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2012-03-18 第一ホール天井の傘-「京都会館問題について考える」
第一ホール天井の傘

さて、第一ホールに入ると必ず目に付くのは、天井から吊ってある、音響反射傘であろう。何個あるのか、数えた事は無い。少なくとも3種類のバリエーションがあるのは確認した。一つは勿論ノーマルな傘でこれが圧倒的な数である。もう一つは、ホール中央部付近に多いのであるが、空調ダクトが接続されている傘。これは大きな丸い穴が開いている。これは比較的見つけるのは簡単である。ただこいつはちょっと気に入らない。ホール天井から傘の裏側までのダクトに芸術性が感じられないんですね。何か無理矢理接続した感があるんですね。ダクトを捻じ曲げて「エイヤっ」て付けた感じ。”工場萌え”みたいな人達は別の感性で見るかもしれない。超少数派はステージ前面付近にある傘で、プロセニアムのスピーカーが裏に仕込んである傘。スピーカーの部分だけネットが張ってある。


で、今までこの傘は主に音響反射の為に設置されていたと思っていたが、どうもそうではないような気がしてきた。というのも、今回目視出来る範囲内で幾つかの傘を観察したのだが、傘の裏側にかなり厚いフェルトのようなものが敷かれているのを発見した。また、傘の表面には小さい穴が幾つか開けられているのも確認した。という事は、有孔ボードのような働きもしているのか、或いは、傘と天井の間に入り込んだ音が有害なエコーを生成しないように、敷かれているのか、そんな事が想像できた。第一ホールの2階席から上の壁面が意外に柔らかいというのも今回気付いたのだが、という事はこの壁面も音を反射しにくい(響きにくい)ものであり、更に、裏にフェルトを張った傘が大量に吊るしてあれば、更に吸音効果が出るのではないか、というのが、私の今回の推察である。
傘は当初の設計から付いていた物なのか、設計の途中で付いたものなのか、その辺があの傘の謎を解く鍵のような気がする。あ、後第一ホールはアスベスト除去工事をしてなければ、ホール天井裏等には確実にアスベストがあると思われる。吸音材としてのアスベストは優秀だったようで、当然色んなホールの天井裏等では積極的に使われていた時代がある。


で、傘の数は開館当初に比べて減っていると思われる。1978年頃に行われた改装工事で、舞台上に天井音響反射板が取り付けられたが、その場所にも以前は傘があったようである。今でも第一ホールに残る1976年の京響演奏会写真を見れば明らかである。「京響30年史」には、後付けされた天板の効果を疑問視するようなニュアンスで書かれていたが、あれが付く前と付いた後で、どの位音響の変化があったのだろうか? ご存知なかたがいらしたら、お聞きしたいものである。


第一ホールを取り壊すのであれば、あの傘は大量の建築廃材の一部となるであろう。であれば、記念に一つでも欲しいような気もするが、実際に手に取ると相当大きいのだろうか。


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■第一ホール天井の傘-「京都会館問題について考える」
by 2011-kyoto | 2012-03-18 00:00 | 2012/03
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