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2013-02-25 「残すべき建築」/松隈洋-「中国と京都と建築と」
「残すべき建築」/松隈洋

語りかけるようなやさしい文章で、36のモダニズム建築を紹介してくれます。カッコイイ写真もけっこう掲載されています。多くの名建築が次々と取り壊されていく問題を静かに訴えかけています。素人でも読みやすいので、モダニズム建築に興味がある人におススメです。建築の本としては1800円とお手頃です。
僕は松隈さんの本を読むようになって、今まで右から左に抜けていた先人建築家たちの言葉が心に留まるようになりました。この本の中でも、色々な言葉を紹介しています。
これらの言葉を読むと、総じて〝都市と人間〟〝建築と人間〟ということを真っ直ぐ見つめていたことを感じます。これに反して、現代都市がどんどん人間との関係が希薄になっていく気がします。また、評論家の松山巌さんの「建築という友」という文章を紹介していますが、建築に関わるものとして肝に銘じなければと思います。

「幸田露伴は貧窮がかならずしも悪いことばかりを人にもたらさない、貧窮には四つの功徳があると語る。『人を鍛ひ練る』『友を洗ふ』『真を悟らしめる』『人を養ふ』の四点である。・・・この友はバブル時代にはポストモダンと称する衣装をまとって現れた。・・・内面になにもなかったからやがて、この友は消えた。そして超高層時代はまるでエリートサラリーマンのように、汚れもなく身だしなみは良いが、いずれも同じく画一的。・・・あらためて町を歩けば・・・もはや懐かしい友の姿は稀である。・・・我々はどのように建築という『友を洗ふ』だろうか。それは過去ではなく未来の問題である」(松山巌)

残すべき建築: モダニズム建築は何を求めたのか

松隈 洋 / 誠文堂新光社


■「残すべき建築」/松隈洋-「中国と京都と建築と」

2012-09-17 長崎和平氏による「京都会館建て替え問題」要望書に対する京都市の回答-「文化市民局」
2012-10-01 京都会館再整備は、京都にとって、日本にとってベストの選択と言えるのか-長崎和平
2012-11-22 京都会館比較画像一覧(その2)
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by 2011-kyoto | 2013-05-15 14:50 | 2013/02
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