人気ブログランキング | 話題のタグを見る
2014-12-04 まちづくり共同研究会2014.12.04のご案内
まちづくり共同研究会開催のご案内
まちづくり共同研究会2014.12.04のご案内

日 時  2014年12月04日(木) 18時30分~
会 場  京都第一法律事務所6階会議室
(中京区烏丸二条上るインターワンプレイス京都4F/地下鉄烏丸線丸太町下車南へ3分)
【次回まちづくり共同研究会のテーマ】

・メインテーマは、「新景観政策7年を経て~到達点、問題点・不十分点、課題」です。三村浩史先生(京都市景観まちづくりセンター前理事長/京都大学名誉教授)に講演をお願いしております。

・三村先生の講演を受けて、中林浩氏(神戸松蔭女子学院大学教授・都市計画)
 からは問題点・不十分点・課題を、また、新景観政策を生み出した住民運動(明倫学区、姉小路界隈など)や地区計画の濫用の問題の住民運動(京都会館建替え問題など)からの報告も受けながら、今後の方向性まで議論できたらと思います。

・この間の住民運動・まちづくりの取り組み(亀岡スタジアム建設に関わる亀岡駅北区画整理事業認可取消訴訟の提訴〔12/4〕、髙野パチンコ店建築確認不適合処分に対する業者側の建築審査請求裁決、景観と住環境を考える全国ネットワークフォーラム〔12/1〕など)の報告・交流の時間も設けたいと思います。


■まちづくり共同研究会2014.12.04のご案内
# by 2011-kyoto | 2014-12-04 00:00 | 2014/12
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-7
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-7

第8 審査請求に対する裁決

 原告らを含む京都市民567名は、平成25年12月5日、上記建築確認の取消しを求めて、京都市建築審査会に建築審査請求を行った。同審査会は、平成26年5月9日、原告吉田時雄、吉田広、上田緑、万木恵子の各請求を棄却し、その他の原告らの請求を却下する裁決を行った。

 また、同審査会は、異例の付言を付し、「建築物の高さ規制は、土地所有者にとって厳しい私権の制限であるが、景観維持のためには、その制限は厳しくしなければならない。その規制を緩めると、結局のところ、景観維持はおぼつかなくなる。その維持には、意識的な努力が必要であり、地方公共団体には、重要な役割が期待されるのである。この点で、新景観政策は、多くの支持を得てきたものである。京都市は、その政策を維持し、推進する以上は、自らが建築する建築物には、より厳しく律する必要がある。そうであれば、可能な限りにおいて、自らが建築する建築物においては、例外的な扱いをするべきではないのはもちろん、新景観政策の理念を優先するということが求められる」と述べている。

 また、例外的に高さ規制を緩和するとしても建築物の公共性や必要性、景観と調和する形態・意匠について十分な検討が必要であるとして、京都市に対し、新景観政策を維持する以上は、その理念が、本件地区計画を契機に崩れることのないように、説明責任を尽くすよう求めている。
第9 結論

 以上のとおり、本件建築計画は違法であり、建築確認は取り消されなければならない。

 京都会館の再整備に始まった地区計画制度を濫用した京都市の「新景観政策」に逆行する動きに対して、多くの京都市民が疑問を感じている。一部の企業や大学が関与する事業についてのみ高度規制の緩和を進めようとする恣意的な行政運営に対し、不公平感、不信感を強めている。

 御庁においては、こうした京都市民、国内外の団体からの期待に応え、京都市における本件建築計画の見直しの端緒を開く、慎重かつ充実した審理及び判断がなされるよう、原告らは切望するものである。
以上

■【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-7

新景観政策 リーフレット-「京都市情報館」
時を超え光り輝く京都の景観づくり - 京都市
2013-06-15 京都市長宛ての意見書(日本ICOMS第14小委員会)-「JAPAN ICOMOS INFORMATION no.3/2013」
京都市建築審査会

2014-05-09 京都会館審査請求裁決書-京都市建築審査会

【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-1
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-2
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-3
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-4
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-5
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-6
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-7

京都会館建築確認処分取消審査請求書-1
京都会館建築確認処分取消審査請求書-2
京都会館建築確認処分取消審査請求書-3
京都会館建築確認処分取消審査請求書-4
京都会館建築確認処分取消審査請求書-5
京都会館建築確認処分取消審査請求書-6
京都会館建築確認処分取消審査請求書-7
# by 2011-kyoto | 2014-10-17 00:07 | 2014/10
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-6
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-6

第7 その他条例違反

1 本件建築計画は、以下の規範に違反する。

(1) 岡崎文化・交流地区地区計画違反

ア 京都会館第一ホールは、岡崎文化・交流地区地区計画区域のうち、B地区に存するところ、同地区の建築物等の形態・意匠は、「京都会館の近代性と伝統の融合を感じさせる風格と魅力ある建築物と調和する」ものでなければならない。

イ 京都会館の近代性と伝統

(ア) 京都市は、京都会館の建物価値承継について検討委員会に諮問し、同委員会は、平成24年4月23日、提言を示した(甲27)。

その中で同委員会は、京都会館の建物として承継すべき価値について、以下のとおり提言しているところ、その内容は京都会館の近代性と伝統を具体的に示すものである。

a 空間構成の継承

① ピロティによって中庭に導く「開かれた公共空間」の特質を守ること。

② 中庭から第一ホールのホワイエを透過して冷泉通まで見通せる空間の流動性を保つこと。

③ ホワイエ、ロビー空間を拡充しようとする際には、現建物の持つ全体の空間構成や外観意匠の価値を十分に尊重して行うべきである。


b 外観意匠の継承

① 現京都会館の外観意匠における特質は日本の建築的伝統との近さである。この印象は、大庇・手すり・バルコニーによって形成される立面が、日本建築における軒・縁・高欄による立面と似通うことから与えられる。こうした立面構成の価値を維持継承できるようにしなければならない。

② 現京都会館の上記の特質をとりわけ明瞭に感じさせる中庭に面した外観については、特にこのことが求められる。

③ サッシ割りなど細部の形状について可能なかぎり原型を保つこと。

④ 第二ホールのホワイエはガラス面を透過して外観と一体化している部分であるから、その空間構成の継承に対しては十分な配慮を払うこと。陶壁画についてもその芸術性に敬意を払いつつ、継承に努めること。

⑤ 第一ホールのフライタワーの形姿については、大庇で表現された大屋根の下に諸々の空間を抱込み、大屋根の上のマスは空や山並みに融け込むという原設計の外観意匠の全体的統一性の上からも十分な配慮を払うこと。


c 景観構成要素としての意義の継承

① フライタワーの高さ・形状については、岡崎地域、ひいては東山山麓の風致を損なわないよう最大限の配慮を払い、現在、進められている重要文化的景観の調査検討および歴史的風致維持向上計画の策定との整合に留意しつつ、十分な検証をおこなうこと。

② 景観シミュレーションを見ても、舞台内高さ27mを確保した基本設計のフライタワーが周辺の風致に与える影響に配慮することが必要であることは明らかである。いかにフライタワーの高さとボリュームを抑えていくかがデザインの要であり、慎重なデザイン処理を行うべきである。

③ 新築される第一ホール部分の形状・色彩・素材についても、岡崎地域の風致を損なわないよう精緻な景観シミュレーションを行うなど最大限の配慮を払うこと。


(イ) 「DOCOMOMO Japan」の意見書

 20世紀の建築遺産の価値を認めその保存を訴えることを目的のひとつとする国際的な非政府組織の日本支部である「DOCOMOMO Japan」は、2012(平成24)年7月27日付で、「京都会館再整備本件建築計画に対する意見書」を作成し、京都市長外宛に執行している(甲17)。

 同意見書は、基本設計について、以下のとおりの問題点を指摘しているところ、このうち③④は、京都会館の近代性と伝統を具体的に指摘している。

① 過半の躯体を除去することによって、当初建築材料の残存率が極めて低くなること。

② 京都会館と共に形成されてきた東山の景観、とくにそのスカイラインが著しく変化すること。

③ ル・コルビュジエ、前川國男などの近代建築家にとって重要となるL型配置の結節点空間の視線の抜けが、第一ホールのホワイエの縮小によって、限定的なものになること。

④ 日本古来の建築に由来する深い庇による水平性の強調や、ピロティや中庭による内外空間の一体化といった、前川國男が試みた近代建築と日本建築の融合というこの建物の特徴が、中庭側の軒下空間を内部化することによって失われること。


(ウ) 前川國男の京都会館の設計

 前述のとおり、京都会館を設計した前川國男の設計説明書には、次の記載がある(『説明書』前川建築設計事務所蔵)。

 「環境との調和
東山一帯に囲まれた平面的な岡崎公園と、その水平的な性格を象徴するが如き疏水の流れ、それに既存の建物、公会堂、勧業館、美術館等の中層建物の高さなどを考え合わせる時、この場所に巨大マッスの高層建物を置く事は、公園地帯全域に対して不均衡を来すものと思われる。

 このために、建物全体を中層の建物の高さに収め水平に延びた屋根面から大ホールの屋根、小ホールの舞台フライの部分のみを突出せしめる水平線的な構成をとった。

 この公園のもつ水平線的性格は建物のボリウムの流れのみでなくバルコニー手摺、外壁を構成するプレキャスト版等、全館意匠の細部にまで浸透せしめ附近全域及び周囲の風光との調和を図った。」

 すなわち、前川國男は、「環境との調和」・「附近全域及び周囲の風光との調和を図った」と明確に述べているように、京都会館の設計にあたり、京都会館を岡崎公園・疏水・公会堂・遠くの東山の山並み等、周辺の地域的特性といかに調和させるかに神経を研ぎ澄まし、特に配慮している。

(エ) 上記三者の意見から、京都会館の近代性と伝統は、①中庭から第一ホールのホワイエを透過して冷泉通まで見通せる空間の流動性と、②大庇・手すり・バルコニーによって形成される立面が、日本建築における軒・縁・高欄による立面と似通うことから与えられる日本の建築的伝統との近さ、③建物の水平基調、すなわち「建物全体を中層の建物の高さに収め水平に延びた屋根面から大ホールの屋根、小ホールの舞台フライの部分のみを突出せしめる水平線的な構成」にあり、いかにフライタワーの高さとボリュームを抑えていくかがデザインの要であり、慎重なデザイン処理を行うことが必要であることがわかる。

(オ) ところが、本件建築計画は、上記①から③が満たされていない。
わけても、価値継承検討委員会の提言を受けて作成された本件建築計画において、基本的な部分(フライタワーの形状および高さ)について、基本設計に対して何ら変更が加えられていないことは、本件建築計画が京都会館の伝統に矛盾した建築物であることを如実に示すものである(すなわち、本件建築計画の立面図(甲2)と、価値継承検討委員会に提出された立面図を比較すると、建物の外観、特にフライタワーの形状に全く変更が加えられていないところ、景観比較写真(甲4)を見れば、従来の第1ホールが有していた、第2ホールとの連続性や東山をはじめとする近隣景観との調和が本件建築計画によって破壊されていることが明らかである。)。
したがって、本件建築計画は、岡崎文化・交流地区地区計画に違反する。


(2) 京都市風致地区条例違反

ア 本件敷地の景観保全に関しては、風致地区第5種地域であり、本年2月1日付告示により「岡崎公園地区特別修景地域(B地区)」に指定されている。

イ 京都市においては、風致地区の許可基準、特別修景地域における許可基準について、「京都市風致地区条例による許可基準と解釈の運用」に拠っている。

 これによれば、「岡崎公園地区特別修景地域」については、「形態意匠等の基準の強化及び付加」と題する第7条の第79号において、以下のとおり規定されている(なお、同基準は基準の適用除外や緩和も定めている(1条から4条。甲11・47頁以下)が、第7条は緩和ではなく、「形態意匠等の基準の強化及び付加」とされていることには注意を要する)。

 「岡崎公園地区では、既存樹木で構成される広々として緑豊かな通り景観や都市における自然的景観を維持するため、道路及び琵琶湖疏水に面した既存樹木を保全すること。

 また、京都都市計画(京都国際文化観光都市建設計画)岡崎文化・交流地区地区計画の区域のうち、地区整備計画が定められた区域(C地区を除く。)の建築物は、当該地区計画において定められた建築物等の形態又は意匠の制限に適合するものであること。この場合においては、条例第5条第1項第1号ウ(カ)、同項第2号イ(エ)及び同項第3号ウ(カ)に規定する基準を適用しない。」

ウ 条例第5条第1項第1号ウ(カ)は、建築物等を新築する場合について、同項第2号イ(エ)・同項第3号ウ(カ)は、それぞれ建築物等を改築・増築する場合について、「建築物等の位置、形態及び意匠等が、それらが行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致と著しく不調和でなく、かつ、別に定める基準に適合することを求めている。

エ そして、「別に定める基準」については、施行規則が規定しているところ、建物の形態意匠については、第13条が主なところで以下のとおり規定している。

 第13条 条例第5条第1項第1号ウ(カ)、第2号イ(エ)及び第3号ウ(カ)に規定する別に定める基準は、次に掲げるものとする。

(1)  建築物の屋根及び軒に関する基準

ア 勾配を有する屋根で建築物が全て覆われていること。 

イ 屋根の形状が入り母屋屋根、寄せ棟屋根又は切り妻屋根のいずれかであること。

ウ 屋根の勾配(軒裏の勾配を含む。)が10分の3から10分の4.5までであること。(以下略)

エ 屋根が日本瓦、平板瓦、銅板その他これに類する金属板、平形彩色スレートその他これに類するもの又は太陽光発電装置その他これに類する太陽熱を給湯、暖房、冷房その他の用途に用いる装置(以下「太陽光発電装置等」という。)のパネルでふかれていること。(以下略)

オ (以下略)

(2)  建築物の外壁に関する基準(略)

(3)  建築物に関するその他の基準

ア 階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の部分(以下「階段室等」という。)
が階段室等以外の部分の屋根面から突き出したものでないこと。

イ (以下略)

オ ここで、「風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ)、同項第2号イ(エ)及び同項第3号ウ(カ)に規定する基準を適用しない。」という点であるが、上述のように、第7条は、あくまで「強化及び付加」であって「緩和」ではないのであるから、上記3箇条を適用しないというのは、それらによって守ろうとする風致景観を、それらの規定の全部を適用するということにはこだわらずに実現しようとする趣旨であって、単に上記3箇条に示す基準に満たないものでもよいというものではない。

 このことは、同条項について、「建築物が新築の行われる土地及びその周辺の土地の区域における風致と著しく不調和であったり、別に定める基準が要求する水準に満たないものであってもよい。」などとするものでないことから明らかである。

 したがって、たとい「風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ)、同項第2号イ(エ)及び同項第3号ウ(カ)に規定する基準を適用しない。」としても、その意味は、「同条項の細目的な規定に必ずしも適合しなくても許容される場合がある」ということであって、勾配屋根を採用せず、あるいは、屋根から突出して屹立するような部分がある建物は、風致地区条例に違反するのであって、そのようなものまでも許容する趣旨ではない。
なぜなら、後述するように、勾配屋根とすること、塔屋を設けないことは、都市景観の維持に極めて重要だからである。

カ これを前提として本件建築計画を見るに、同設計は、そもそも(1)で見たとおり岡崎文化・交流地区地区計画に違反する上に、前述のとおり、建物西側(琵琶湖疏水側)に開口部が取られず、外壁面も垂直に屹立するフライタワーの設置を予定するものとなっている上に、同フライタワーは、幅35メートル、奥行き23メートル、高さ30メートルにも及ぶ巨大なものである。

したがって、本件建築計画は、京都市風致地区条例に違反する。

キ 上記のとおり、「特別修景地域における地域別基準」に、本件敷地に「風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ)、同項第2号イ(エ)及び同項第3号ウ(カ)に規定する基準を適用しない。」とあるのは、単にそれらの基準の適用を除外することだけを許容する規定ではない。

もし、単なる適用除外規定であるとすると、かかる規定は無効である。以下、理由を述べる。

 (ア) 勾配屋根とすること、塔屋など屋上に突出部分を設けないようにすることは、都市景観を維持する上で極めて重要である。

 このことは、①風致地区条例、眺望景観創生条例に基づく「別に定める基準」において、勾配屋根とすること、塔屋を設けないことが繰り返し出てくること(風致地区条例については、甲11・14頁~15頁。眺望景観創生条例については、甲12別表)、②価値継承検討委員会の提言においても、?「第一ホールのフライタワーの形姿については、大庇で表現された大屋根の下に諸々の空間を抱込み、大屋根の上のマスは空や山並みに融け込むという原設計の外観意匠の全体的統一性の上からも十分な配慮を払うこと。」、?「フライタワーの高さ・形状については、岡崎地域、ひいては東山山麓の風致を損なわないよう最大限の配慮を払い、現在、進められている重要文化的景観の調査検討および歴史的風致維持向上計画の策定との整合に留意しつつ、十分な検証をおこなうこと」と指摘されていること、?前川國男も、「建物全体を中層の建物の高さに収め水平に延びた屋根面から大ホールの屋根、小ホールの舞台フライの部分のみを突出せしめる水平線的な構成をとった。この公園のもつ水平線的性格は建物のボリウムの流れのみでなくバルコニー手摺、外壁を構成するプレキャスト版等、全館意匠の細部にまで浸透せしめ附近全域及び周囲の風光との調和を図った。」として、勾配屋根を採用しフライタワーを屹立させなかったことからも明らかである。

 (イ) 告示によって、条例の趣旨を変更することは許されない。

 条例は、議会が制定するものであるのに対し、告示は、市長等の公の機関が決定するものであることから、告示はあくまで条例の趣旨・目的に照らし、条例の範囲内の内容に制限される。

 そうすると、上記告示は、京都市風致地区条例の趣旨・目的に反することは許されないから、上記告示は、上記キで述べたとおり、「同条項の細目的な規定に必ずしも適合しなくても許容される場合がある」という趣旨であって、勾配屋根を採用せず、あるいは、屋根から突出して屹立するような部分がある建物を許容する趣旨ではないと解すべきである。

 したがって、これが単に、風致地区条例第5条第1項第1号ウ(カ)、同項第2号イ(エ)及び同項第3号ウ(カ)の規定の適用を除外するだけであるとすると、かかる告示は条例違反として無効である。なぜなら、市長に認められている告示制度に関する権限は、あくまでも条例の範囲内に限定されており、条例の趣旨・目的に反する告示を定めることは、市長の告示制定に関する権限の明らかな濫用・逸脱であって、違法となるといわなければならないからである。


(3) 京都市眺望景観創生条例違反

ア 京都市眺望景観創生条例第6条第1項によれば、市長は、眺望景観を保全し、及び創出するため建築物等の建築等を制限する必要がある区域を、その建築物等に係る行為の制限の内容に応じて、次に掲げる区域(以下「眺望景観保全地域」という。)に指定することができるとされ、同項2号で視点場から視対象を眺めるとき、眺望空間にある建築物等の形態及び意匠を制限する区域として「近景デザイン保全区域」を定めることができるとされている。

 そして、同条例8条1項2号によれば、近景デザイン保全区域にあっては、視点場から視認することができる建築物等の形態及び意匠は、優れた眺望景観を阻害しないものとして別に定める基準に適合するものでなければならないとされる。

イ これを受けて、平成23年京都市告示第478号(京都市眺望景観創生条例に基づく眺望空間保全区域等の指定等)別表23-1は、本件敷地のうち、琵琶湖疏水の疏水境からの水平距離が30メートルの範囲について、近景デザイン保全区域に指定しており、建築物等の形態意匠についての基準は以下に示すとおりである。

【種別】
水辺の眺め

【対象地】
23-1 琵琶湖疏水

【視点場の位置または範囲】
川端通から疏水記念館前までの琵琶湖疏水に架かる橋(秋月橋、熊野橋、徳成橋、冷泉橋、二条橋、慶流橋及び広道橋)

【眺望景観保全地域の区域の種別】
近景デザイン保全区域(約16.0ヘクタール)

【眺望景観保全地域の区域の範囲】
川端通から疏水記念館までの琵琶湖疏水の疏水界又は当該疏水沿いの道路の境界線からの水平距離が20メートル又は30メートル以内の別図23に示す範囲

【基準】
1 建築物等は、琵琶湖疏水及びその周辺の樹木、建築物等によって一体的に構成される良好な景観を阻害してはならない。

2 建築物等は、次の各号に掲げる基準に適合するものでなければならない。
(1)  建築物の屋根は、勾配屋根又は屋上緑化等により良好な屋上の景観に配慮されたものとすること。
(2)  塔屋を設けないこと。
(3)  建築物等の各部は、河川沿いの樹木等や東山の山並みと調和し、良好な水辺の眺めを形成するものとすること。
(4)  建築物等の外壁、屋根等の色彩は、禁止色を用いないこととし、河川沿いの樹木等や東山の山並みとの調和に配慮したものとすること。
(5)  良好な水辺の眺めの保全及び形成に支障となる建築設備、工作物等を設けないこと。


ウ 上記基準に違反する点

(ア) 上記基準1について

 上記基準1は、琵琶湖疏水及びその周辺の樹木、建築物等によって一体的に構成させる良好な景観を阻害してはならないと定める。

 本件建築計画では、本件建物について、建物西側には開口部がなく、外壁面も垂直に高くそびえたつ舞台フライが設置されることになっており、当該舞台フライは、幅35メートル、奥行き23メートル、高さ30メートルにも及ぶ巨大なものである。

 本件建築計画における舞台フライは、勾配屋根によって琵琶湖疏水及びその周辺の樹木等と調和していた現状の良好な景観を大きく変えるものであり、琵琶湖疏水及びその周辺の樹木、建築物等によって一体的に構成させる良好な景観を阻害することは明らかである。
すなわち、本件建築計画は、上記基準1及び2(2)に違反する。

(イ) 上記基準2(1)について

 旧京都会館第一ホールは、当初よりホール部分の屋根が勾配屋根とされ、最も高い部分(27.5メートル)が疏水側(西側)地上からは見えにくいように設計されており、圧迫感を感じさせにくい構造となっていた。
しかも、旧京都会館第一ホールは、庇に近づくにつれて屋根の幅を狭める巧みな設計により、疏水側(西側)からは第一ホールの屋根と第二ホールの屋根がほぼ一直線上の同程度の高さ(約18メートル)に見えるなど連坦する第二ホールの屋根ともみごとな調和を見せており、京都会館の他の建物及び近隣の建物とも調和が保たれていた。

 これに対し、本件建築計画は、現状の勾配屋根を陸屋根に変更するものであるうえ、上記イのとおり、高さ30メートルの突出した舞台フライの部分を有する長大な箱形建築物が立ち上がることになり、疎水沿いからの景観は一変する。

 もちろん上記基準2(1)は、陸屋根であっても屋上緑化等によって良好な屋上の景観に配慮できる場合もあることを想定している。

 しかしながら、本件建築計画は外観上極めて重大な変化をきたすものであり、良好な屋上の景観に配慮されたものでないことは明らかである。

 したがって、本件建築計画は、上記基準2(1)に違反する。

(ウ) 上記基準2(2)について

 上記基準2(2)では、塔屋を設けないことが基準として定められている。
その趣旨は、建物から突出する形状の構築物は、琵琶湖疏水及びその周辺の樹木等や東山の山並みと調和せず、良好な景観を阻害するものであることから、これを許さないとするところにある。
この点、本件建築計画では、本件建物には、外壁面に垂直に高くそびえたつ舞台フライが設置されることになっている。当該舞台フライは、幅35メートル、奥行き23メートル、高さ30メートルにも及ぶ巨大なものであることから、かかる舞台フライは、その大きさ、形状に照らして、勾配屋根によって、琵琶湖疏水及びその周辺の樹木等及び東山の山並みと調和していた現状の良好な景観を大きく阻害する。
そうすると、本件建築計画における舞台フライは、「塔屋を設けないこと」とした上記基準2(2)に違反する。


(エ) 小括

すなわち、本件建築計画は、上記基準1及び2(2)に違反する。


(オ) 上記基準2(3)(5)について

 本件建築計画における建物西側の建物フライの大部分は、琵琶湖疏水の疏水界からの水平距離が30メートル(ただし、どの範囲が該当するかについては、本件建築計画の建物平面図にも明示されていないことから、詳細は不明である。)以内の近景デザイン保全区域内にあるところ、その大きさ、形状に照らせば、勾配屋根によって、琵琶湖疏水及びその周辺の樹木等及び東山の山並みと調和していた現状の良好な景観を大きく変えるものである。

 したがって、本件建築計画における建物西側の建物フライは、「河川沿いの樹木等や東山の山並みと調和」し「良好な水辺の眺めを形成するもの」とはいえず、「良好な水辺の眺めの保全及び形成に支障となる」ことが明らかである。

 よって、本件建築計画は、上記基準2(3)(5)に違反する。


(カ) まとめ

 以上より、本件建築計画は、平成23年京都市告示第478号(京都市眺望景観創生条例に基づく眺望空間保全区域等の指定等)23-1に示された形態意匠についての基準1、2(2)(3)(5)に違反することから、京都市眺望景観創生条例に違反するものである。

More
# by 2011-kyoto | 2014-10-17 00:06 | 2014/10
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-5
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-5

第6 高度地区違反

1 はじめに

 本件建築計画が憲法14条に違反し、違法無効であることは第1で述べたところであるが、本件建築計画は次の通り、都市計画法上の高度地区制限にも適合していないため、本件建築確認は取消しを免れない。


2 地区計画の内容

 本件建築計画では、建替後の京都会館第一ホールの高さは、最高部で約31mとなっている。
このような高さが許されるのは、本件敷地が都市計画法上15mの高度地区(都計法8条1項3号)に指定されていたのを、2012(平成24)年2月1日に計画決定された岡崎文化・交流地区地区計画により、建築物の高さの最高限度を31メートルとするように変更されたことによる。


3 地区計画の違法性

 しかしながら、本件敷地にあっては、地区計画の策定によって建築物の高さの最高限度を緩和することは違法である。以下、理由を述べる。

(1)新景観政策の実施

 京都市は2007(平成19)年9月1日、それまでの景観政策を大きく転換する「新景観政策」を施行して市街地について高さ規制を強化し、思い切った高さ・景観規制の強化を実施した。

 すなわち、都市計画の変更により、高度地区の変更(高度地区の計画書の策定)(以下「同計画書」という。)を行い、「歴史的市街地」「山すそ部の住宅地」「市街地西部および南部の工業地域」の3エリアを中心に高さ規制を強化、あるいは新規に実施し、高さ規制の段階についても、従来の10/15/20/31/45mの5段階から10/12/15/20/25/31mの6段階に変更した。特に、歴史的市街地については、ほぼその全域で高さが引き下げられ、わけても都心部の幹線道路沿道については45mから31m、その内部地区については31m(マンションでは11階建て程度)から15m(同5階建て程度)に引き下げた。

 このことは、新景観政策において、建築物の高さが都市景観に及ぼす影響が極めて重大であるとの認識を示し、これまでの景観政策が不十分であったとの反省の下に、市および市民が、将来の京都の景観を保全・再生するために、建築物の高さを低く抑えていくという決意を示したものと評価できる。


(2)特例許可制度

 その上で、同計画書において、①すぐれた形態・意匠を有する建築物、②公共性の高い建築物などで、市長が当該建築物が存する地域の良好な景観の形成及び周囲の市街地の環境に支障がないと認めて許可したものは、その許可の範囲内において、同計画書の規定による建築物の高さの最高限度を超えることができるとする「許可による特例」の制度(特例許可制度)を認めた。

 そして、特例許可制度の手続について、「京都都市計画(京都国際文化観光都市建設計画)高度地区の計画書の規定による特例許可の手続に関する条例」(特例許可手続条例)を制定した。
この特例許可制度においては、建築主は市長との事前協議を義務づけられ(3条)、協議が整った時は、建築計画書および概要書を市長に提出しなければならない(4条)とされる。また、市長は建築計画の概要を公告して、3週間縦覧に供しなければならず(6条)、建築主は、建築計画にかかる建築物の敷地の周辺住民に周知させる説明会を開催しなければならない(7条)とされている。そして、建築計画について意見を有する者は意見書を提出することができ、建築主にはこれに対する応答義務が課せられている(8条)。

 更に、市長の諮問機関として景観審査会が置かれ(13条)、景観審査会は、利害関係人に公開による意見の聴取を行うことができるとされる(19条)。


(3)本件敷地において、特例許可制度の手続を経ずに高さ規制を緩和することの違法性

ア 本件建築計画は、(2)記載の特例許可制度手続を経ることなく、地区計画の指定によって、従来の建築物等の高さの最高限度(15メートル)を緩和(31メートル)したことによるものである。

しかし、以下の理由から、本件において、高さ規制の緩和を京都市および平安神宮の所有地において地区計画によって行うことは、違法である。

イ 地区計画(都計法12条の4第1項1号)は、「建築物の建築形態、公共施設その他の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画」(同法12条の5第1項本文)として、都市の広域的な観点からの計画とは別に、それぞれの地域的特性を活かし、居住環境の整備を図ることを目的とした計画である。

 また、地区計画は、地域住民のまちづくりについての発意を契機として、市と市民が協働して勉強会を開催するなどして地区の問題点・課題を探り、それをもとに市民がまちづくりの具体的な内容の提案・要望をまとめ、そこから市民と市が協働で「地区計画の案の検討素案」を作成し、市民が合意形成をはかって「地区計画の素案」を作成するものである。市はこれをもとに「地区計画の原案」を作成して公告・縦覧に供する。これに対する関係権利者からの意見を踏まえて、市は「地区計画の案」を作成し、これを再度公告・縦覧に供する。これに住民および利害関係人は意見を提出することができる。その後都市計画審議会で審議し、都市計画決定がなされ、条例化もなされる。

 このように、地区計画は、地域住民の合意に基づいて、それぞれの地区の特性にふさわしい良好で質の高いまちづくりを誘導するための計画であり、「住民の合意」に基づいて作成されるべきものである。

 実際のこれまでの京都市の制度運用においても、事実上、当該地区の敷地の所有者の大多数(7割ないし8割)の合意が必要とされており、地区計画の作成過程において、地域住民の大多数によって、まちづくりの方向性が十分に議論され、高さ等の規制緩和の必要性と合理性が十分に吟味される。

 以上のとおり、地区計画においては、まちづくりの枠組みや具体的な規制内容について、地域住民の間で十分に議論がなされることにより、意見のすりあわせや利益調整がおこなわれることから、高さ規制についての特例許可制度を用いることが不要とされていたものである。

ウ しかしながら、本件敷地に関して、京都市が地区計画を指定する範囲は、地域住民が居住している地域を敢えて外して、京都市所有地および平安神宮の所有地に限定して指定していることから、京都市は地域住民の意見を聴取する機会を持たずとも地区計画を策定することができることになる。しかしながら、地域住民の居住している区域を敢えてはずして、地区計画を策定するという手法は、地域的特性を活かすという同制度の目的に明らかに反し、かつ、手続的にも地域住民の合意を経て制定されるというプロセスにも明らかに反している。

 このような当該地区を所有する所有者(=京都市)の意のままに建築物の高さ等の規制の緩和が許される地区計画が特例許可制度の適用を受けることなく認められれば、新景観政策の生命線である高さ制限は意味をなさなくなり、新景観政策の趣旨を没却させることとなる。

エ 特に京都市は、現在、「新景観政策の進化」をめざしており、現状では、公共施設について、建築計画の概要の公告・縦覧や説明会の開催等は免除されているのを、公共施設についても必要とするよう手続の見直しを図ろうとしており、京都市の所有地や一人地区における地区計画による高さ規制の緩和は、このような新景観政策の進化の流れに明らかに逆行するものである。

オ よって、本件敷地において、地区計画の指定による方法で建物の高さの最高限度を緩和することは手続法上許されないといわなければならないから、岡崎文化・交流地区地区計画のうち、高さの最高限度を定める部分は無効である。

カ 上記に加え、本件建築確認は、第4で述べた通り、イコモス20世紀遺産委員会、日本イコモス国内委員会、ドコモモジャパンなどの勧告意見にも違反しており、その違法・無効は顕著なものである。


4、結論

 したがって、本件敷地における建築物の高さの最高限度は、当初の高度地区の指定通り15mに制限されているというべきであるから、本件建築計画は高度地区(都計法8条1項3号)に違反するため、建築基準法6条1項の「建築物の敷地に関する法律」に適合するものとは言えないことより、本件建築確認は取消しを免れない。

■【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-5

2012-02-01 岡崎地域における都市計画の見直しについて-「京都市情報館」
新景観政策 リーフレット-「京都市情報館」
時を超え光り輝く京都の景観づくり - 京都市
2012-01-20 岡崎地域の高さ規制緩和を決定 京都市都計審、京都会館再整備へ-「京都新聞」
京都都市計画(京都国際文化観光都市建設計画)高度地区の計画書の規定による特例許可の手続に関する条例施行規則
都市計画法
京都都市計画(京都国際文化観光都市建設計画)高度地区の計画書の規定による特例許可の手続に関する条例
京都市景観審査会-「京都市情報館」
建築基準法

2014-05-09 京都会館審査請求裁決書-京都市建築審査会

【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-1
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-2
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-3
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-4
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-5
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-6
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-7

京都会館建築確認処分取消審査請求書-1
京都会館建築確認処分取消審査請求書-2
京都会館建築確認処分取消審査請求書-3
京都会館建築確認処分取消審査請求書-4
京都会館建築確認処分取消審査請求書-5
京都会館建築確認処分取消審査請求書-6
京都会館建築確認処分取消審査請求書-7
# by 2011-kyoto | 2014-10-17 00:05 | 2014/10
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-4
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-4

第5 不合理な再整備計画に至る経過

1 はじめに

 京都会館は,市民の文化芸術の振興を図るための拠点施設として,1960年4月にオープンし、長年、コンサート、集会、講演会や映画の上映会などに活用され,長年にわたり市民から親しまれてきた市民の共有財産である。したがって、一部企業のためにこれが利用されることはあってはならないし、その利益のために京都市が便宜を図ることも許されない。地元岡崎地域の住民はもとより、広く市民において議論を尽くし、その活用方法が決められなければならない。

 また、京都会館は、モダニズム建築における日本を代表する建築家・前川國男が設計監理を行った建築物である。建物は,日本建築学会賞,建築業協会賞,建築年鑑賞を受賞しており,京都市内に現存する貴重なモダニズム建築でもある。

 かかる京都会館は、現在、京都市の不合理な再整備計画により一部が破壊され、その文化的価値は著しく棄損されてしまった。また、新たな再整備計画は市民不在のまま一部企業からの意見により進められようとしている。

 ここでは、このような事態に至るまでの経緯について、国内外からの批判を無視して一部解体に至ったこと、また「世界水準のオペラ上演」という不合理な目的のために進められてきたことについて述べる。


2 文化遺産としての価値を有する京都会館再整備計画の不合理性

(1)京都会館の文化財的価値

 ア 「DOCOMOMO100選」に選定される

 京都会館については、近年、再評価の動きが顕著となり、2003(平成15)年には、戦後日本のモダニズム建築を代表する建築物として、「DOCOMOMO Japan100選」に選ばれた。

 DOCOMOMO Japan100選とは、DOCOMOMO Japanと日本建築学会という大きな組織により選定されたものであり、いずれも団体の長が名前を列記している。DOCOMOMO Japanは、近代建築の文化遺産としての価値と保存を提唱する国際的な非政府組織「DOCOMOMO」の日本支部である。

 DOCOMOMO Japan100選は、もともと1999(平成11)年にDOCOMOMO Japan20選からスタートし、2003(平成15)年に80個の建物を追加し、100選にしたものである。

 このうち8番の宇部市民館は、20選に選定された後、重要文化財に指定された。また、14番の広島ピースセンター、45番の世界平和記念聖堂も戦後近代建築で初めて重要文化財に指定された。59番の国立西洋美術館、15番の日土小学校についても、DOCOMOMO Japan20選、100選に選定された後に、重要文化財に指定された。

 以上のとおり、重要文化財は、DOCOMOMO Japan20選、100選の中から順次指定されている。したがって、DOCOMOMO Japan20選、100選は、重要文化財になるための暫定リストという扱いを受けている。とすれば、DOCOMOMO Japan20選、100選に選定された建物はいずれも重要文化財の暫定リストにふさわしい建築物であり、DOCOMOMO Japan20選、100選において62番の京都会館も、重要文化財に選定される可能性が非常に高い。このことは、平成23年6月3日付京都新聞において京都市の文化財の審議会委員・京都工芸繊維大学の石田潤一郎先生が、京都会館が将来的に国の重要文化財になることを疑う建築関係者は一人もいない旨明言されていることからも明らかである。


イ イコモス20世紀遺産に関する委員会警告予告

 2012年8月13日付で、イコモス20世紀遺産委員会は、京都市長に対し、京都会館再整備計画に関する意見書を送付した。

 イコモス20世紀遺産委員会意見書は、20世紀の日本における最も重要な建築家のひとりである前川國男の代表作品の一つとして京都会館の文化財としての重要性を位置付けたうえで、現在、京都市が再整備計画に示す建て替えは、文化財としての価値に対して「取り返しのつかない害を及ぼし、美と調和を破壊する」として危機遺産警告の発令を予告し、計画の見直しを求めた(「イコモス20世紀遺産に関する委員会警告予告」)。

 同警告予告は、京都会館の価値につき、京都会館を、20世紀の最も重要な日本人建築家の一人である前川の最も重要な作品であり、日本の近代建築のもっとも重要な作品の一つであり、京都会館が将来にわたって遺されるべき「文化遺産」であると評価し、第1ホールの解体についての警告予告を行った(甲8,9)。


ウ 日本イコモス国内委員会による京都会館再整備計画に関する見解

 日本イコモス国内委員会(委員長 西村幸夫  東京大学副学長)は、平成24年9月8日の拡大理事会で審議のうえ、9月10付で、京都市長に対し、「京都会館再整備計画に関する見解」書を送付した(日本イコモス見解」、甲10)。日本イコモス見解も、京都会館が20世紀の日本を代表する建築作品の一つであると評価し、計画の見直しを求めた。

 イコモスはユネスコの世界文化遺産に関する諮問機関として周知の世界的NGOであり、20世紀委員会は、イコモスの中で、20世紀の建築物についても、きちんと評価しなければならないということで、設立されたものである。世界遺産との関係で言えば、既に20世紀遺産としては15件の登録例があり、シドニーのオペラハウスは1973(昭和48)年の建築で、京都会館(1960(昭和35)年)よりも13年も新しい建築である。先述のとおり、マドリッド・ドキュメントを2011(平成23)年6月に採択している。


エ 日本建築学会による保存要望書

 日本建築学会が、2011(平成23)年3月11日付けで、最高責任者である学会長名で保存要望書を提出している(甲13)。日本建築学会が学会長名で保存要望書を出すのは、取り壊しの問題が生じた東京都千代田区の明石小学校という建物に続き、二例目という異例のことである。
また、当該保存要望書の内容としても、京都市長に対して、京都会館という貴重な建物の持つ高い建築的価値・歴史的価値・都市環境的価値を十分尊重することを求め、かけがえのない文化遺産が永く後世に継承されるよう、格別の配慮を求めるというものである。


オ 京都弁護士会による意見書

 京都弁護士会(吉川哲郎会長)は、既に、「岡崎地域活性化ビジョンの実現に向けた都市計画制限等の見直し素案」に対する意見書(2011(平成23)年10月21日、甲22)、及び「京都会館第一ホールの改修及び岡崎地域の景観保全に関する意見書」(2012(平成24)年5月18日、甲23)を公表し、また2012(平成24)年9月7日、「京都会館第一ホールの解体工事の着手中止を求める会長声明」を出すに至った(甲24)。同会長声明は、京都会館の建物価値を評価し、京都会館の解体工事の着手中止を強く求めている。



(2)国際的警告をも蹂躙した第1ホール解体工事の強行

ア DOCOMOMOJapanの再度の意見書

 新たな第1ホールに関する基本設計が京都市自身が設置した「建物価値継承検討員会」の提言さえ無視して、変更なく公表されたことに対し、DOCOMOMOJapanは、改めて第1ホール解体を中止することを求め、加えて基本設計が京都会館の建物価値を継承するものになっているかを合理的方法に基づいて再検証する透明性のある委員会を設置して、計画及び基本設計の見なおしを行うことを求める意見書を2012(平成24)年7月27日に京都市長に提出した(甲17)。

 同意見書の中では、2011(平成23)年6月にイコモスの20世紀遺産に関する学術委員会において採択された近代建築物保存についての国際的ガイドラインです示されているマドリッド・ドキュメントの遵守を強く求めている。

 そこでは、生きている文化遺産・使われる建物(リビング・ヘリテージ)として、歴史的建造物遺産の文化的価値を継承することを目的に、機能変化を含む改修などの変化も視野に入れながら、その資産のインテグリティ(完全性)を喪失させないことのガイドラインが示されている。

 手続的には、まず、継承しようとする建物の価値を明らかにしたうえで、新たな要求性能を検討し、それが継承すべき価値を損なわないかの確認を具体的かつ精緻に行いながら、最小限の改修を施す計画を合理的方法論に基づいて策定することが改修を伴うリビング・ヘリテージにおいて重要である。

 インテグリティ(完全性)とは、その建物がその建物であることに必要な統一性のことであり、京都会館第に当てはめれば、寺院建築を思わせる勾配屋根と水平の大庇、そしてそれが、疏水沿い(西側)からの景観や、武徳殿側(北側)からの景観を始め、周囲の景観と調和していることである。


イ イコモスの20世紀遺産に関する学術委員会の警告予告の発令 

 上記のとおり、同年8月13日付で、イコモスの20世紀遺産に関する学術委員会(以下、「20世紀遺産委員会」という)から京都市長宛に警告予告の文書が出されるに至った。

 20世紀委員会はこれまで、2007(平成21)年のストックホルム図書館、2012(平成24)年に入って香港政庁についで、3例目の遺産危機警告(ヘリテージ・アラート)の予告を発令した。

 同委員会は、京都会館の価値について精査したうえ、「前川國男の素晴らしい建築作品であり、敬意を払われ、遺されるべき文化遺産です」と認定し、今回の計画自体がその美を破壊するものであると警告している。
これまで、ストックホルム図書館の件ではストックホルム市は取り壊し計画を取りやめ、保存・改修に変更している。


ウ 日本イコモス国内委員会からの見解書及び質問書

 これを受けて日本イコモス国内委員会(委員長は西村幸夫東京大学副学長)からも同年9月10日には見解書(甲10)が、9月24日には質問書(甲11)が提出されている。

 ところで、インテグリティに関し、京都会館の再整備については、第1ホールの形状に大きな変更を加えるものであるが、京都市はインテグリティ確保のための検討自体をそもそもしていないのである。

 日本イコモス国内委員会が、京都市に対し、インテグリティの確保に関し、強い懸念を示す質問書を送付したことは当然である。


エ 第1ホール解体の強行

 京都市は、これらの世界的な権威ある専門家集団の警告を受けて、京都会館第1ホールの解体を中止し、日本イコモス国内委員会などのサポートを受けて保存・改修案の再検討を行うべき注意義務があった。

 しかしながら、京都市は、同年9月10日の解体工事の着手にとどまらず、10月26日からは京都会館第1ホールの躯体解体工事を強行するという、EU諸国を初め発達した文明国においては到底考えられない文化財の破壊を強行したのである。


(3)日本イコモス国内委員会からの新たな意見書の送付 文化遺産喪失の危機

 日本イコモス国内委員会は、2013(平成23)年6月15日付けで、京都市長に対して、新たな意見書を送付している(甲7)。

 ここでは、この間の議論を踏まえ、日本イコモス国内委員会が、「京都会館再整備の議論を始めるまえに、その価値の所在を具体的に明示しなかったことに起因していると判断するに至りました」と述べ、京都会館再整備計画に対して、根本的かつ本質的な問題を提起している。

 そして、京都会館の建物価値について、「継承すべき価値が部分的なものに留まり、京都会館のインテグリティ、総体としての価値継承の議論が不明瞭なものとなっています。」「マドリッド・ドキュメントに照らし合わせてみても、京都会館のインテグリティ、総体としての価値の担保は経緯を精査する限り証明されているとは言い難いものとなっています」と述べている。

 これは、現在の京都会館再整備計画が、京都会館の建物価値・インテグリティを喪失させるものであることについての強い懸念が示されたものであり、京都会館がリビング・ヘリテージとしての価値を喪失する危機に直面していることを警告するものである。

 まさに、世界的な文化遺産の喪失の瀬戸際にあるというべきなのである。


(4)小括

 以上のとおり、現在の京都会館再整備計画(本件建築計画)が、京都会館の建物価値を継承し、世界に誇るべきリビング・ヘリテージとして残していくに足りるものではないことは、一層明らかになっている。
かかる不合理な再整備計画をそのまま進めることは、文化・歴史都市としての京都市の品格を自ら貶める行為であり、恥ずべき行為であると言わなければならない。


2 実現不可能な「世界水準のオペラ上演」を目的として再整備計画が作成された経緯

(1)京都会館再整備の基本的な方向性に関する意見書(2006(平成18)年12月策定、甲18)において、保存の方針が示されていたこと

 京都市は、2004(平成16)年度に策定した京都市基本計画第2次推進プランにおいて「京都会館の再整備構想の策定」を政策項目として掲げ、同年7月には、年次計画を策定した。

 そして、平成17年度に、京都会館再整備検討委員会設置要綱を策定し、「京都会館再整備検討委員会」を設置した。

 同委員会では、京都会館の建物の歴史的価値、現在の稼働状況や利用用途、ハード面の劣化の状況、他事例との比較調査、機能面における利用者及びプロモーターからのニーズ調査等を踏まえ、【A(地上躯体部分の増築なしの回収)】、【B(舞台部分等を拡張する改修)】、【C(建替え)】の各案を比較検討した。なお、B案の増築も、第1ホールの舞台・楽屋部分、第2ホールの舞台袖・ロビー部分に一部増築する程度の想定であった。

 そして、平成18年12月に同委員会が策定した「京都会館再整備の基本的な方向性に関する意見書」(以下、「平成18年意見書」という)においては、「総合評価」として、「以上の事項を総合的に勘案した結果、委員会としては、現在の京都会館の建物を保存・継承しながら、施設水準の向上のために必要となる機能の再整備を行う【A】案もしくは【B】案を中心として、今後詳細な再整備の構想・計画を立案していくべきと判断する。」と結論付け、保存の方針が示されていた。


(2)岡崎地域活性化ビジョン検討委員会において、突如、「世界水準のオペラ上演」を実現する再整備計画を進める方向性が示されたこと

 ところが、2010(平成22)年7月、京都市が設置した「岡崎地域活性化ビジョン検討委員会」が、「京都会館で世界水準のオペラ上演」を実現できるように再整備する方針を示した。「岡崎地域活性化ビジョン検討委員会」では、京都会館の再整備を中心に議論はなされておらず、上記平成18年意見書を踏まえたものではなかった。

 そして、2011(平成23)年5月、京都市は、「岡崎地域活性化ビジョン」において、「「京都会館」は,岡崎地域活性化の核として,世界一流のオペラの開催が可能となる舞台機能の強化をはじめ,会議棟や中庭,二条通沿いをお洒落なカフェ・レストランなど賑わい空間とするための再整備を進める。」との方針を示したのである。


(3)京都会館再整備基本計画において、「世界水準のオペラ上演」を実現することを基準にして、舞台内高さ、舞台奥行きが定められ、第1ホールの建て替え案を決定したこと

 そして、同年6月には、京都市は、「京都会館再整備基本計画」(甲19)を策定し、「第1 ホールについては,オペラ,バレエなどに代表される総合舞台芸術も可能な舞台を備えた多目的ホールとして整備する。」と決定した。

同「基本計画」36頁の表が、極めてわかりやすく示しているが、

舞台奥行
 15m 吹奏楽やポピュラー音楽の公演が可能な水準
 18m オペラの上演が可能な舞台水準
 20m 世界水準のオペラが巡回する日本のホールとほぼ同程度の舞台水準
舞台内高さ
 20m 多目的ホールの最低水準
 24m オペラの公演も可能な舞台水準
 27m 世界水準のオペラが巡回する日本のホールとほぼ同程度の舞台水準

との整理がされており、舞台内高さ及び舞台奥行を決定したのは、「世界水準の」オペラ上演という基準である。

 37頁のA案B案の比較においても、舞台奥行20m、舞台内高さ27mを実現できるのは改修案Bであることが示され、結局B案が採用さており、世界水準のオペラ上演を目的として建て替え案が採用されたことは明らかである。

 そして、京都市は、「世界水準のオペラ」の定義については、「海外では、ミラノ・スカラ座、英国ロイヤルオペラ、フィレンツェ歌劇場、メトロポリタンオペラ、ベルリン歌劇場、パリオペラ座、及びウィーン国立歌劇場など、歌劇場自らが制作を行い、海外から招聘され、引越し公演を行っているオペラを想定。 国内ではは新国立劇場制作のオペラのように恒常的に自主制作され、公演を行っているオペラを世界水準と考えている」と説明している。


(4)「世界水準のオペラ上演」が敷地条件から困難であること

 しかし、京都市は、平成22年3月、「京都会館再整備基本構想素案報告書」(以下、「平成22年素案」という。甲20)には、明らかにこれと矛盾する内容が記載されている。

 すなわち、オペラやバレエの来日公演は「大規模多面舞台を備えたホールに集中」していると指摘し、大規模多面舞台については「オペラ等の上演が可能な、主舞台の袖や奥に舞台転換可能な大型の舞台を備えたホール」と説明をしたうえ、「オペラは、京都会館では敷地条件から、最新ホールのような大規模多面舞台の確保は困難である。バレエやミュージカルでの利用を中心に、第1/第2ホールそれぞれ可能な範囲でニーズに応えていく必要がある。」(16頁)と記載しているのである。

 したがって、京都会館における世界水準のオペラ上演は、第1ホールの形状如何に関わらず、「敷地条件」から困難であり、また他の大規模多面舞台を有するホールとの競合の観点から、ニーズに応えられないことが指摘されていたのである。

 このことは、住民らの京都会館の解体差止請求を退けた不当な京都地裁判決(平成24年(行ウ)3号)においても、「世界水準のオペラなるものが実施できない舞台規模である」と指摘されているところであり、京都市も訴訟を含め正式な場面においては、オペラ上演目的の再整備であるとは主張できなくなっている。

 しかし、この「オペラ上演」については、マスコミでも報道され、現在もなお市民の中ではその印象が強く残っている。京都市は、あたかも「世界水準のオペラ上演」が可能なホールを整備するかのうように、市民を騙して再整備計画を進めたのである。


(5)小括

 以上のとおり、本件建築計画は、合理的な検討を経ずに策定されたものであり、上記建物価値の喪失に見合うだけの利益が得られることもなく、極めて不合理なものであると言わざるを得ない。

■ 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-4

More
# by 2011-kyoto | 2014-10-17 00:04 | 2014/10