるべきだと思うのですが、残念なことに彼らは市の発表をそのまま伝えるか、断片的な反対運動を取り上げるのみで、本来果たすべき役割を放棄しているので、問題の全体像はほとんどの人には見えないままです。

京都会館の建築作品としての価値もとても大切ではありますが、まず悲しく思うのは、市民が使う公共の空間が、民主的な手続きを経ることもなく、ごく限られた人間の都合によって、巨大な費用を伴う計画によって大きく変えられてしまう、ということ、そしてそれを止められない、ということです。

個人設計事務所のブログで詳細に取り上げるような問題ではないのは百も承知なのですが、数十年後には京都の文化行政の汚点の一つとして刻まれるのが確実なこの事件について、京都に住む一建築家として居ても立ってもいられず、後世に残すべくここでその経緯を整理してみます。

*京都会館問題について年表形式の経緯説明が掲載されています(リンクからご覧ください)

この経緯を見て頂くと、すでに京都市は計画の一部が突如として新聞発表された2010年12月24日の時点で、かなり具体的な計画を持っていたにもかかわらず、計画を堂々と発表して市民の合意を得ることもせず、建築の専門家による検討も排除して計画を検討し、後戻りのできない段階で形式的な手続きだけ踏んだ格好にすることで、密室で決まった計画を強引に進めてきたことが分かると思います。

そこまでして京都市が強引に京都会館の計画を進めるのは何故か?

まずはこの問題の背後に、2002年に制定された「都市再生特別措置法」があることを知っておく必要があります。「都市再生特別措置法」は民間資本の導入による大都市の拠点的な再開発事業を促進するもので、その結果、都市開発に関して大幅な規制緩和が可能になりましたが、単純に言うなら、それはつまり開発する側にとっては開発の自由度が格段にアップしたということで、その反面、開発される土地の側とすれば今までの生活を守っていた規制が崩壊したという非常に危険な法律でもあるわけです。

この法律による規制緩和により、日本各地で再開発事業が加速して、相次いで日本の貴重な近代建築が解体されてきました。京都市も2011年7月に同様の再開発事業として「岡崎地域活性化ビジョン」を策定し、この地域を活性化する計画を進めています。要するに、いままで京都の文化地域として守られてきた岡崎地区は、今後は民間資本による利益優先のビジネス地区へと変貌するということであり、具体的には建物が高層化し、商業施設が誘致され、河原町通のような地域に近づいてしまうわけです。

ロームの資金を導入しての京都会館の再整備もそのプロジェクトの一端を担っています。京都市は整備後の京都会館の運営方針の詳細を何も発表していませんが、100億円という予算を投入する以上、今までのように安価で気楽に市民が使えるようなホールでなくなることは確かです。また、京都会館は「全解体」は免れていますが、ユネスコの諮問機関から「遺産危機警告」が通達されるほど、原形を損なうような計画が進められています。

シンポジウムでは、音楽評論家の日下部吉彦氏が、日本各地の音楽ホールに共通する問題として、「利用者無視」を挙げ、「どんな規模の、どんな目的のためのホールが必要か」という議論もなく、「隣の町よりも大きなホールを」という視点で不要なホールが計画・建設されてきた、と指摘。そのほとんどのホールは現在では充分に生かされることなく、「カラオケ大会に使われている」と痛烈に批判されていました。京都会館も大金を費やして改修するにもかかわらず、海外の一流オペラを招くには不十分な程度のものにしかならないのです。

また、8月13日に提訴された解体差し止めの住民訴訟を担当されている弁護士の玉村匡氏は、京都市が計画に都合が良いように法律を変えてしまっている現計画を提訴する難しさについて、「相手にルールを決められて戦うスポーツのよう」だと表現されていました。
私事で恐縮ですが、私はつい2週間前まで文化庁の海外芸術家研修制度でスペイン・バルセロナに滞在していました。バルセロナに限らずヨーロッパでは、音楽を聴いたりスポーツをしたり本を読んだり絵を鑑賞したり、文化的な生活を送ることが国民の基本的な権利としてとても大切にされています。古い建物も、有名なガウディの建物だけでなく、できる限り古い部分を残して再生するように大切に扱われています。

それと比べると、今回の京都会館をめぐる問題は、市民の基本的な人権を踏みにじり、文化的遺産を台無しにする、本当に文化的程度の低い、目先のお金目当ての計画です。それが、「京都文化芸術都市創生条例」を制定し、「世界文化自由都市」を宣言している京都市で起こっているのです。いちおう民主主義の社会であるこの日本で、どうしてこのような計画を止めることができないのか。

おそらくこの計画を推進している人のほとんどは、この計画が京都の未来のためになると真剣に思って、取り組んでいるのだと思います。ただ、本当にこの計画が正しいのか?と立ち止まって考えたり、他人の意見を聴こうという民主主義にとって基本的な姿勢が、今の京都市の政治には決定的に欠けているのだと思います。今年二月の京都市市長選で、我々は別の政治を選ぶことも可能だったはずなのに、何も変えようとしなかった。つまりこれは、こんな程度の政治しか持つことのできない、我々自身の問題でもあるのです。

最後に、8/26のシンポジウムの会場では、ある中学校吹奏楽部コーチからの手紙が紹介されました。京都会館の空間のかけがえのなさについて、音楽を愛する人の立場からかかれた名文です。ぜひ読んでみてください。

■ついに解体目前になってしまった@京都会館-「Kazuya Morita Architecture Studio」
森田一弥建築設計事務所
森田一弥-information
2011-07-29 京都会館改修、広く議論を 建築家 森田一弥 -「京都新聞」
2011-08-01 建築家森田一弥氏の京都会館問題新聞記事(京都新聞)とその反応のまとめ-「Togetter」

2012-08-26 御礼:第4回緊急シンポジウム お越しいただき誠にありがとうございました
2012-08-26 第4回緊急シンポジウム 「京都会館のより良き明日を考える」開催のご案内
2010-12-24 京都に最大級のオペラ劇場-「日本経済新聞」
2011-05-02 「岡崎地域活性化ビジョン」ができました!-「京都市情報館」
2012-08-26 京都市長宛:「イコモス意見書」京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」
2011-05-04 ニュースUP:京都会館「オペラ上演」改修計画=京都支局・野宮珠里-「毎日新聞」
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by 2011-kyoto | 2012-09-03 00:00 | 2012/09
2012-08-29 京都会館再整備工事の落札者決定について-「京都市入札情報館」
京都会館再整備工事の落札者決定について

京都会館再整備工事の入札執行結果です

落札者名
大林・藤井・岡野・きんでん・東洋熱工業特定建設工事共同企業体 代表者 株式会社大林組 京都支店

技術評価点
122.0

入札額
9,150,000,000円

評価値
0.00000001333333

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■京都会館再整備工事の落札者決定について-「京都市入札情報館」
2012-08-30 91.5億で大林JV/京都会館再整備設計施工/京都市-「建設通信新聞」
2012-07-10 京都会館再整備工事 電子入札対象案件詳細情報<工事>-「京都市入札情報館」
2012-06-22京都会館再整備工事 入札公告について-「京都市情報館」
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by 2011-kyoto | 2012-08-29 00:00 | 2012/08
2012-08-26 京都市長宛:「イコモス意見書」京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」
【追加・変更ログ】
1.2012/08/26 第4回緊急シンポジウム 「京都会館のより良き明日を考える」配布参考資料に加えて2012/08/27にプレス発表資料も追加いたしました。プレス発表にて「京都会館再整備基本設計に対する意見書」と名称が決定、タイトルも「京都市門川市長宛:ICOMOS ISC20Cによる遺産危機警告発令の通達(京都会館)」より変更。(2012/08/28付記)
2.08/26シンポジウム資料配布版を削除、9月7日日本語訳改定版と差し替え、DOCOMOMO Japan 鈴木氏案内文を上に移動、イコモス紹介欄の「遺産危機警告」が通達されました。」→「意見書が作成されました」に変更。(2012/09/08付記)
3.09/12、ようやく京都市のHPに記載されました。(リンク)差分の、イコモス意見書(日本語訳京都市作成分)を追加。(2012/09/13付記)

京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」

ユネスコの世界遺産条約の諮問機関であるイコモスより京都市門川市長宛に京都会館の建て替え計画について意見書が作成されました。
イコモス(国際記念物遺跡会議、International Council on Monuments and Sites;ICOMOS)は、1964年の記念物と遺産の保存に関する国際憲章(ヴェニス憲章)を受けて1965年に設立された国際的な非政府組織(NGO)で、加盟各国の文化遺産保存分野の第一線の専門家や専門団体によって構成されています。ユネスコをはじめとする国際機関と密接な関係を保ちながら、文化遺産保護・保存の理論、方法論、科学技術の研究・応用、およびユネスコの世界遺産条約に関しては、諮問機関として、登録の審査、モニタリングの活動等を行っています。(日本イコモス国内委員会HPより抜粋)

各位

拝啓、時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
日頃よりDOCOMOMO Japanの活動に格別のご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度、本会からの要請を受けて、ユネスコの諮問機関であり、世界遺産の登録の審査やモニタリング(監視)活動を続けている国際記念物遺跡会議イコモス(ICOMOS,本部パリ)の「20世紀遺産に関する国際学術委員会」において、厳格で独立した審議による評価が行われた結果、シェリダン・バーグ委員長名で、門川大作京都市長に、別紙のような「京都会館再整備基本設計に対する意見書」が提出されました。すでに京都市長へは郵送で届いています。
「京都会館」の歴史的・建築的価値を尊重するこの意見書の趣旨をご理解いただき、ぜひご支援下さいますようお願い申し上げます。
敬具

2012年8月27日
DOCOMOMO Japan代表
鈴木博之
(東京大学名誉教授・青山学院大学教授・明治村館長)

*2012/08/27追加資料1

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*2012/09/08差し替え2


(2012年9月7日 改定訳版日本語訳)

京都市長 門川大作様

謹啓

前川國男が設計した京都会館に対して予定されている改修に関する、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の20世紀遺産に関する国際学術委員会(ISC20C)の懸念をお伝えしたく、これを書いています。1960年に京都の岡崎公園内に多目的の文化施設として建設された京都会館は、日本の近代建築の最も重要な作品のひとつと認識されています。前川は1928~1930年のパリで国際的に名高いル・コルビジエの下で働き、日本に戻って近代建築に卓越した新しい思想をもたらし、50年間実践し続けました。

前川は20世紀の最も重要な日本人建築家のひとりとして知られており、京都会館は彼の最も重要な作品です。このプロジェクトで彼は、近代建築運動の思想が具現化された新しい文化施設を、京都という町が今も昔もそうであるように、伝統的な歴史上のコンテキストに適合させながら作ることに成功しました。素晴らしい建築作品であり、敬意を払われ、遺されるべき文化遺産です。

ICOMOS ISC20Cは、京都会館に対する今回の改修計画を精査し、次のように懸念しています。この計画は、この非常に重要な遺産に対し、後戻り出来ない害を及ぼします。提案されている新しい舞台のサイズとデザインは、前川の設計思想と細部によって形成されている美と調和を破壊します。

(我々ICOMOS ISC20Cの)国際活動の要請により、私は今年2月に個人的に京都会館の視察を行い、その後、ICOMOS ISC20Cの国際的な専門的・公的ネットワークを使って、再開発計画とそれによって起こりえる文化遺産へのインパクトを精査しました。この状況に対し、現地調査と相対的な遺産価値の評価において外部専門家を起用することによって、厳格で独立した評価を行いました。我々の懸念は承認され、ICOMOS ISC20Cによって発令される遺産危機警告(Heritage Alert)を作成することになりました。

この遺産危機警告は、京都会館保全の脅威に関する国際的な注意を喚起し、望ましい保全方法のさらなる検討を促します。遺産危機警告はISC20Cのウェブサイトに登録され、ICOMOSのネットワークを通じて配布されます。さらなる情報が提出されたときは更新されます。

我々は最大級の敬意を持って、京都市に、現存する京都会館を変える現在の計画を再考し、劇場のプログラム的なニーズを満たしながらオリジナルの建築物の遺産価値を残せるような、よりよいデザインを見出すべく努力することを要求します。

敬白

シェリダン・バーク ICOMOS ISC20C 委員長

(参考日本語訳:西本裕美)

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2012年8月13日

京都市長 門川大作様

拝啓

この手紙は,前川國男氏が設計した京都会館について提言されている改修と増設に対して,ICOMOSのISC20C(20世紀遺産に関する国際学術委員会)の懸念を表明するものです。

1960年に京都の岡崎公園に複合文化施設として建設された京都会館は,日本で最も重要な近代建築作品の一つと認識されております。前川氏は,世界的に有名なパリのル・コルビュジェの下で1928年から1930年まで研鑽を積み,近代建築の重要かつ新たなアイデアを日本へ持ち帰り,それを50年間実践しました。前川氏は20世紀の最も著名な日本の建築家として広く知られており,京都会館は彼の最も重要な作品の一つです。この事業において彼は,京都が昔から保ち続けている伝統と歴史のある周辺環境に適合させつつ,近代建築のアイデアも盛り込んだ新たな文化施設を作りあげることに成功しました。京都会館はすばらしい建築作品であり,そして大切に保存されるべき文化遺産でもあります。

ICOMOSのISC20Cでは,京都会館に新たに修復,改修,増設を行う計画に関する提言の内容を調査してきました。その結果,今回の計画は,この極めて重要な建築遺産に取り返しのつかない害を及ぼすのではないかと懸念しております。計画されている新たな劇場の大きさや形状は,元の前川氏設計のコンセプトと細部の工夫によって形づくられていた美しさや調和を損なうでしょう。

国際的な行動を求める声に従い,私は2月に個人的に京都会館を見学しました。それ以降,ICOMOSのISC20Cの国際的な専門家と公的ネットワークを活用し,提言されている再開発計画とそれにより建築遺産が受ける影響を調査してきました。外部の専門家を活用することにより,市が行った調査や他の遺産と比較した遺産の価値について,厳正で中立的な立場から評価を行いました。その結果,我々の懸念は確定し,ICOMOSのISC20CからHeritage Alert (遺産警告)を発動することになるだろうとの結論に達しました。

Heritage Alert (遺産警告)は,京都会館の欠くところのない建築美への脅威に対する国際的な注目を集めるとともに,建築遺産を保護するより優れた方策の検討を促すために行うものです。Heritage Alert (遺産警告)は,ISC20Cのウェブサイトに掲載され,ICOMOSのネットワークを通じて配信される予定です。その後も追加情報があれば,更新されることになります。

京都市が京都会館の現状変更を行う今の計画を再考され,劇場で新たなプログラムを行うためのニーズに適応しつつも,元の建物の建築遺産としての価値を保持することができる,より良い設計案を模索されるよう,謹んでお願いいたします。

敬具

ICOMOSのISC20C(20世紀遺産に関する国際学術委員会)委員長 シェリダン・バーク

*2012/09/13追加資料 (日本語訳-京都市作成)

ISC20CメンバーのRiittaさんから京都市長宛のメッセージ
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ヘルシンキ, 2012年8月12日

京都市長へ

京都会館の保存に関して

長年の京都への訪問者として、そして歴史的建造物保存のスペシャリストとして、今回の再開発と敷地内部の建築物を破壊するという京都市の計画への私の強い懸念を表明したいと思います。京都会館は、日本のモダニズム建築の第一人者であり東京文化会館の設計者である前川國男の重要な作品です。

京都の近代遺産における京都会館の重要性は非常に大きなものです。この建築物は、この建物を特徴的な存在にしているその内部空間(訳注:中庭とそれを構成している建築物群を指す)において優れた良い状態を保っています。それゆえに、建築物の外側(訳注:二条通りに面したファザード面を指す)のみを保って内部空間の建物を新しくするという今回の計画は、この建築物の価値に反しており、この建築物の重要性を完全に破壊することになります。京都に残された近代の遺産はそう多くなく、ゆえにこの建築物を守ることは一層重要なことであります。

それゆえ、私は、歴史的都市遺産を守るために多大な努力をしてきたことで知られる京都市の文化的良心に対して、心より訴えます。どうぞ今回の計画をストップして、京都会館を完全な状態で守ってください。


リィッタ・サラステ、建築家(博士)
ヘルシンキ市 都市計画局
ヘルシンキ、フィンランド
ICOMOS(国際記念物遺跡会議)20世紀遺産に関する国際学術委員会メンバー

(参考日本語訳 西本裕美)


*2012/08/27追加資料2

■京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」

日本イコモス第14小委員会-リビング・ヘリテージとしての20世紀建築の保存・継承に関する課題検討
京都会館再整備計画に関する検討


2012-09-12 「イコモス意見書」及び日本イコモス国内委員会の見解に対する本市の対応-「京都市情報館」
2012-09-10 京都市長宛:京都会館再整備計画への見解と委員会設置のお知らせ-「日本イコモス国内委員会」
2012-09-07 イコモス委員長宛:イコモス意見書について、門川大作京都市長からの回答-「京都市」

イコモス(ICOMOS)
日本イコモス国内委員会
20世紀遺産のための国際学術委員会(ISC20C)
2011-06-16 マドリッド・ドキュメント2011(日本語訳):20世紀建築遺産の保存のための取組み手法-ISC20C
DOCOMOMO Japan
2012-08-08 京都会館再整備基本設計に対する意見書-「DOCOMOMO Japan」

ICOMOS関連記事
■京都会館改修に意見書 ユネスコ諮問機関、見直し求める-「産経新聞」
2012-08-28 京都会館建て替え懸念 ユネスコ諮問機関市に再考要望-「毎日新聞」
2012-08-27 京都会館建て替え再考を イコモス、京都市に意見書-「京都新聞」
2012-08-28 京都会館建て替えに「遺産危機警告」 ユネスコ諮問機関イコモス-「Web民報」
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by 2011-kyoto | 2012-08-27 00:02 | 2012/08
2012-08-23 中学校吹奏楽部コーチからの手紙-京都会館のかけがえのなさについて
中学校吹奏楽部コーチからの手紙-京都会館のかけがえのなさについて

この手紙は友人Tさんに送られてきた、某中学校吹奏楽部コーチからの京都会館についての手紙です。
ご了解を得て、ここに掲載させていただくこととなりました。どうもありがとうございます。
Tさんへ

京都会館の素晴らしさを今まで気づかず、今年の吹奏楽コンクールのなかで初めて「なるほど!」と実感したことがありました。

今年の吹奏楽コンクールは、京都会館閉鎖のため、会場を北山の京都コンサートホールに移して行われました。

聴き手としてコンサートホールを利用することは今までもよくありましたが、使う側として初めてコンサートホールを利用してみると、このホールが如何に市民や児童・生徒・学生たちの多様な活動を想定していないホールであるかがよく分かりました。

困ったことが2つありました。
一つは、広場がないことです。

演奏が終わった生徒たちが、学校ごとにかたまりながら演奏の余韻をかみしめ、仲間と感想を言い合ったり、見に来てくれた友達や先輩や家族達とねぎらい合ったり、他校の生徒たちと一つの空間の中でかけがえのない時間を共有し合いました。
また、結果発表は京都会館の場合は、中庭に全員が集まり、賞の発表に歓声を上げながら一喜一憂し、最後はその場で輪になってミーティングをしてお互いの健闘を讃えあったものでした。
今年は、その両方が出来なかったのです。ホール側から禁止されました。
つまりコンサートホールにはそのような教育的な空間(人の心が通い合い高まる空間)がないのです。
また、エントランスが大変狭く、演奏が終わった学校とこれから演奏をする生徒が交錯します。スタッフの高校生たちが「先生、こんなん整理するの無理やで!どう思う?」とぼやいていました。

もう一つは、本番の演奏前に全員が楽器を持って集まれる場所がなかったことです。
京都会館では今まで当たり前のように考えてきたことですが、よくよく考えてみると、それが出来たのは、京都会館の構造が人々の活動について非常に計算された特別な構造だったからです。
京都会館では、会議棟の廊下が楽器置き場。
各会議室が音出しの場所。
第2ホールが全員そろっての音合わせの場所。
そのあと第1ホールに移動して本番。
そして中庭に集まってみんなで写真撮影をし生徒同士や応援に来た仲間たちが交流。
京都会館のそれぞれ別々の機能が、まるで回廊で結ばれるように、とても自然に有機的につながって、生徒たちのダイナミックな動きや感動や緊張を可能にしてくれていたのです。その動線は、まったく見事に合理的なのです。
つまり京都会館の「コの字型」の構造によって、すべての部分が一つの無駄もなくリンクし合い集まった人々に非常に大きな活動空間を提供してくれていたのでした。
(京都コンサートホールを否定するつもりは全くありませんが、)生徒たちの活動の場としてのホールという視点に立てば、コンサートホールは遠く京都会館の足元にも及ばないと言う事です。

京都会館のこうした機能は偶然の物ではなく、初めからそのような考えの下に設計されていた。つまり京都の人々の心の広場を作ろうという思いが形となったもの。そこが、京都コンサートホールとの決定的な違いなのではないでしょうか?決してデザインのためのデザインではない。活動を支える空間デザインになっているのです。

たしかにアコースティックな音響面では、京都コンサートホールは、京都会館をしのいでいます。しかし、ただそれだけなのです。(とはいえ、その音響ですら、純粋な音楽ホールとして考えれば、京都コンサートホールは大阪のシンフォニーホールに全く及ばないですね。)
京都会館の音響面の欠点は、以前からよく指摘されている問題ですが、私は本当は何とかなる単純に技術的な問題だったと思います。ただ、歴代の市長が、京都会館のために真剣に手を入れようとしなかっただけではないかと思います。彼らはおよそ文化とは縁遠い方々でした。今頃改修などと言っていることも、あくまで利権の問題であって、音楽の問題ではないですね。

京都コンサートホールが、人々の活動空間としてのホールの役割を全く意識されていないのは、設計の初めから要求されていなかった。そのため、建築物のデザインは、デザインのためのデザインでしかなく、機能的には無意味で無駄な空間や無機質で冷たい空間がやたらと多いホールですね。実際、生徒たちが話し合ったり、声を上げたりできない文化空間とは何なのでしょうね!

それに対して、京都会館の会議棟、第2ホール、第1ホール、広くて開放的な中庭。
そしてあの柱のスタイル。そしてそれらが回廊のような通路で互いにつながり合い、より大きな空間を形成している。

生徒達をはじめ、京都会館で人々が生き生きと活動し、そして自由に行き交う。
音楽を聴く。演奏する。劇を演じる。講演会を聞く。会議をする。意見をたたかわせる。歌を練習する。あるいは、三々五々中庭に集いながら、憩い安らぐひと時。
生徒たちが大きな声で語り笑い歌い・・・・、自由な広場としての機能が躍動している。
そうした人々の活動のイメージが建築物全体のつながりからはっきりと伝わってきます。
このような市民の生活と文化が多様に出会い融合することを可能にしているのが、開放的な「コの字型」の構造によって作られた空間だということでしょうね。
京都会館は、市民の「精神的な広場」として、設計段階から位置づけられて作られたまれにみる建築物だと今回の吹奏楽コンクールの中で実感しました。

そうした点では、本来、京都会館の改修は、そうした設計思想をどう大切にしていくのかという歴史的な問題のはずであり、
市民の自由な文化と生活の交流の場をどう守るのかという民主主義の問題ですね。
京都の市民文化を支え続けてきた京都会館を、まるで闇から闇に葬り去るかのような現在の京都市のやり方は、京都の街の将来を見る思いです。

萩原

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2012-10-12 Kyoto Kaikan-A letter from a junior high school brass band coach.
2012-10-20 Kyoto Kaikan-Lettre du colle`ge le coach fanfare
2011-11-03 休日の京都会館中庭にて
2011-04-11 稼動率比較:京都会館と京都コンサートホール-「京都市情報館」
京都コンサートホールHP
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by 2011-kyoto | 2012-08-23 00:00 | 2012/08
2012-08-13 京都会館問題住民訴訟 提出訴状一式
京都会館問題住民訴訟 提出訴状一式
1.京都会館問題_訴状(提出版).pdf
2.京都会館問題 甲1
3.京都会館問題 甲2
4.京都会館問題 甲3
5.京都会館問題 甲4
6.京都会館問題 甲5
7.京都会館問題 甲6
8.京都会館問題 甲7-1
9.京都会館問題 甲7-2
10.京都会館問題 甲7-3
11.京都会館問題 甲8
12.京都会館問題 甲9
13.京都会館問題 甲10
14.京都会館問題 甲11-1
15.京都会館問題 甲11-2
16.京都会館問題 甲11-3
17.京都会館問題 甲12
18.京都会館問題 甲13
19.京都会館問題 甲14
20.京都会館問題 甲15
21.京都会館問題 甲16
22.京都会館問題 甲17
23.京都会館問題 甲18

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■京都会館問題住民訴訟 提出訴状一式

2012-08-13 京都会館解体工事差止を請求する住民訴訟を提訴、記者会見が行われました
京都会館問題住民訴訟関連記事

2012-10-10 京都会館:建物解体工事差止請求事件被告側答弁書-「京都市」

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by 2011-kyoto | 2012-08-13 00:00 | 2012/08
2012-07-13 京都会館第一ホールの建替えに係る住民監査請求 監査結果-「京都市情報館」
京都会館第一ホールの建替えに係る住民監査請求 監査結果

請求日    平成24年5月17日
結果通知日 平成24年7月13日
結果      棄却

監査結果
pdf監査公表第671号(平成24年7月13日)(ファイル名:671.pdf サイズ:353.04 キロバイト)
pdf監査公表第671号の構成は下記のとおりです

1.京都市職員措置請求書 請求文
2.請求人に対する監査結果通知文(以下が該当項目詳細)
 第1:請求の要旨/第2:監査の実施-1請求人の陳述/2新たな証拠の提出 
 第2:監査の実施-3関係職員の陳述及び関係書類の提出 その1 その2
 第3:監査の結果-1事実関係-(1)京都会館の再整備に向けた取組について
 第3:監査の結果-1事実関係-(2)本件基本計画及びこれを基にした基本設計について
 第3:監査の結果-1事実関係-(3)京都会館再整備に係る法的規制について
 第3:監査の結果-1事実関係-(4)(5)京都会館の再整備に係る予算/再整備工事契約の発注状況
 第3:監査の結果-2判断及び結論-(1)始めに
 第3:監査の結果-2判断及び結論-(2)第一ホールの建替えに係る市長の判断について
 第3:監査の結果-2判断及び結論-(3)(4)(5)建築工事計画の関係法令や財務会計への適合性/結論
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■京都会館第一ホールの建替えに係る住民監査請求-「京都市情報館」

京都会館問題監査請求に関する記事

2012-06-18 京都会館問題監査請求人の陳述聴取会が開催されました

2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 市の陳述回答を受けての意見表明
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 京都市回答陳述2-尾崎学
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 京都市回答陳述1-奥美里
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介10-市民Aさん
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介9-村瀬隆也
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介8-吉田 和義
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介7-小畑健二
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介6-中島晃
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介5-畑地雅之
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介4-西本裕美
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介3-河本順子
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介2-吉村篤一
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介1-松隈洋
2012-06-22 平成24年6月18日住民監査請求陳述に行ってきました-「岡崎公園と疎水を考える会」
2012-06-25 岡崎公園と疎水を考える会ニュースNo.12-住民監査請求意見陳述会特集


2012-06-05 監査委員制度-「京都市情報館」

2012-03-26 住民監査請求監査-「京都市情報館」
2012-06-08 京都会館問題監査請求の陳述案内状が届きました
2012-05-17 京都市に京都市職員措置請求(監査請求)、要望書、署名等を提出してきました
住民監査請求にご協力ください
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by 2011-kyoto | 2012-07-13 00:00 | 2012/07