2008-11-01 「京都会館」/管理人さんとの話-「建築について」
「京都会館」/管理人さんとの話

最終日の午前中、中庭でフリマの準備をしている人をみながら、建物全体のプランを描いているときに、その管理人さんから話かけられた。「お兄ちゃん、何してるの?」おそらくあまりにも普通の人がしないことをしている人、そして多くの建築学生や建築関係者がおそらくやっているであろうことをしている自分が、とても怪しく見えたのだろう。声をかけられた僕も「ええちょっと、建物を見てるんですよ」と言って、ノートにメモをとる手を止めた。ノートの中を覗きこみながら「お兄ちゃん、どこの大学?」と管理人。「いえいえ、もうずいぶん社会人やってますからw」というような会話をしているうちに、建物周囲をぐるぐると一緒にまわることになった。

オリジナルで残っている部分と手直しをされた部分。普段のピロティや中庭の雰囲気について。屋根の防水を手直しをしたこと。事務室の天井がとても低い話。最近のホールと比較すると照度が低くて、一般の人には「暗い」と不満を言われるけれど、もともと音楽ホール以前の「芝居小屋」なんかは薄暗くて、その薄暗い中に徐々に入っていくことで、ワクワクするような、期待感を高めるような、そんな気分の高揚が得られる話や、岡崎公園周辺の建物ではこれが一番すばらしい建物だ、というようなことを話した。こちらからも「オリジナルはこのようなものではないか?」とか「当初はこういう使い方をしていたのか?」というような質問もしたりして、とても楽しい時間を過ごすことができた。管理をしているといろいろと苦労することはあると思うけれど、それでもどこか気持の残ってしまう建築であることは確かなようだ。

実は建築ツアーに出る前に、電話で「京都会館」へ内部の見学ができるかどうかを確認していた。残念ながら「内部見学は利用予定者の下見のみとしています」ということで断られていた。それは承知の上で、再度管理人さんに「中は見学できませんか?」と聞いてみた。すると「ホールはどちらも今日イベントがあるからダメだけれど、会議室棟はいいよ」ということで、早速会議棟へ入ってみる。今日はこの会議室で建築家の住宅相談のようなイベントが開催されているらしい。そちらも準備でいろんな人が出入りしていた。会議室前のホール天井は木製ルーバーになっていて、設備関係はそのルーバーと一体化して、照明は光のみ、換気やエアコンや防災設備なんかも気づかないように注意深く設置されている。ひょっとすると防災関係は後から設置されたのかもしれないけれど、当初の建築家の意図を充分汲み取ったものとなっていて、気持ちの良い空間になっていた。時間の試練に耐え抜く建築をつくるには、後の時代のこういう形の協力も欠かせないものなのだろう。

建物の平面図をスケッチしたり、サッシュのディテールをスケッチしたり、カフェでコーヒーを飲んでのんびりしていると午後1時が近づいてきた。もしこれが最終日でなければもっと居たかったのだけれど、もうひとつ、今回の建築ツアーでどうしても行きたい建築があったから、後ろ髪を引かれる思いで「京都会館」を後にした。「次に来る時は晴天がいいなぁ」と雨の中を移動しながら、僕は思った。


■「京都会館」/管理人さんとの話-「建築について」

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by 2011-kyoto | 2008-11-01 00:00 | 2008
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