2011-10-11 京都会館と 建築家 前川國男の求めたもの-2 松隈洋--「ねっとわーく京都11月号」
京都会館と 建築家 前川國男の求めたもの-2 松隈洋--「ねっとわーく京都11月号」 
連載1のつづき

 戦後の前川は、戦争によって壊滅した建設技術の復興をめざし、モダニズム建築を支える確かな工業化素材や構法の開発に踏み出していく。そして、「木村産業研究所」の挫折を克服しようと、何よりも、雨の多い日本の気候風土の中で、時間に耐えて豊かに成熟する建築をつくるにはどうしたら良いのか、と自問したに違いない。また、余計なものをそき落とし、最小限の構造体で最大限の空間をつくる、というモダニズム建築の理念を追求すればするほど、建築が痩せ細ってしまうジレンマとも直面する。1950年代の後半に、これらの問題と向き合った結果できあがったのが、他でもない京都会館だった。

 こうして、京都会館に試みられた方法の意味が理解できてくる。すなわち、寺院建築に見られるような深い軒を持つ水平の庇によって雨露をしのぎつつ、建物に統一感、と人を招き寄せる大らかな象徴性を与えること、雨の多い日本では痛みやすいコンクリートの壁の外側に、日本古来の伝統である焼き物からヒントを得た、特注の大型の炻器質レンガタイル(幅446×高さ144×厚み100mm)を積み上げ、建物をプロテクトすること、そして、雨のかからない柱や梁に「コンクリート打放し」という構法を用いること。そこには、奇跡的に戦災を免れ、木造文化が継続していた京都の町に対する前川の敬意と、その伝統から学んだ建築の在り方への深い洞察があったに違いない。おそらく、このような考え方が注ぎ込まれたからこそ、京都会館は、モダニズム建築でありながら、時間を超越した独特の落ち着いたたたずまいの建物として完成したのである。京都会舘をどう見るのか、それは、京都の町の何を守り、何や育てるのか、という現代のテーマへとつながっている

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■京都会館と 建築家 前川國男の求めたもの-2 松隈洋--「ねっとわーく京都11月号」
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by 2011-kyoto | 2011-10-11 00:00 | 2011/10
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