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2011-01-30 京都会館 他人事でない-「alea jacta est」
京都会館(2005年撮影)
ほんとはさらに手前からピロティ越しに撮るのが正解。

建築に携わる者ならおそらく言わずと知れた、建築関係なくても京都に住んでりゃ存在ぐらいは知っている京都会館。
上野にある、同じ建築家による設計のほぼ同じプログラムの東京文化会館と年子の兄弟であります。
1960年に竣工して50歳超えのオッサンになり、時代遅れ、使えないと揶揄されつつも、その佇まいを愛されて、また建築的重要性を尊重され、リストラ前の窓際族から一転、次代の主人公として復活プランが企画されました。

平たく言えば、改修構想が公表されました。先週。
市と某国内最大手設計組織事務所が基本構想をたてており、「改修」レベルなので実施案もそこがやるんじゃないかと思われ。

モダニズム・ラヴな研究室にいたから、ではなく、個人として京都会館は好きな建築であり、独特の屋根形状や大庇、それらとヒューマンスケールを調停しながら水平線を強調する、でも手すりとしてはゴツい欄干など、その存在感は大胆にして巧妙で、お向かいさんと比べてしまうと申し訳ないぐらい建築らしい建築である。


んで、公表された改修構想。
リーフレット(PDF)の5ページ目に絵が載っている。(下のは報道資料より)

外壁の色が明るいレンガ色になっているのはおそらく「絵」のためだと信じよう。
濃色の打ち込みタイルの外壁はこの建物におけるトピックのひとつだ。

むしろ、北側の屋根に乗っかってるモンは何なんですか、と。
おそらくこの建築をかたちづくる最も重要な部分が、オカシナことになっている。
第1ホールの屋根に関しては、答は2つしかない。そのまま残すか、まったく別の意匠で新たな意味をもたせるか、だ。

機能的に先の50年も使えるようにするはよし。
地域活性・賑わいの創出もよし。

でもこんな改修ならばやめてしまえばいい。残すための意味を見失っている。
先にも述べたように、単なる「建物」としての機能だけを求めるのであれば建て替えた方が効率的・合理的なのである。
残す・延命させる意義とは何か、よく考えなければならぬ。


■京都会館 他人事でない-「alea jacta est」
by 2011-kyoto | 2011-01-30 00:00 | 2011/01
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