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事業予算ゼロの施設から再生へ-和歌山市民会館の取り組みー
事業予算ゼロの施設から再生へ-和歌山市民会館で市民プロデューサー育成の取り組みー
この8年、自主事業予算はゼ口の和歌山市民会館。3年前、「貸し館だけでは職員が育たない。指定管理者が替わると職員の行き場がなくなってしまう」という危機感をもった館長が、芸術文化活動支援員の助言も入れて、文化庁の支援を導入し、市民と職員の中にプロデューサーを育て、新たな事業を興す一歩を踏み出しました。それから1年余で「近ごろ市民会館が変わった」という声を聞くようになりました。その経緯から教訓を探ります。
-事例報告 島田忠訓 和歌山市民会館班長
-コメンテーター 藤野一夫 神戸大学大学院国際文化学研究科教授
-司会・コーディネーター 佐藤克明
和歌山市民会館は、今年で9年、自主事業予算ゼ口が続いてきました。貸館としての利用も、現状ではまだ十分とはいえません。職員も減員となっています。しかし、アートマネジメントセミナー2010で経緯を報告した班長の島田忠訓さんは、「職員は一致団結して、“旭山動物園をめざしてがんばる"という気構えです。以前よりいい顔つきで動いています」といいました。公立文化施設の中には、予算と職員が減少し、ゼロになるという厳しい状態の中で、地域の人たちの文化の拠り所、心の拠り所としての課題にどう応えるか、これからの方途を模索しているところも少なくないと思われます。そうした共通する問題に関心をもち、打開の方向をさぐるきっかけとして、和歌山市民会館のこの3年余の大きな変化を生み出した事情と、これからの課題などを、このセミナーで「ゼロからの再生」として取り上げました。
①事業予算がなくても、事業をやろうという意思があるのなら、自ら財源を開拓する努力をしていくこと。文化庁はもとより、他の省庁にも文化に使える助成金があり、また、民間の助成財団が支援するものもある。初めに予算ありきではなく、初めにこの事業をぜひやりたいというエネルギーがあれば、知恵をだしてそうした助成金などを活用することもできるだろうし、かならず道は開ける。

②貸館としての利用度が低いというが、貸館の多くは「市民の自主事業」であるという意識を職員がもてば
どうだろうか。市民の文化活動を盛んにしてその量を増やせば、市民会館の利用も増えるし、さらにその質を
高める支援をしていけば、より高度なレベルの文化を求める人たちのニーズにも応えられるようになる。それ
を市民会館として支援していけば、会館としての自主事業がないとしても、地域文化の振興は進み、職員の中にも市民の中にも人材は育つ。

③市民の活動の量と質を高める支援をするためには、まず、評判がよくないという現状を変えて、市民との
協働を進めるために、館長、班長のほうから、「評判が悪いといわれてきた市民会館を変えたいので、率直に意見を聞かせてほしい」と呼びかけて、利用者懇談会を聞き、一歩踏み出すことから始めてはどうだろうか。

④財源については具体的に、文化庁の「文化芸術による創造のまち支援事業J(注:平成21年度で終了]のように、人材育成などに活用できて、対象経費の10割の支援が受けられるものもあり、その募集がまもなくあるので、それに申請してみてはどうか。

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■事業予算ゼロの施設から再生へ-和歌山市民会館の取り組みー
社団法人全国国立文化施設協会

by 2011-kyoto | 2012-02-18 08:00 | その他
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