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2013-05-01 刊行記念トークショー 第2部:建築の場所/建築家の場所 吉良森子(建築家)
特集:吉良森子『これまで と これから 建築をさがして』 刊行記念特集
第2部:建築の場所/建築家の場所 吉良森子(建築家)
吉良森子(建築家)×新堀学(建築家) モデレータ:戸田穣(建築史)


(抜粋)
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吉良──ヨーロッパと日本の状況を一概には比べられませんが、テクニカルなことを言えば、レンガ造と木造の違いがあります。レンガは構造的にも壊すのは大変なので、変更を加えるときも、部分的に壊したり継ぎ足したりします。それに対して木造は、もちろん部分的な拡張や変更をすることもありますが、全体を壊して建て替えやすい。
また、アムステルダムでは、古い建物を残すんだという意志を、市民たちが共有した劇的な瞬間というのがありました。オランダはヨーロッパにあるので、他のヨーロッパ諸国と同じように、もともと古いものを大切にする国だと思ってらっしゃるかもしれませんが、実は、オランダは干拓で国土を拡張していった国なので、基本的には土木建設立国なんですね。日本と同じように、建てるのもつくるのも、高速道路も地下鉄も大好きです。そういうところにはお金が集まりやすい国です。こういった風潮は70年代終わりごろまで続きますが、そこに住民たちが「NO!」と言って立ち上がったんですね。

新堀──なるほど。

吉良──結局そのときは、運動の対象になっていた建物の運命を覆すことはできず、壊されてしまったのですが、その後、国の政策が変わりました。その転換点というか、歴史的瞬間に立ち会った経験が、受け継がれているということもあると思います。いくら建築家が声を大きくして言ってみても、そういった共有する経験がなければ、難しいと思います。
新堀さんのお話ですばらしいと思ったのは、残せる仕組みをつくっているということです。建築というのは、非常に大きな経済活動といいますか、大変にお金のかかるものです。それを受け継げる仕組みがないかぎりは、どんなに価値がある、もったいないと言っても、壊れていってしまいます。そういった意味で、「住宅遺産トラスト」の活動は、とても重要だと思いました。
戸田──最後に、吉良さんがこの先に見ているものは何でしょうか。

吉良──最近の日本の状況は、古い建物が壊されていくという、どうしようもない面もあります。しかし、今日の新堀さんのお話をうかがって、与えられたシステムのなかで、変えていく、つくっていうというクリエイティブさに可能性があるなと感じました。また、日本の建築は、ヨーロッパの国では実現できないような、建築のエクストリームな表現が評価されていることが多く、それが日本の建築の注目度を集めているのですが、そうではない建築の流れが出てきていることを感じています。ただ美しくて、写真が素晴らしくて、流通していくだけではない、新たな建築のレイヤーを、今後つくっていけるのではないかという予感です。
私自身のこれから先については、まだ具体的には見えていませんが、この本を書いて、半生が終わったような気がしています(笑)。自分自身がこれまでに考えてきたことを、なんとかまとめることができました。正直なところ、いまはいろいろ考えていて、少し頭を切り替えている感じですね。

吉良森子(きら・もりこ)
建築家。1965年東京生まれ。1989年デルフト工科大学留学。1990年早稲田大学建築学科大学院卒業。1992-1996年ベン・ファン・ベルケル建築事務所勤務(Un studio)。1996年アムステルダムに建築事務所設立。作品に「キャトル柿の木坂(東京)」「アイブルグの集合住宅(アムステルダム)」ほか。2000年よりアムステルダム建築アカデミー講師。2010年より神戸芸術工科大学環境建築学科客員教授。

■特集:吉良森子『これまで と これから 建築をさがして』 刊行記念特集-「10+1web site」

吉良森子 | これまで と これから ― 建築をさがして (現代建築家コンセプト・シリーズ)

吉良 森子 / LIXIL出版


# by 2011-kyoto | 2013-05-01 00:00 | 2013/05
2013-04-30 京都市会 議会基本条例 年度内制定へ 行政監視を強化-「京都新聞」
京都市会 議会基本条例 年度内制定へ 行政監視を強化

京都市議会の市会改革推進委員会は、議会活動の理念や役割などを定める議会基本条例の骨子をまとめた。本年度中の条例制定を目指し、5、6月に市民から意見を聞く説明会を開く。

 会基本条例は、議会改革に向けた取り組みを条例で示し、改革を持続させるのが目的で、同委員会が2011年から内容を検討してきた。市によると、全国の20政令指定都市のうち、札幌市や神戸市、名古屋市など11市で制定されている。

 条例骨子は、議会や議員の役割や議会改革▽議会の権能強化▽市民と議会の関係-などの9項目で構成している。大学が多い京都の特徴を踏まえ、重要課題について「学識者の専門的知見を活用する調査機関の設置」など、従来はあまり活用しなかった付属機関を設置する。

 また、市の予算などについて、議論の準備時間を確保する観点から早期の資料提出を市に求めるなど「執行機関への監視機能の強化」や、「執行機関ではなしえない政策立案や政策提案による政策実現」などを掲げた。試行的に行っている委員会の直接傍聴など情報公開の在り方も定める。

 説明会は、伏見区の呉竹文化センター(5月30日午後7時)、上京区のルビノ京都堀川(6月1日午後1時半)、下京区のキャンパスプラザ京都(6月2日午後7時)の3会場で各2時間行う。議会基本条例の内容や検討状況を説明し、参加者と意見交換する。申し込みは不要。問い合わせは市会事務局調査課TEL075(222)3697。

【2013年04月29日 22時30分】

■京都市会 議会基本条例 年度内制定へ 行政監視を強化-「京都新聞」
# by 2011-kyoto | 2013-04-30 23:37 | 2013/04
2013-04-30 富士山、世界遺産へ=諮問機関が条件付き勧告―鎌倉は不登録、6月決定・ユネスコ-「時事通信」
富士山、世界遺産へ=諮問機関が条件付き勧告―鎌倉は不登録、6月決定・ユネスコ

時事通信 4月30日(火)23時39分配信

 文化庁は30日、「富士山」(山梨、静岡両県)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が世界文化遺産に登録するようユネスコに勧告したと発表した。三保の松原(静岡市)を除外することが条件。一方、イコモスは「武家の古都・鎌倉」(神奈川県)は世界遺産にふさわしくないとして「不登録」と勧告した。

 ユネスコは、6月16日からカンボジアのプノンペンで開かれる世界遺産委員会で登録の可否を審議する。登録勧告には従うのが通例で、富士山の登録が正式決定する見通し。
 日本単独の推薦案件で「不登録」が勧告されたのは初めて。
 日本が推薦した文化遺産では、2004年の「紀伊山地の霊場と参詣道」まですべて「登録」勧告だったが、07年に石見銀山(島根県)、08年に平泉(岩手県)がそれぞれ「登録延期」とされた。
 石見銀山は世界遺産委員会で一転して登録されたものの、平泉は勧告通り登録延期に。再申請し、構成資産の一つを除外する条件で11年に登録された。富士山でも、昨年現地調査したイコモスが、構成資産のうち三保の松原を外すよう要請していた。
 推薦理由で、富士山は信仰の対象と芸術の源泉となった名山としての価値を、鎌倉は武家政権が発足し茶や禅といった独自の武家文化を生み出したことを訴えている。
 国内の世界遺産は現在、自然遺産4件、文化遺産12件の計16件。昨年ユネスコに推薦書を提出した「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)は、来年審査される。 

■富士山、世界遺産へ=諮問機関が条件付き勧告―鎌倉は不登録、6月決定・ユネスコ-「時事通信」

イコモス(ICOMOS)
2012-08-26 京都市長宛:「イコモス意見書」京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」

静岡県 世界遺産推進課
富士山を世界遺産にする国民会議

ICOMOS関連記事
日本イコモス国内委員会
# by 2011-kyoto | 2013-04-30 00:00 | 2013/04
2013-02-25 賛同者の皆様-「京都会館を大切にする会」
賛同者の皆様

拝啓
晩冬の候、皆様におかれましてはますますご健勝のことと存じます。
さて、私たち「京都会館を大切にする会」は、2011年の9月から約1年半余り、みなさまのご協力をいただきながら、京都市が突然発表した「京都会館再整備計画」に掲げられた、第1ホールの建て替え案に対して、再考を呼びかける保存運動を続けてきました。私たちの主張の要点は、今の計画のままでは、前川國男の考えた建築空間の基本的な価値をないがしろにすることになるので、もう一度考え直してほしいこと、そして、既存の前川建築の空間を生かした形で、京都にふさわしい劇場空間にすることが、京都会館を後世に伝えるためにも、また京都市の将来にとってもよいのではないか、ということでした。それらの要望を京都市に提出し、合計4回のシンポジウムを開催して、何とか第1ホールの解体を阻止するべく活動してきました。

また、その間、解体を差止めるための「住民監査請求」という法的な場でも、建築の専門家としての立場から訴える、という初めての経験もしました。しかし、結局、それは却下されてしまいました。そして、2012年8月には、ユネスコの世界文化遺産等の審査機関である国際組織イコモス(国際記念物遺跡会議)の「21世紀委員会」委員長のシェリダン・バーグ氏が、京都市長あてに第1ホールの解体中止を勧告する手紙を出されました。また、11月に京都で行われた世界遺産批准40周年記念大会に出席するために京都を訪れた際には、解体中の京都会館を視察して再び意見を述べられる、ということもありました。

にもかかわらず、京都市は一切聞く耳を持たず、「『建物価値継承に係る検討委員会』の提言を守って進めている」というばかりでした。そして、2012年9月から粛々と第1ホールの解体工事に着手し、今年の1月末には、地上部分はすべて姿を消してしまいました。現在は、今まであった比較的抵抗のない第1ホールの屋根でも、なくなってみると、そこには大変すっきりとした空があり、遠くの東山も見えやすくなっています。この風景は、かつての京都ホテルを45メートルの高さに建て替える前に、解体された時の風景とよく似ていて、つい思い出してしまいました。その頃から、京都市の景観行政には、ちぐはぐさが出始めたといえるのではないでしょうか。
 
そのことはさておき、「京都会館を大切にする会」を立ち上げた際、賛同をお願いしたところ、大変多くの方々から力強い賛同のメッセージをいただき、またカンパもいただきました。遅ればせながら、ご協力本当にありがとうございました。改めてお礼申し上げます。しかしながら、私たちの運動は力不足もあって実を結ぶことはできず、このような残念な結果になってしまいました。今は、遺憾な気持ちでいっぱいであり、大変申し訳なく思っております。

けれども、わたしたちはこの運動を通じて、近年ますます増加傾向にある近代建築の保存改修問題に対して、何らかの形でこれからの活動に対して参考になるような資料を残したいと思っております。そんな中、雑誌『住宅建築』最新号の4月号に、「全体性が失われた京都会館の行方」と題した特別記事が掲載されました。そこで、ここに、その記事のコピーを同封して、会としての現時点でのご報告とさせていただきます。

最後になりましたが皆さま方のますますのご活躍を祈念するとともに、今後ともよろしくご指導くださいますようお願い申し上げます。
敬具

2013年2月25日
                      
京都会館を大切にする会
代表 吉村篤一
松隈 洋
前田忠直
長瀬博一
長崎和平
志村公夫
河本順子


京都会館を大切にする会
2011-10-10 京都会館シンポジウムのご案内-「京都会館を大切にする会」
2011-12-18 第2回緊急シンポジウム「京都会館のより良き明日を考える」開催のご案内
2012-06-02 第3回緊急シンポジウム開催のご案内-「京都会館を大切にする会」
2012-08-26 第4回緊急シンポジウム 「京都会館のより良き明日を考える」開催のご案内

■京都会館問題で開催されたシンポジウム関連記事
■これまでに出された要望書類

2011-06-24 「京都会館再整備基本計画」の策定について-「京都市情報館」
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介1-松隈洋
2012-06-18 京都会館問題監査請求 陳述聴取会 陳述人提出資料紹介2-吉村篤一
2012-08-26 京都市長宛:「イコモス意見書」京都会館再整備基本設計に対する意見書-「ICOMOS ISC20C」
2011-11-05 世界遺産条約採択40周年記念シンポジウムの開催について-「京都市情報館」
2012-04-27 京都会館の建物価値継承に係る検討委員会提言について-「京都市情報館」
2011-10-10 -京都会館保存要望書-賛同メッセージ集-直筆版(10/10到着分)-「京都会館を大切にする会」
2013-02-19 建築は誰のものか-京都会館は問い続ける 松隈洋-「住宅建築2013年4月号」
2013-02-19 真のクライアントは誰なのか 藤本昌也-「住宅建築2013年4月号」
# by 2011-kyoto | 2013-04-29 22:14 | 2013/02
2013-02-19 真のクライアントは誰なのか 藤本昌也-「住宅建築2013年4月号」
真のクライアントは誰なのか
藤本昌也

公共建築の真のクライアントは、市民である

(中略)

成熟した市民社会のとるべき、”文化としての作法””だと考えられないでしょうか。
京都会館はすでに改修工事が始まっていると聞きました。こうした事態は、今後も全国各地で起こることが予想されます。これからは、推進の立場の方々も反対の立場の方々も、ノーサイドの立場に立って、特例許可などの制度のあり方も含め、ユーザークライアントニーズをどういう社会的仕組みで民主的に集約できるか、その”術”を市民・行政・専門家三者が共通のフィールドで議論していただきたい。京都だからこその新しい仕組み”京都作法”を提起し、実践し、先導役を務めていただきたい。

ふじもと・まさや 談
文責/編集部
2013-02-19 真のクライアントは誰なのか 藤本昌也-「住宅建築2013年4月号」_d0226819_10205075.jpg

■真のクライアントは誰なのか 藤本昌也-「住宅建築2013年4月号」
藤本昌也 株式会社 現代計画研究所

2013-02-19 建築は誰のものか-京都会館は問い続ける 松隈洋-「住宅建築2013年4月号」

住宅建築HP
住宅建築 2013年 04月 号
# by 2011-kyoto | 2013-04-28 10:24 | 2013/04