人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2012-01-16 京都会館建物価値継承委員会 第3回会議 傍聴メモ(5)意見交換:共通ロビー他について
2012-01-16 京都会館建物価値継承委員会 第3回会議 傍聴メモ(5)意見交換:共通ロビー他について

(4)のつづき

(敬称略)

2) 二条通りから中庭、冷泉通りへの抜け、透明感の確保について
3) 中庭に面して新たな人の動きをつくり外部と連携する空間、いわゆる共通ロビーについて


岡崎委員:

2番目は、「二条通りから中庭-冷泉通りへの抜け、透明感の確保について」ですが、いかがでしょうか。
橋本委員からはずいぶん小さくなったというご指摘がありましたが、どうでしょうか。
なかなかここにこれだけのボリュームをいれる、しかも昔の広さを確保しながら入れるというのは大変なことのように思いますが。。。
では、次の共通ロビーと一緒にさせていただいてよろしいでしょうか。
「中庭に面して新たな人の動きをつくり外部との連携する空間」要するに新しくできた共通ロビーの問題についてはいかがでしょうか。


衛藤委員:

「二条通りから中庭-冷泉通りへの抜け、透明感の確保について」の件は橋本委員さんからの意見にもありましたけれども、隣の美術館別館とのうまい共有の仕方というか、広げられているのがいいと思います。以前のままですとなかなか抜けというのがないですし、もとのようにロビーが広く面しておればそれはそれで抜けていたわけですけれども、そういう条件の中では今回の案は非常によくなっているのではないかと思いました。
あとは、冷泉通りのほうはちょっと質問があるのですけれども模型の場合は1階の庇、北の端までのびているのですが、立面図でみると北の端までのびていないのですが、これはどちらが今の段階での?


事務局

模型のほうが近いです。


岡崎委員:

京都市の方にお伺いしたいのですが、ここの冷泉通りというのはどういう通りをつくろうとしておられるのですか?かたやグラウンドがあるし、かといって平安神宮の正面であるし、駐車場があったり、、、


事務局

都市計画のほうで検討しているのですが、私どものほうから今の段階では申し上げることはできません。


岡崎委員:

では共通ロビーの件


中川委員:

あの、橋本委員からコメントのところにあって、私もまったく同感なのですが、「ロビーを欄干とも覆うガラスのカーテンウオールは、中庭を巡る階段から連続する外部テラスのPC 欄干の存在感を不明瞭にし、中庭の佇まいの水平的構成を損なう」おそらく今回の改修で設計上の肝になっているところではないかと思うんですね。大変ご苦労されていると思うんですけれども、1階2階部分のテラスを全部覆う形でガラスを覆ってしまう。大変デザインが難しいなと思ってたんですが、今回拝見させていただいても橋本委員と同じようにですね、前川建築のもっていた水平ライン、PC欄干のもっていた存在感というのが消えてしまう、やはり大変違和感を持ってしまいます。それで、共通ロビーをつくるということ自体はいいことだと思うし、それが今までは中庭が果たしてきた役割を内部化して使いやすくするといのはいいことだと思うんですけれども、どう、どうなんでしょうね。。。このガラスの箱を、私は、少なくとも、個人的には、やはり前川建築の建物価値を継承するのであれば、このガラスの箱はないほうがいいという風に思います。

共通ロビーをつくるのであれば、1階を内部化するというのはありえると思いますが、2階のデッキのPC欄干のあの空間を今回のお話を聞いて、第2ホールの南面の欄干を残すんですよね、だったらなおさら、二条通りを入ったら一番正面に見えるあのテラスと第1ホールの南面が見えるわけですよね、それが残るのであればぜひ残していただきたい。第1ホール第2ホール、1階を内部化して、PC欄干はちゃんと露出させる形で残す方法のほうが、もちろん2階部分が雨がかからないようにする方法も必要かもしれないと思うのですが、それは絶対的なことではないんじゃないかと、建物価値継承ということであれば、この2階部分のガラスの箱はいらないのではないかと思うんですが、委員会としてはどうでしょうか。


岡崎委員:

あの、私も実はこのスケッチをみせていただいて、第一印象、中川先生と同じ意見なんですね、せっかく香山先生のスケッチがついていてなかなか申し上げにくいのですが、たとえば、2階の平面図を見ていただいて、中川先生の言われる箱の部分は柱の芯にサッシはついていないんですね、外側にサッシがついてるんです、その向こうの既存の部分は芯についている。ですから継承ということが多少あるとするなら、サッシは芯につけて継承していくべきではないかと。それから現在の京都会館のサッシの割付を含めた、4等分の、このサッシのプロポーションというのは私たち学生のころに随分手本にして鍛えられた、ある一つの世界なんですね、それが7等分の縦長のサッシになると全く消えてしまう。それぞれが新しいデザインを提案することはあるとして、競うことはいいことなんですが、京都には脇をみて建てろという町屋の言葉もあるように、やはりつづいているサッシはできればなしにしていただきたいという直感的な勘ですね。
で、やはり2階までズブッとガラスがはまってしまうということは、いささか、問題ではないかと、これは中庭の通し図と現地の写真を組み合わせてシミュレーションしていただければ一目瞭然だと思うんですけれども、それもまた次回にお願いするとして、1階のロビーのガラスの位置を2階のバルコニーの下に入れ込んでほしいです。そうして2階のガラスのラインをPCのコンクリートを残しながら、その直後に設けていただいて、その時の2階の屋根はガラスにするのかどうするのか、問題だと思うんですけれども、サッシ割りにも関係するんですが、できれば現状のサッシを継承していただきたい。というのが私の切なる願いです。


道家委員:

私のほうは、今の岡崎先生のおっしゃったようなことは、建築家協会の内部のメンバーは同じようなことを言ってました。。PCの手すりとかはなるべく外に見えていたほうが、、、と。


石田委員:

共通ロビーですが、各ホールと会議棟を3棟つないでという風になっているわけですが、今話題になっていますように、必要があるのかどうか、、、やはりいろんなバランスの中で決まってくることですから、あらゆる面でフルスペックを求めるというのは、ここの場合は難しいのではないかと、もう少し考えていただいたほうがよいのではと思っています。


香山

まず共通ロビーはこの京都会館には第1ホールと第2ホールと会議棟があって、これを一体にして使おうということでは不可欠な空間だと認識しております。今の考えでは1階に内側で待てる部分をつくる、今、外でモギリの前で皆まっていますので、そういうのは60年代ではありえたかもしれませんが、現在ではどうかと。第1ホールのモギリが2階に行きます。これは前回から議論になっていますように、その下の抜けをつくるために必要ですし、全体を一体とするために工夫として非常に機能しています。第1ホールの1階のところを中庭から冷泉通りに抜くためにはここは共通ロビーとします。従いまして、第2ホールの専用ロビーは2階に行きます。ということは2階部分でつながない限りは全体が一体で共通ロビーという、楽しくつなぐということは不可能になる。私たちはそれを大切にするという考えでやっています。それから手すりが大切である。それは私も十分認識しています。私も学生のころから一番まねしたディテールです。これを実際に生かしたいとおもったらどうしたらいいか。今おっしゃいましたように、その内側にガラスを建てたとします、そうしたら惨めな結果になります。手すりというのはそれに寄りかかるからこそ手すりが生きるのであって、ガラスの内側に手すりがいくというのは、私は建築家としてありえないだろうと思っています。今これは模型が外からだけのものを見ていますが、多くの人が中側を通ってまいります。二階を楽しい空間にしたい、そのときは多くの人が手すりに寄りかかって中庭をみて、お互いの視線を交わすことになる。そういう空間にしたいと思います。それがガラスの向こうに手すりがあるのであれば、それは前川先生の手すりに対する侮辱だと思います。そうしたくないと思ったのが私の考えです。
それからカーテンウォールをどうするか、これはまだまだ検討の余地があります。橋本さんのご意見も全くその通り、問題になさっていることは私たちも考えているところです。列柱になっちゃあいけない。今見えるような結果になるというのはまだデザインが練れていないからであって、強いて建築をこんなところで文学的な議論にするつもりはないのですが、これはむしろ細かい格子か、簾のようなもので包みたいと。むしろそれによって水平の前川先生のもともとの手すりが生きるようになれば、それをどういう細いものでするかこれは材料とかコストとか、いろんな問題を考えなければいけないので、もちろんご指摘のようなことは考えなければならないと思っています。

中庭から奥に行く抜けの幅についても、もちろんこれも広ければ広いほどいいと思いますが、実際に8mの幅というのは巨大な幅の空間、そこを人が流れるというのは大きい空間なので、どうデザインするかというのはこれからの課題です。よく考えなければいけないと思っています。現状はあそこは抜けるといいますが、実際は通れないですね、使っていないときは、暗い暗闇の空間が見えているだけです、今度は常に通れるようになるわけですから、そこは全く違ってきます。単に幅だけでなく、違ってきます。そのためには2階に共通ロビーを持ってくる、こういう関連になっています。ご心配になっていることは全くそのとおりですが、総合的に考えるとなるとどうしたらよいのか、私もまだ答えがでていませんので、考えたいと思います。


岡崎委員:

京都市のほうにお伺いしたいのですが、あと1回ですよね、この委員会。今後検討することが山ほどあるわけですけれども、あと1回で終わりということになるのですか、その辺は。。。
委員の皆さんどのように考えておられますか?
どこまでどういう風にして建物価値の継承を委員会として提示するのかということです。
本来なら、今日当たり、答申がほしいのですが。最終的にはみなさんに満足していただくという感じだと思っていたのですが、どうでしょうか。


衛藤委員:

今、私たち委員がいろんな意見がでていて、あともう少し継続しないと委員会としての機能が果たせない気がします。もう一つあるのが、実際デザインビルドというのが想定されているのですが、香山先生がその計画にどのように関わっていかれるのかというのも非常に気になるところです。前も最終的に完全な設計分離という形ではないにせよ、きちんとデザインを監修していただくというそういう仕組みをつくっていただかないと、われわれ委員会としても不安な気持ちで終わらなくてはいけないかなと思っています。


内山(事務局):建物価値委員会ですので、当然建物の価値を、こういったところは京都会館の残すべきデザインであるとか、そういう議論をしていただいて、それが基本設計の中で生かされるというのがこの委員会の目的です。そういった議論をお願いしたいというのがまず趣旨でございます。で手法としてはデザインビルドということになっていますので、この委員会が認定した、あるいは踏襲すべきものというものをデザインビルドで当然生かしていかなければいけないことだと認識しております。どういう形でしていくのかというのはまだ固まっていませんけれども、事務局としては継承すべき価値というものがデザインビルドの中で反映していくシステムというものは当然考えていかなければいけないと思っております。


岡崎委員:

それで質問させていただいた件についてはどういう風にお考えですか?


平竹(事務局):

実は、現在来年度予算の編成作業中で大詰めになってきているわけですが、現在のところこの委員会でも検討いただいているということもありますし、あと基本設計では積算がまだできていないということも考慮して進めています。ただ、私ども文化の会館を預かっている側としましては、ずっと使っておられる方にとっては会館が閉まっている期間が長いというのは大きな問題であります。京都府下で2000人を超えるホールが少ないということもあって、できるだけ閉館している期間を短くしてほしいという要望がございまして、そういった意味もあって、できるだけ検討課題があるかもしれませんが、早い時期に方向性を出していただいて、なるべく次の設計等に進んでいけるような方向にしていただきたいと我々会館を預かっている側としてはあります。


岡崎委員:

今年度中にやらなくてはいけないというのはわかっているのですが、毎回考えなくてはいけないことがたくさんあって、今年度中にできるだけ皆さんに満足していただけるような形でみていただくというのがふさわしいかなと思います。まあ、ご検討いただければありがたいと思います。


事務局

当初はあと1回の委員会で終わらせていただきたいと思っておりましたが、本日たくさんのご指摘がありますし、確かに課題が多いと思いますので、ただ年度内には確実に完結したいと思っておりますので、何分大変だとは思うのですが、もう1回、合計残り2回という形でなんとか設計のほうをあわせて設定したいと思っております。

石田潤一郎 京都工芸繊維大学工芸科学研究科教授(日本建築学会推薦) 副委員長に選任
衛藤照夫 社団法人京都府建築士会会長
岡崎甚幸 武庫川女子大学生活環境学部建築学科教授、京都大学名誉教授 委員長に選任
道家駿太郎 社団法人日本建築家協会近畿支部京都会会長
中川理 京都工芸繊維大学工芸科学研究科教授(日本建築学会推薦)
平竹耕三 文化芸術担当局長 文化市民局
内山修 担当室長 文化芸術都市推進室事務局員
所長 香山壽夫 代表取締役 京都会館基本設計業務受託者


■第3回会議 傍聴メモ(5)意見交換:共通ロビー他について

■京都会館の建物価値継承に係る検討委員会関連記事
by 2011-kyoto | 2012-01-16 00:07 | 2012/01
<< 2012-01-16 京都会館... 2012-01-16 京都会館... >>