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2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-3
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-3

第4 原告適格

1 はじめに

本件原告らには、下記のとおり、原告適格がある。


2 本件敷地周辺地域に居住する者

 本件敷地周辺地域は、都市計画法上15メートルの高度地区(都市計画法8条1項3号)に指定されており、また、新景観政策は、景観利益の重要性にかんがみ、将来の京都の景観を保全・再生するために、建築物の高さを低く抑えることを目的として施行されている。本件敷地周辺地域に居住する者は、建築物の高度制限を自ら遵守することにより、東山の眺望や岡崎地域の豊かな景観を守り、日常的に享受することを実現してきた。
しかし、本件建築確認により、本件敷地には、高さ31メートルの直方体が建築されることとなり、豊かな眺望や景観が阻害されることとなる。

 また、本件建築計画に基づく建築工事による騒音や振動、工事車両による交通量の増加等の生活環境への影響を受ける立場にあり、また建物完成後は来館者の増加、交通量の増加、中庭での屋外イベントによる騒音などの生活環境への影響を受ける立場にある。

 したがって、本件敷地周辺の地域に居住する地域住民は、本件建築確認により、現在享受する景観利益や生活環境に多大の不利益を受ける者であるため、原告適格がある。


3 そのほかの京都市住民

 新景観政策により強化された高度規制が課されている京都市に居住する住民は、その高度規制を守り、自らの財産権制限を受忍することによって、京都市の豊かな景観に対する利益を享受するという互換的利害関係を有している。そして、不合理な理由により、また恣意的な判断により規制を逃れる者がいると、景観政策に対する信頼は容易に破壊されてしまうために、規制を受ける者が景観を維持する意欲を失い、景観破壊が促進される結果を生じやすい。すなわち、規制を受ける者の景観に対する利益を十分に保護しなければ、景観の維持という目的の達成自体が困難になるため、特定の景観を享受する利益については、個々人の個別的利益としても保護されるべきである(互換的利害関係)。

 したがって、本件敷地周辺に居住する住民でなくとも、京都市に居住する住民については、公平に規制を受ける権利があり、やはり岡崎地域の景観に対する利益を有しており、これが保護されなければならず、同住民は、本件建築確認により、景観利益に多大の不利益を受ける者であるため、原告適格がある。


4 小括

 以上のとおり、本件原告に、不服申し立ての利益ないし適格があることは明らかである。

■【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-3

京みやこの景観ガイドライン
2012-06-05 京都会館再整備工事に係る基本設計について-「京都市情報館」
京都市の新景観政策 特例の公平・公正、議論を-「京都新聞」
事件報告 京都会館と新景観政策を守れ!-まきえや2012年秋号
新景観政策 リーフレット-「京都市情報館」

【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-1
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-2
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-3
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-4
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-5
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-6
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-7

京都会館建築確認処分取消審査請求書-1
京都会館建築確認処分取消審査請求書-2
京都会館建築確認処分取消審査請求書-3
京都会館建築確認処分取消審査請求書-4
京都会館建築確認処分取消審査請求書-5
京都会館建築確認処分取消審査請求書-6
京都会館建築確認処分取消審査請求書-7
# by 2011-kyoto | 2014-10-17 00:03 | 2014/10
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-2
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-2

第3 原告らの提訴への想い

1 はじめに  

 京都会館は、長年にわたり市民の文化ホールとして親しまれて来たものであり、東山の景観とよく調和した建築物として歴史的文化的価値が極めて高いことは京都市自身が認めているところである。そうした極めて価値の高い京都会館第一ホールの解体強行の上に成り立つ「新京都会館」の建築にあたり、「京都会館の保存・改修」を望んできた地域住民、京都市民、日本全国から寄せられた1万2千筆を超す署名に込められた声が反映される形で、その建築計画に生かされるべきであり、多様な声に応えないまま建築確認がなされたことに対して、2013年12月京都市建築審査会に対して不服審査請求を行った。2014年5月、建築審査会はその請求を棄却、却下する裁決を行った。その裁決は著しく妥当性を欠くものと判断し、提訴するものである。

 京都会館を含む岡崎公園一帯は近隣住民にとっては、豊かな自然と触れ合える場であり、公園から眺める伸びやかな東山の景観とともに日々の生活を送ることによって心の安らぎ、生活の充実感を覚える場である。また、近隣の保育園、幼児園の園児たちにとっては、安心・安全な散歩道や自然と触れ合える遊びの場としても活用されている。さらに、学齢期の子どもにとっては、緑豊かな放課後を過ごし東山の眺望のもとでのびのびと成長できる場である。

 市民にとっても、疏水小道の散策、文化・スポーツ施設を訪ねる中で出会う豊かな自然と東山の眺望は、心癒され明日への活力につながる。国内外から観光に訪れる人々のとっても、豊かな自然と伸びやかな景観は大きな魅力であり、テレビのインタビューに対して「ここは見晴らしがよくてとてもいい」と述べているのは象徴的であり、高く評価されるところである。

 京都会館は岡崎公園と一体化した建築空間を形成することで、公園一帯の眺望・景観や自然と調和した価値の向上に寄与してきた。

 こうした岡崎公園一帯のかけがえのない価値を守り、次の世代に残していくのが私達の願いであり、今を生きる私たちに課せられた使命でもあると考える。


2 京都市は地域住民、市民への説明責任を果たしてきたか

 2011年(平成23年)6月27日「岡崎活性化ビジョン・京都会館再整備」について、原告等の左京区長や京都市担当課などへの申し入れや岡崎自治連の要望を受けて京都市は説明会を開催、反対意見が続出するなかで終始した。

 京都市は2013年7月31日「新京都会館(ロームシアター京都)建築工事説明会」を行ったが、あくまで「工事説明」が目的であり、「新京都会館」が一体どのようなものになっていくかについては、冒頭の概要説明のみにとどまり「新京都会館」についての説明会は行わないと表明した。これをもってしても住民、市民への十分な説明がなされたとは到底いえるものではない。

また、再整備土壌掘削工事にともない発生した「土壌汚染発現」についても未だ説明会は開かず、工事現場に経過を記した紙面を貼付しているに過ぎない。 必要な情報を地元住民や関係市民に説明しようとする姿勢はさらに無い。


3 京都市は住民・市民の樹木伐採の中止の声や、交通安全への懸念に対し、責任を放棄していないか

 上記「工事説明会」において、住民から京都会館東側に位置する貴重な在来種の大きな柳の木を伐採しないよう繰り返し求められたのに対し、市側は伐採予定を変更しないとの返答の上、他の既存樹木の保全についても明言しなかった。(その後大きな柳の木は無残な姿で伐採された。)

 また、「新京都会館」の工事と同時に進行が想定される周辺地域でのいくつかの大規模マンションや飲食施設の新築工事等の状況把握すら行われていないことが明らかとなった。現在「新京都会館」周辺では、当初から懸念されたように相次いで大規模施設の解体・新築工事が「新京都会館」建築工事と同時進行し、騒音・粉塵・生活道路への大型工事車両の通行など住民生活の安全・安心に大きな悪影響を与えている。


4 建築確認手続きの問題点

 京都市は新京都会館の建築確認がおりていない2013年9月23日に起工式を行ったと報道された。その後設置された工事現場の標識によれば、建築主が京都市長、建築確認審査を行ったのは京都市建築主事となっている。住民、市民、専門家による異論が多数ある公共建築物の建築確認手続にあたり、建築主とその審査する側が同じ京都市であることは、極めて重大な問題をはらんおり、そのチェック体制が問われる。


5 建築審査会「裁決書」の審査請求人適格について

原告は、単に建築基準法が定める利害関係だけではなく、次項で述べる景観・住環境について広義に主張するもので、市中でよく論議される日照権などとは本旨を異にする。

 また京都市民は新景観政策によって景観保護のため高さ規制などで私権が制限されてもそれを受け入れているが、市所有地で特例が認められるのは、法のもとでの平等の原則に著しく違反すると考える。その意味においても請求人適格は広義に解釈すべきものと考える。


6 高さ31mとされる直方体の大ホールで果たして景観は守れるのか

 建築予定の大ホールは高さ31mの直方体とされている。周辺の高さ規制は15mであり、近年疏水西側に建設されたマンションなどもその規制のもとで建てられた。これは東山の景観・眺望を守り保護するための規制である。15mの高さ規制のもとに建てられたマンションの東側に建てられる大ホールの高さ31mがなぜ京都市の建物だから特別に許されるのか。そのことにより、疏水西側から望む東山の景観は阻害されないのか。
また、直方体の形状は東山のなだらかな山並みと調和するのか。こうした配慮を欠く大ホールの設計そのものが京都市が推進すべき「景観保護」と大きく矛盾し、行政の公平性への不信が強まっている。


7 今後の「岡崎公園活性化計画」の悪しき前例となる懸念

 京都会館再整備事業を含めて、「岡崎活性化ビジョン」に基づく様々な計画が京都市により進められ、また進められようとしているが、2011(平成23)年6月に地元岡崎で行われた京都市による説明会においても、住民からの「静かな岡崎を壊さないでほしい」という圧倒的多数の声が述べられた。その不安や懸念はその頃よりさらに広がっている。美術館をはじめ岡崎公園にある京都市の所有施設が今後どのように再整備されるのか、その際今回の京都会館再整備に見られるような「環境・景観・まちづくり」への配慮を欠くやり方、住民、市民に知らされないままで進められるのではないかという不安が多数聞かれるのは当然である。この間、京都市はこうした住民、市民の不安に応える手立てをとって来なかったことを反省し、今回の京都会館の建築計画及び今後の「岡崎活性化計画」に住民、市民参加のしくみを創設した上で、その声を生かし、修正、変更すべきである。


8 賑わい施設の計画・運営を一部事業者に委ねることで周辺の店の営業はどうなるのか
 「新京都会館」の建築概要の説明にあたって、新たな「賑わい施設」の設置が含まれている。「その施設の運営を一部事業者に委託する」と伝えられているが、そうした「賑わい施設」が始動することにより、周辺の店舗にどのような影響を及ぼすのか全く考慮されていない。また、周辺店舗には何がどのようになるのか詳細が知らされないまま現在に至っている。建築概要にはレンタサイクルなどの活用が計画されているとの記載があるが、周辺道路は今でも混雑しており、住民にとって交通安全の面から大きな危険を感じている。こうした新京都会館の運営にかかわる問題も十分な情報公開が行われず、もっとも影響を受ける周辺店舗や住民の声を生かす場も保障されていない。新京都会館の運営にあたっても情報公開と周辺店舗、住民参加の場が望まれる。


9 京都市建築審査会の裁決にかかわって

  建築審査会の裁決の結論は不当なものである。しかし、「裁決書」には異例の付言をつけ、京都市が新京都会館建設にあたり、「京都市は自らが建築する建築物に、より厳しく律する必要がある。そうであれば、可能な限りにおいて自らが建築する建築物においては例外的な扱いをすべきでないのはもちろん、新景観政策の理念が優先するということが求められる」と述べた上で「新景観政策を維持する以上はその理念が本件地区計画を契機に崩れることのないように、今後も十分に説明責任を果たす必要がある」としている。こうした付言にもかかわらず、住民、市民への十分な説明は現在の段階に到っても行われておらず、京都市建築審査会の付言にすら向き合おうとしない京都市の姿勢には多くの不信の声が聞かれる。


10 住民、市民、専門家の声を広く生かした「新京都会館」の建築を

 私達はこの間の経過の中で、「京都会館」が東山のなだらかな山並みや周辺の自然・景観との調和を図った前川國男の名建築であり、その価値は保存・継承されるべきものとしてイコモス20世紀遺産委員会、日本イコモス、ドコモモジャパンなど権威ある団体からも京都市への厳しい警告や指摘があったことを知った。こうした国際的にも国内的にも保存を求められた建物価値の可能な限りの復元や、大切にすべき自然保護、景観保全との整合性のある方向で、京都会館再整備に伴う総事業の見直しが行われるべきである。

 以上述べてきたように、「新京都会館」建築については重大な問題点が多数あるのは明らかであり、「憲法に定められた法の下での平等」の原則、さらにその下で定められた法令をもとに適切な審理が行われ、京都市建築審査会の裁決を取り消し、「新京都会館」建築確認許可の取り消しを求めたいというのが、提訴に至った原告らの想いである。
その3へつづく

■【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-2

2013-07-31 『京都会館再整備工事』工事説明会の開催について-「京都市」
2013-07-31 『京都会館再整備工事』工事説明会 配布資料-「京都市」
2012-06-05 京都会館再整備工事に係る基本設計について-「京都市情報館」
2011-06-24 「京都会館再整備基本計画」の策定について-「京都市情報館」
2013-09-23  ロームシアター京都再生へ起工式 16年オープン-「京都新聞」
2011-06-29 市の岡崎地区活性化ビジョン 住民「静けさ維持を」-「京都新聞」
2011-05-02 「岡崎地域活性化ビジョン」ができました!-「京都市情報館」
2012-08-26 京都市長宛:「イコモス意見書」京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」
2013-06-15 京都市長宛ての意見書(日本ICOMS第14小委員会)-「JAPAN ICOMOS INFORMATION no.3/2013」
2012-08-08 京都会館再整備基本設計に対する意見書-「DOCOMOMO Japan」 

2014-05-09 京都会館審査請求裁決書-京都市建築審査会

2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-1
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-2
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-3
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-4
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-5
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-6
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-7

京都会館建築確認処分取消審査請求書-1
京都会館建築確認処分取消審査請求書-2
京都会館建築確認処分取消審査請求書-3
京都会館建築確認処分取消審査請求書-4
京都会館建築確認処分取消審査請求書-5
京都会館建築確認処分取消審査請求書-6
京都会館建築確認処分取消審査請求書-7
# by 2011-kyoto | 2014-10-17 00:02 | 2014/10
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-1
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-1

2014年10月17日
京都地方裁判所 御中

訴 状

原告 別紙原告目録記載の通り(○○○○ら321名)
被告 〒604-8571
京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488番地
被 告 京都市
処分庁 京都市建築主事中山雅永

建築確認処分取消請求事件

 原告ら代理人               
 弁護士 中   島       晃  
 同   飯   田       昭  
 同   藤   井       豊  
 外19名(別紙代理人目録記載のとおり)
 (送達場所)
 〒604-0857
      京都市中京区烏丸通二条上る蒔絵屋町280番地
      インターワンプレイス京都4階 京都第一法律事務所
  TEL 075-211-4411 ・ FAX 075-255-2507 
  弁護士  藤  井   豊
請求の趣旨

1 京都市建築主事中山雅永が、平成25年9月30日に行った建築確認(第H25計認建築京都市00043号)を取消す

2 訴訟費用は被告の負担とする

との判決を求める。
請求の原因

第1 取消しの対象となる建築確認

建築確認年月日 平成25年9月30日
建築確認番号   第H25計認建築京都市00043号
処分を行った者 京都市建築主事中山雅永
建築主 京都市長門川大作
第2 はじめに -憲法14条違反-

1 新景観政策に逆行する地区計画による高さ制限の緩和

(1)京都会館の敷地(以下、本件敷地という)は15mの高度地区に指定されており、ここでの建築物の高さの最高限度は15mに制限されている。

 京都市において、こうした建築物の高さ制限が市街地全域で強化されたのは2007(平成9)年3月のことであるが、それに至る経過を振りかえってみると、2004(平成6)年6月に成立した景観法の施行を受けて、京都市において、これまでの景観政策の見直しが進み、2006(平成8)年11月に出された「景観づくり審議会」の最終答申を受けて、京都市は「時を超え光り輝く京都の景観づくり」をめざす新景観政策を発表し、市民的な論議を経て、上述のとおり翌2007年3月に新景観条例の制定にこぎつけたものである。


(2)ところが、京都市は、本件敷地において、こうした新景観政策によって定められた景観保全のルールを自らの手で否定し、これと逆行する高さ制限の緩和を行うために、2012(平成24)年2月、地区計画によって建築物の高さの上限を31mに引き上げることを決定した。

 ところで、高さ制限を31mに引き上げるという上述した地区計画の決定は、京都会館の第1ホールの改築によりホールの高さが30mを超えることから、上述した第1ホールの改築計画にあわせて地区計画による高さ制限をそれまでの15mから31mに大幅に緩和したものである。

 しかし、このような個別の建築物の建築計画にあわせて、地区計画によって高さ制限を緩和するという手法は、地区計画制度の本来の趣旨を大きく歪めるものであって、地区計画制度の明らかな濫用といわなければらない。

 しかも、このような個別の建築物の改築にともなって、高さ規制を例外的に緩和する必要が生じた場合には、新景観政策にもとづいて制定された「高度地区の特例許可の手続に関する条例」にしたがって、許可を受けるための手続をとれば足りるのであって、地区計画による高さ制限の緩和という手法をとる必要がないことはいうまでもない。

 したがって、この点からいっても、本件敷地において、地区計画を用いて上述のように高さ制限を緩和するというやり方は、明らかに地区計画制度の濫用といわなければならない。


(3)さらに、京都会館は、京都市が設置・管理し、京都市が所有する公有財産であるが、同時にまた京都市は都市計画法にもとづき都市計画を決定する権限を有している。本件敷地における建築物の高さ制限の緩和は、建築物の所有者である京都市が、京都会館の改築にあたって上述した「高度地区による特例許可の手続に関する条例」の適用を回避するために、自ら都市計画決定権限を有するという地位を利用して、本件敷地の高さ規制を大幅に緩和したものであるから、地区計画制度の恣意的な濫用であり、明らかに平等原則違反するものといわなければならない。

 したがって、本件敷地の高さ制限を31mに引き上げた地区計画の決定そのものが、著しく正義に反するものであり、法の下の平等を定めた憲法14条に違反し、違法無効であるといわなければならない。以下、この点について述べる。


2 互換的利害関係を破壊する地区計画による高さ制限の緩和

(1)新景観政策にもとづいて、歴史都市京都の良好な景観を維持、保全していくためには、地域の景観を構成する空間の利用者全員が相互に、景観維持のために定められた高さ制限等の共通のルール(規制)を尊重し、遵守していくことが求められている。このように景観の維持・保全のためには、空間の利用者全員が相互に共通のルールを尊重、遵守しなければならないという関係にあることから、空間の利用者は相互に互換的な利害関係によって結ばれているということができる。

 この点に関して、東京都国立市の通称大学通りに面して建築された高層マンションが建築条令に違反するとして、違反部分について住民が除去命令を求めた事件で、2011年12月4日、東京地裁は次のような注目すべき判決を下している(判例時報1791号3頁以下)。

 「景観は、通りすがりの人にとっては、一方的に享受するだけの利益にすぎないが、ある特定の景観を構成する主要な要素の一つが建築物である場合、これを構成している空間内に居住する者や建築物を有するものなどのその空間の利用者が、その景観を享受するためには、自らが景観を維持しなければならないという関係に立っている。しかも、このような場合には、その景観を構成する空間の利用者の誰かが、景観を維持するためのルールを守らなければ、当該景観は直ちに破壊される可能性が高く、その景観を構成する空間の利用者全員が相互にその景観を維持・尊重しあう関係に立たない限り、景観の利益は継続的に享受することができないという性質を有している。」

 このように互換的な利害関係とは、良好な景観を維持保全し、これを享受するためには、高さ規制などの景観維持のための共通のルールを空間の利用者全員が平等に受け入れて、これを遵守していくことが必要であるという関係にあることを示すものにほかならない。

 いいかえれば、景観ルールの平等が確保されることの維持保全=景観ルールの平等性は、景観の維持保全とその平等な享受を実現するための不可欠の前提条件となっている。


(2)ところで、本件敷地において、京都市が地区計画によって、高さ規制を15mから31mに大幅に引き上げたことは、これまでこの地域一帯に定められた高さ制限の共通のルールの適用を、京都市が所有する本件敷地についてだけ除外して、新しく特別のルールを設けて、建築物の高さ制限を緩和しようというものである。

 しかし、こうした特別ルールをつくることは、景観維持のための共通のルールを定めて、空間の利用者全員が相互に共通のルールを尊重、遵守するという互換的利害関係とは明らかに相容れないものである。いいかえれば、地区計画による高さ制限の緩和は、京都市の所有する敷地についてだけ、共通ルールではない特別のルールを適用しようという点で、景観の維持・保全のためのルールの平等性を真っ向から否定するものにほかならない。


(3)近代国家は、国王と臣民、領主と農民、権力者と市民とが同一のルールや規制に服する、いわゆる法の支配もしくは法の下の平等が確保されることによって、はじめて成立するものである。

 もし、権力者が市民と共通のルール(規制)には従わずに、自分にだけ都合のいい特別ルールをつくって、本件のように例えば非常に立派なホールをつくろうとすれば、それは法の支配と法の下の平等を根本から破壊するものといわなければならない。もしそのようなことが許されるとすれば、それはもはや近代国家とは言えず、封建社会に逆戻りすることになる。

 京都市がいかに「立派な」ホールをつくろうとしているからといって、自分の所有する敷地についてのみ、一般の市民が従っている共通のルールとは異なる高さ制限に関する特別のルールをつくることは、仮にそれが地区計画で決定したからといっても、決して正当化されるわけではなく、自己の有する都市計画決定に関する権限の明らかな濫用以外の何物でもない。

 以上のとおりであるから、京都市が本件敷地について、地区計画によって高さ制限を緩和したことは、明らかに平等原則に反するものであって、憲法14条に違反し、違法無効であることといわなければならない。

2へつづく
2014-10-17 【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-1_d0226819_21572214.jpg

■【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 住民側提出訴状-1

日本国憲法第14条
2014-05-22 旧京都会館の建築確認取り消し請求、市建築審が退ける-msnニュース
京都市建築審査会
新景観政策 リーフレット-「京都市情報館」
時を超え光り輝く京都の景観づくり - 京都市
2012-02-01 岡崎地域における都市計画の見直しについて-「京都市情報館」
2012-01-20 岡崎地域の高さ規制緩和を決定 京都市都計審、京都会館再整備へ-「京都新聞」
京都都市計画(京都国際文化観光都市建設計画)高度地区の計画書の規定による特例許可の手続に関する条例施行規則
国立市の高層マンション訴訟で「不当マンションの一部取り壊し」を命じる、画期的な判決が下りました。
「景 観保護的まちづくりと法の役割--国立市マンション紛争をめぐって」  都市住宅学 38号(2002.7)48-57頁-角松生史

2012-08-13 京都会館問題住民訴訟 提出訴状一式
2013-03-21 京都会館住民訴訟 判決文

2014-05-09 京都会館審査請求裁決書-京都市建築審査会

京都会館建築確認処分取消審査請求書-1
京都会館建築確認処分取消審査請求書-2
京都会館建築確認処分取消審査請求書-3
京都会館建築確認処分取消審査請求書-4
京都会館建築確認処分取消審査請求書-5
京都会館建築確認処分取消審査請求書-6
京都会館建築確認処分取消審査請求書-7

【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-1
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-2
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-3
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-4
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-5
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-6
【京都会館建替え問題】建築確認取消訴訟 訴状-7
# by 2011-kyoto | 2014-10-17 00:01 | 2014/10
2014-09-16 ロームシアター京都の主要なオープニング事業の発表について-「京都市情報館」
ロームシアター京都の主要なオープニング事業の発表について


1 オープニング事業の開催期間
平成28年1月10日(開館日)から12月まで

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■ロームシアター京都の主要なオープニング事業の発表について-「京都市情報館」
# by 2011-kyoto | 2014-09-16 00:00 | 2014/09
2014-09-11 小澤さん、京都でオペラ指揮へ ロームシアター開館事業-「京都新聞」
小澤さん、京都でオペラ指揮へ ロームシアター開館事業

京都市と市音楽芸術文化振興財団は11日、2016年1月に開館するロームシアター京都(旧京都会館、左京区)のオープニング事業について、主なラインアップを発表した。小澤征爾さん指揮の喜歌劇「こうもり」をはじめ、ロシアのバレエや京都に根づく能楽、日本舞踊など23公演が1年間にわたって催される。

 開館日の1月10日は約2千人収容のメインホールで京都市交響楽団(京響)の演奏会と記念式典を開く。715席のサウスホールでは能の観世流と金剛流、狂言の大蔵流が公演する。

 以降、メインホールでは、ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーと京響が共演する「くるみ割り人形」(1月)や、京都五花街の芸舞妓と新橋(東京)、金沢、博多の芸者らによる舞踊(1月)、ワレリー・ゲルギエフさんが芸術総監督を務めるロシアのオペラハウス「マリインスキー劇場」の京都初公演(10月)などがある。サウスホールでは、京舞井上流家元の井上八千代さんプロデュースの日舞(1月)や京都会館で恒例だった市民寄席(年間5公演)などを予定。

 「こうもり」は小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトとして2月にメインホールで上演。小学生対象の入門公演も計画している。

 オープニング事業検討委員長を務めた小澤さんは「京都に(本格的な)オペラができるホールがなかったので、大変うれしい。京都市がつくったオーケストラが刺激になって日本のあちこちでオケが生まれたように、このシアターから大きな動きが出てきてほしい」と語った。

■ 小澤さん、京都でオペラ指揮へ ロームシアター開館事業-「京都新聞」
2014-09-16 ロームシアター京都の主要なオープニング事業の発表について-「京都市情報館」
# by 2011-kyoto | 2014-09-11 00:00 | 2014/09